栄養素
高タンパク、低脂肪
鶏肉のささみと同様に良質なタンパク質が多く脂肪が少ないのでダイエットや筋肉維持を期待したい場合に適しています。
鉄分、亜鉛
牛肉や馬肉に似ていて赤身が多い肉です。赤身には元気維持に役立つ鉄分、亜鉛が豊富なので滋養のある食べ物と言われています。
カルニチン
脂肪を燃焼させエネルギーを作る際に使われるのでダイエット時や疲れやすいときに意識したい栄養素です。鹿肉には比較的多く含まれます。
スタッフコラム51話目
鹿肉は牛肉や鶏肉のように愛犬に与えても大丈夫な食材です。
ドッグフードでは海外の一部のメーカーでは以前から鹿肉(原材料名やフードの種類名としてはベニソンという表記が多い)を使っていますし、近年は日本でも増えてきました。愛犬の健康維持から食べる楽しみまで意識している愛犬家のみなさんには人気が高いものと言えます。
今回は犬猫の食事の専門家ペットフーディストの山本が鹿肉を与えるメリットや注意点、人気が高い理由についても説明します。
鹿肉は牛肉や豚肉といった以前から愛犬用食肉として与えられてきた獣肉と同じように、犬にとって体を維持するのに必須のアミノ酸が揃っているだけでなく鹿肉が持つ特徴的な栄養素には健康維持に役立つものもあり、食事の主役となる食材として使いたいものです。
鹿肉の特徴として特に健康な愛犬の筋肉維持や、肥満にならないように気をつけたいときにはおすすめの食材です。ほかにはSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みも関わっている点も愛犬家に注目されています。
鶏肉のささみと同様に良質なタンパク質が多く脂肪が少ないのでダイエットや筋肉維持を期待したい場合に適しています。
牛肉や馬肉に似ていて赤身が多い肉です。赤身には元気維持に役立つ鉄分、亜鉛が豊富なので滋養のある食べ物と言われています。
脂肪を燃焼させエネルギーを作る際に使われるのでダイエット時や疲れやすいときに意識したい栄養素です。鹿肉には比較的多く含まれます。
鹿肉は犬に必要なアミノ酸が豊富であること(味覚の反応に係わる)や、正しい処理を行っていれば比較的臭みの少ない獣肉です。これらから多くの愛犬たちに食べやすく嗜好性も高い肉と言えます。
私自身も鹿肉を炒めたときに立ち上る匂いは獣肉臭さが少なく、食欲を刺激するような香ばしさを感じています。ただし匂いは好みの幅も広いのであくまでご参考までになさってくださいね。
鹿肉をアレルギー対応用に使う場合があります。少し前まではラム肉がアレルギー対応に利用されていた理由と同じように犬たちにとって新奇(新しい、めずらしい)の肉になるため、アレルギー反応が出にくい可能性があるからです。
後天性の食物アレルギーは同じものを食べ続けたことで、体の中で作られる抗体が異常に反応してしまうこと。そのためアレルギー反応を出さないためにはこれまでに抗体が出来ていない(食べたことのない)食材を選びます。ですが、アレルギーはタンパク質の分子に反応するものであり、その分子構造が似ていればアレルギーを引き起こす可能性があります。
実際、牛肉アレルギーの場合、羊肉、馬肉にも反応を引き起こす可能性が高い(交差性がある)と分かっています。
アレルギー反応が心配な場合は、はじめは少量ずつ与えて実際の愛犬の反応を観察してくださいね。獣医師から食事指導が出ている場合はそれに従ってください。
また、鹿は野生動物なので合成保存料など添加物を含む餌を食べていないという理由からもアレルギーが出にくい肉として注目されています。
※添加物自体がすべて悪いという意味ではありません。アレルゲンのひとつとして添加物が疑われる場合もあるからです。
五性:温(平)...新陳代謝をサポートする温性と冷やしすぎ温めすぎのない平性の間くらいです。
中医学的効能:補陽、益精、養血、強筋骨...体を温める、元気を補充する、血を増やす、筋肉や骨を強くするなどを意味します。
疲れやすい、体が冷えやすい体質、または活発で運動量が多い愛犬にもおすすめです。
もちろん体が弱っているときは食事の消化の負担も減らした方が良いので、鹿肉をどっさり与えることは避けてくださいね。
私たちには数年前からブームとなっているジビエ料理は、狩猟で捕獲した野生鳥獣の肉を調理したもの。珍しい肉を食べたいという食の探求家が増えたことや、鹿肉はダイエット向きの肉として健康志向派の人たちに注目されました。
国内では鹿は害獣としてたくさん駆除されますが、その大部分は利用できず廃棄されていました。ジビエブームのおかげで捕獲の方法や衛生管理のルールが定められ、さまざまな分野で利用できるようになりました。これまで鹿による被害に苦しんできた地域の所得向上や活性化にもつながりサスティナブル(持続可能)な発展をとげました。鹿肉を利用することはSDGsに貢献することになります。
こうしたことから、愛犬の食生活を通して社会全体や地球環境にも意識を向けている人たちの中でも注目されるようになってきました。
加熱せず生のまま肉を与えることは本来どの種類でもリスクはつきものですが、特に野生動物の場合は微生物や寄生虫または病原性がないかを証明するのは難しい問題です。リスクを減らすために必ず衛生管理が確かな商品を利用してください。
