ツルツルは危険!犬にかかる負担やリスク
フローリングの床は犬にとってツルツルとしていてとても滑りやすく、常に四肢を踏ん張りながら歩いているといってもいいでしょう。たとえるなら、人間がスケートリンクで滑らないよう歩いている状態。このような歩き方は、肢や腰に大きな負担をかけることになります。
また、私たちからするとさほど高さを感じないような、ソファや階段の段差などからフローリングの床に飛び降りるときは、衝撃が吸収されずそのまま膝や腰に伝わってしまうだけでなく、滑って転倒し骨折してしまう危険性もあります。
骨の細い小型犬や、旺盛な好奇心で行動する子犬時期は、特に注意が必要です。
床が滑ることで悪化を招く病気
床の上で滑ることで、姿勢を崩したり、踏ん張ったり、強い力が加わると症状を悪化させる病気がいくつかあります。
関節炎
犬の関節炎の原因にはいくつもの病気があります。負荷がかかり過ぎて靭帯が断裂する、膝にある遺伝的に問題があるケースもあります。
前十字靭帯の損傷
骨(太もも側)と骨(すね側)をつなぐための十字靭帯が損傷を受ける病気です。適切な治療を受けないと関節炎を起こすようになります。大型犬、小型犬問わずどちらにもみられます。
変性性関節症
膝関節が変形する病気です。比較的大型犬・超大型犬に多くみられます。
膝蓋骨脱臼
膝にあるお皿(膝蓋骨)が本来の場所から外れてしまう病気です。比較的小型犬に多くみられます。
関節リウマチ
免疫機能の異常により関節周りに炎症を起こす病気です。比較的小型犬に多くみられます。
股関節形成不全
成長期の股関節の形成に異常が生じ、骨盤と頭骨(大腿骨の頭の部分)がうまくかみあわないことで痛みが生じます。比較的大型犬・超大型犬に多くみられます。
椎間板ヘルニア
背骨の短い骨と骨の間にある弾力のある椎間板が何らかの原因で飛び出して脊髄を通る神経を圧迫する病気です。痛みが生じたり、その神経が関わる部位に麻痺が起きることがあります。
背骨のうち、どの箇所でも起こりうるものですが、首(頸椎)や腰(腰椎)に多くみられます。
フローリングで滑らないための対策
滑らない対策は、床材そのものを滑らないものにするリフォームが考えられます。しかしリフォームは、費用も高く気軽に行うことができるものではないですよね。
そこまで本格的ではなくとも、お役立ちグッズの使用や、犬の足先のケアをすることで滑りにくくすることができます。
ケガのリスクを減らすためにも、また3年後、5年後も自分の思った通りに歩いたり走ったりできるように、今からできる対策を取り入れましょう。
フローリング床にする対策
滑り止めマットを敷く
滑り止めマットには、必要な範囲だけ1枚ずつ組みわせるマットや、カーペットのように1枚もののタイプがあります。
ジョイントマット
汚してしまった場合でも、その部分だけ取り外し簡単にそうじすることができること、傷んでしまった部分だけ取り換えることができること、などの利点があります。一方で、マットの裏側にゴミがたまりやすいため、定期的にはがしてそうじを行うのがやや面倒、というのが難点です。
カーペット
1枚ものなので敷いたり外したりするのが早くできるというメリットがある一方で、おしっこや食べこぼしなどの汚れを吸い込みやすいため、においの原因にも。
丸洗いできるもの、オールシーズン使えるもの、犬の爪が引っかかってしまうような毛足がループ状のものは避ける、などの点に気を付けて選ぶようにしましょう。
滑り止めワックスを塗る
滑り止め効果のあるワックスを床に塗る、というのもひとつの方法です。メリットは、フローリングの外観をそのままにして、部屋の雰囲気が変わらないということです。
しかし、時間が経つと効果が薄れてしまうため、定期的にワックスを塗らなければなりません。マットを敷くことと比べるとやや手間がかかることや、使用するワックスの安全性なども考慮しておきたいところ。
コーティング剤を塗る
ワックスと異なるのは、作業自体は施工会社にお任せする点です。ワックスよりも高価で施工には2~3日かかり(施工範囲によってはさらに日数が必要)家具の移動なども配慮しないといけないため、少しハードルが高いですね。
大きなメリットは一度施工すると数十年の耐久性があるという点です。水拭きが可能になり(通常のフローリングでは水拭きは劣化を早める)油性の汚れもきれいに落ちるほか、何より見た目が美しく、掃除も楽になること。怪我の心配が減り、家事も楽になるということでは、やって良かったという喜びの声が多く届いています。
ここで私たちGREEN DOG & CATのスタッフが経験した嬉しい思い出をひとつご紹介します。自力では立ち上がることが困難だったシニア犬が、コーティング施工後のフローリングでは自力で立ち上がり歩けるようになったのです。きっと滑る床では踏ん張りがきかなかったのですね。そこから愛犬との時間はわずかだったのですが、最後に歩く姿を見れたことがほんとうに喜んでおられました。
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段差にはステップやスロープを設置する
犬がソファや階段などから飛び降りる場合、衝撃をやわらげるための対処法です。
ステップやスロープをただ置くだけでは、犬がそれに慣れていないため利用しないことがあります。犬がうまく使えるように、以下のように飼い主さんが一緒に練習するようにしましょう。
1ジャンプがいけないこと教える
ジャンプをしそうなタイミングに、すかざず「おすわり」の合図をだして、できたら褒めたり、おやつをあげたりする。
2高いところから降りるときはステップやスロープに誘導する
おやつや犬が好きなおもちゃを見せながらすると◎
3ステップやスロープを通れば、十分に褒める
1~3を繰り返し、しっかり学習させる
犬にする対策
爪を切る
