老犬の目が見えなくなる原因とは

白内障

老犬の目が見えなくなる原因には、老化によるものと目の病気によるものがあります。老化が原因とされる代表的な病気が白内障です。犬種によって違いはありますが、10歳前後またはそれより若くから発症することもあります。白内障は少しずつ進行するため、視力の衰えに合わせて嗅覚や聴覚などで感覚的に行動する範囲を覚えることができます。犬は普段から視力だけに頼って生活しているわけではないので、少々視力が落ちても普段の生活に不自由はないようです。

ブドウ膜炎（スタッフ体験記）

ブドウ膜炎の再発予防のための点眼

スタッフの愛犬も白内障が進行すると他の病気を発症するケースがありました。12歳のイタリアングレイハウンドにブドウ膜炎が発症し、診断では白内障が原因と推測されました。ブドウ膜炎とは、眼球のブドウ膜が炎症を起こす病気で痛みがあります。また、炎症が網膜に影響を与えるため視力の低下を招きます。

朝は普通に起きてきたのに、ある場所から動きが鈍くなり、前に進むのを躊躇しているようでした。顔をみると白目が真っ赤に充血していました。顔を触ると驚く様子を見せたので、かなり視力が低下していることがわかったのです。また、突然に目が見えなくなった愛犬はトイレに行くことができずブルブル震えながら部屋の真ん中で粗相してしまいました。

幸いすぐに病院に連れて行くことができたので、検査を受けて点眼薬が処方されました。その薬が効いてすぐに炎症がおさまり、2週間経ったころには以前のような目の状態に戻りましたが、白内障が末期の状態になっており、今後も炎症は起こりやすいから注意する必要があるとのこと。ブドウ膜炎でも放っておくと失明する場合があるそうです。

犬は目が痛いと訴えてはくれませんが、眠いときのように目を細めていたり、目が開けにくそうに見えたり、前肢で目をこすったりすることで飼い主が気づくことができます。食欲がない場合もありますので、よく観察してください。

そのほか、視力が失われる原因とは

視力が失われる病気として老犬に多くみられるのは、糖尿病やホルモン系の機能低下があげられます。また、外傷性の視力低下やウィルス感染などが原因となるケースもあります。老犬は運動機能の衰えにより怪我をしやすかったり、免疫力の低下によりウィルスに感染する可能性が高くなったりします。「目やにが増えた」「体が震えている」「目を極端に細める」など愛犬の様子がいつもと違う点があればすぐに獣医師に診てもらいましょう。

老犬の目のためのホームケア

愛犬の変化に気づいていますか？

加齢とともに視力が衰える愛犬のために、普段暮らしている室内の環境を整えておきましょう。愛犬の視力の低下は、はっきりとした症状がわかりにくいため気づかない場合も多いのです。そのため、少しずつ老犬生活にふさわしい準備が必要なのです。

怪我を防ぐ

• 滑りにくい床材にする
• 愛犬がよく歩く場所は障害物をできるだけ減らす
• 室内の出角（角が出ている壁や家具）にクッション材を貼る （Ｌ字型シールタイプの商品があります）

失敗をさせない

• トイレスペースを広げる、数を増やす、暗いと失敗するようなら照明を用意する （太陽光で充電できるランタンやセンサー式のライトは経済的です）
• 散歩コースの安全を確かめる （電信柱にぶつかったり、溝に落ちたりしないよう注意が必要）

元気をサポートする

• 目や体の細胞の健康維持をサポートする栄養素を与える
• できるだけ声をかけたり触れ合ったりして、寂しさを感じないようにする
• 毎日の観察で愛犬の変化に早く気づけるようにする （目やに、表情、動作、鳴き声の状態、便の匂いや硬さなど）
• 嗅覚を刺激する美味しい香りのご褒美を与える

老犬の目の健康維持に役立つ商品

老化による目の機能の衰えは自然なことですが、進行をできるだけ緩やかにしてあげるには、抗酸化成分を摂ることです。サプリメントだけを与えることはできません。まずはごはんをしっかり食べられる状態であることを優先し、そのうえでサプリメントの使用を検討してみてください。

まとめ

シニア期にさしかかっている愛犬の目がどれだけ悪くなってきているかは、普段の様子からはなかなか判断しづらいものです。また、痛みがあることを教えてくれることもないため、良くない症状が出ていることに気づきにくい場合もあります。そのため、特に老犬はコミュニケーションを密にして体調を観察してあげましょう。

心と体の健康維持をサポートするのは飼い主の役目。老犬との生活をはじめて迎える方は、どのようなことが起こるのかを知っておきましょう。心の準備ができていれば、愛犬に大きな変化が訪れても落ち着いてケアをしてあげられますので、時間があるときには情報収集をしてみてはいかがでしょう。