また、生食自体が体質に合わない場合もあります。特に免疫力が低下している、シニア期、加熱した食べ物しか食べたことがない場合は注意しましょう。心配であれば必ず加熱してから与えてください。
低脂肪・低カロリーと謳われる鹿肉ですが、愛犬にとって多め(体が必要としている以上)に与えてはいけません。使われなかったタンパク質は脂肪として蓄えられ肥満につながりますし、内臓にも負担がかかります。常に適量を意識してくださいね。
ほかの肉に比べて銅の含有量が多めです。銅蓄積性の肝臓病になりやすい体質(犬種性としてはウエスティ、ペドリントンテリア)の場合は注意してください。
銅の含有量例(100g中):牛もも肉0.08mg、蝦夷鹿肉0.14mg
鹿肉と下痢の関係についての情報が多く出ています。多くの場合は、鹿肉を生のまま与える生食に関する話題、もしくはアレルギーの問題です。先述の通り、正しい処理が行われていない可能性があるものは与えないようにしましょう。
アレルギー反応のひとつとして下痢を引き起こす場合があります。アレルギー反応自体はタンパク質の分子によるものなので鹿肉(動物性タンパク質)がアレルゲンとなる可能性はあります。愛犬がアレルギー体質の場合は、少量ずつ与えて反応を観察するようにしてください。
また、商品として問題がない場合でもシニア期や免疫力が低下している際には生で与えるのは避けましょう。もちろん、良い肉だからといってたくさん与えてしまった場合も下痢になる可能性はありますね。はじめて与える食材はどんなものでも用心して少しずつ与えるようにしてください。
腎臓の数値が気になっている状態であれば、鹿肉の利用は少量にするか心配な場合は使用を避けた方が良いでしょう。腎疾患により食事制限が指導される場合、タンパク質の量を制限する必要がありますし、特に鹿肉の場合は腎臓に負担のかかるリンを比較的多く含むため注意してください。
リンの含有量例(100g中):牛もも肉、馬肉(赤身)170mg、蝦夷鹿肉210㎎
食欲が低下していて少量しか食べられない場合には、食欲のスイッチを入れるサポートに鹿肉を少量使ってみるのも良いでしょう。
ビオリオーブ ピュア・ベニソン
自然の中で育った鹿100%(正肉、心臓、肺)。臭みがなく、柔らかいお肉を肉汁ごと閉じ込めました。愛犬のいつものごはんへのトッピングや手作り食の食材としておすすめ。
商品を見るビオリオーブ ベニソン・ディッシュ
鹿をメインにスーパーフードのキヌア、有機かぼちゃなど肉のうまみ、食感、甘みも楽しめます。愛犬のいつものごはんへのトッピングや手作り食の食材としておすすめです。
商品を見るテラカニス アリベット ローファット 鹿肉
上質な筋肉部位の鹿肉とたっぷりのお野菜と果物使用した、香りがさわやかな低脂肪・低カロリーのウェットフードです。汁気は少なく硬めの食感なのでダイエット中の食べ応え感をプラスしたいときにもおすすめです。
商品を見るmot!やわらか鹿肉 鹿角切り
播磨産の鹿肉を真空調理で柔らかくジューシーに仕上げました。ほどけるような柔らかさなので、お口の小さい愛犬やシニア期にもおすすめです。トッピングや手作り食材料としてどうぞ。
商品を見るmot!やわらか鹿肉 鹿ミートボール
播磨産の鹿肉をひとつずつ丁寧に手ごね成形後、おいしさを保つ新空調理しました。小ぶりなミートボールなので、お口の小さい愛犬にも与えやすいサイズです。トッピングや手作り食材料としてどうぞ。
商品を見るエゾ鹿肉のフリーズドライ
北海道産エゾ鹿の新鮮な赤身肉を限りなく新鮮さを保てるようフリーズドライ加工しています。そのまま簡単に小さくできるのでふりかけにもどうぞ。お湯で戻すと茹でたての鹿肉に負けない香りと食感が楽しめます。
商品を見る今回は愛犬家のみなさんに大人気の鹿肉についてお伝えしました。まだ与えたことがなければ少量のトッピングやおやつはいかがでしょう。愛犬が気に入ればローテーションのひとつとしてぜひとも定期的に取り入れてあげてくださいね。
【参考資料】
・ペット栄養管理学テキストブック(アドスリー)
・愛犬のためのホリスティック食材辞典(一般社団法人 日本アニマルウェルネス協会)
・八訂 食品成分表2021(女子栄養大学出版部)
愛犬のフード選びにお困りの際は、お気軽にごはんの窓口にお問い合わせください。
ご相談は無料
ごはんの窓口はこちらから筆者
ペットフーディスト、 アドバンス・ホリスティックケア・カウンセラー、 ペット栄養管理士、 犬の食事療法インストラクター上級師範
GREEN DOG & CAT ライフナビ編集部
犬と猫の基礎栄養学を学んだペットフーディスト等の資格を持つメンバーで構成されています。
パートナー(愛犬・愛猫)との暮らしを通して学んだことや感じたことを大切に、オーナー(飼い主)の目線に立ったコンテンツ制作を心がけています。
<編集部メンバーの取得資格> 編集部メンバーは、それぞれ得意分野に合わせて以下の資格を取得しています。
・ペットフーディスト
・ホリスティックケア・カウンセラー・ペット栄養管理士
・犬の食事療法インストラクター上級師範
・愛玩動物飼養管理士 など