爪が伸びていると、肉球が床と密着することができないため滑りやすくなります。日頃から爪は適度な長さに切っておきましょう。
足裏の毛をカットする
肉球の間の毛が長すぎると肉球に覆いかぶさってしまい、滑りやすくなります。こまめに肉球の毛はチェックし、短くカットしておきましょう。
また、カサカサの肉球は床をしっかり踏んだりつかんだりする力を弱くするので、クリームなどでケアすることも忘れずに。
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滑り止めシューズを履かせる
高いグリップ性のあるラバーを使用した犬用シューズや靴下を履かせることで、負担を軽減することができます。
犬用シューズ・靴下を選ぶポイント
- ①サイズが合っている
- ②履かせやすく、歩きやすい柔らかさがある
- ③ベルトなどで圧迫しすぎない
- ④ムレにくい素材である
- ⑤洗える
初めて履かせる場合、犬が嫌がる、履いたまま動かず固まってしまうということがあります。そんな時は、あせらずに徐々に慣らしていくようにしましょう。
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足腰の負担を減らすには体重にも注意
もし太り気味の場合はフードやおやつの内容も見直すべきでしょう。
獣医師からもダイエットが必要と指導されているレベルであれば、ダイエット用療法食のみを与えるのが近道です。
ただし、せっかくダイエット用の食事にしていても、おやつが高カロリーだと意味がありませんので注意してくださいね。
無理なダイエットは愛犬にとってもストレスが大きいです。たかが1kgといっても、体が小さい愛犬にとっては大変なこと。
1週間に減らす目安は、体重の1.5%分です。
例えば、現在の体重が6kgの場合の計算は、6000×0.015=90になります。
1週間に90g減らすことを目標にしましょう。
ダイエット用療法食がなんらかの理由で与えられない場合など、これまでと同じ主食のままでカロリーを減らしたい場合の工夫をご紹介します。
ダイエット用食事の工夫
1現在与えているフードを3割分減らし、代わりにウェットフードを見た目でこれまでと同量になるように補う
(多くのウェットフードはドライフードの半分以下のカロリーです)
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2低カロリー食材で満腹感を得られるようにするのもおすすめ
おやつを減らす分、低カロリー食材で満腹感を得られるようにするのもおすすめです。たとえば、しらたき(湯通ししたものを細かく刻みフードに混ぜる)や野菜。
食べやすい状態になっている野菜のレトルトもいろんな野菜の栄養が摂れてとても低カロリーなのでおすすめです。水分補給やお腹の掃除にもなりますよ。しらたきと野菜のペーストを混ぜて使っても良いでしょう。ただし一度のたくさん摂るとうんちが緩くなってしまうのではじめて与えるときは少量ずつにしてくださいね。うんちの状態を観察しながら量を調整してください。
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ふしぶしの健康維持に良い栄養素をプラス
関節が気になる場合、骨の形を変えることが出来ませんが、靭帯や軟骨など軟部組織や筋肉の維持を意識することで関節を守ることが期待できます。
食事に摂り入れたいものとしては、ふしぶしの軟骨と関連が深いⅡ型コラーゲンです。
例えば手羽先や軟骨、豚バラ肉などに多く含まれます。ただし、太りやすい食材でもあるので一度にたくさん与えずトッピングや間食(おやつ)として少量ずつ継続して与えることがおすすめです。
Ⅱ型コラーゲンと脂肪の代謝に役立つカルニチンが一緒に摂れるサプリメントをごはんに混ぜるのは手軽な方法です。
また、関節ケアといえばかなり昔から知られているグルコサミン、コンドロイチンです。甲殻類に多く含まれますが、素材で与えるのは難しいですね。これらが最新の研究で吸収されやすい形で配合されており、さらに筋肉維持に役立つBCAA(必須アミノ酸のうちの3種類のアミノ酸のセット)も一緒に摂れるサプリメントもおすすめですよ。
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愛犬のための床の工夫についてよくある質問
ジョイントマットなどフローリングの上に敷くマット類について注意点があれば教えてください。
まずは留守番時(目を離しているとき)に噛んでちぎってしまわないか注意してください。
また、つなぎ目から埃などが下にたまり、ダニが繁殖しやすい環境になる場合もあります。ダニ除けを下に敷くなどの工夫をするか、こまめに掃除をする必要があります。
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滑らないコーティング剤に興味があります。詳しい情報や問い合わせ先はどこですか。
次のページで簡単に説明しております。さらに詳しい内容などご相談が必要な場合はTOPページの中ほどにある予約フォームからご利用ください。必要事項をご記入いただくと担当者(施工会社)よりご連絡いたします。
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さいごに
いろいろな対策方をご紹介しましたが、安全性はもちろんのこと、犬にとって優しいか、飼い主さん自身に負担がない方法か、などの視点でも選びたいものですね。
ご自身と愛犬に合った方法を選んで、犬への危険を減らすとともに笑顔で暮らすことができる環境を目指して、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
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