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犬の胃拡張・胃捻転症候群ってどんな病気?要注意犬種や予防方法を獣医師が解説
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- 専門家監修
犬の胃捻転症候群は、特に胸部の深い大型犬種において多くみられますが、小型犬や猫でも起こりえます。明らかな原因は不明ですが、突然に症状が現れ急激に進行し、早急に治療しないとショックにより死に至ります。
そこで今回は、胃拡張・胃捻転症候群の原因や症状、予防法などについて説明します。
胃拡張・胃捻転症候群の原因は?
犬の胃拡張・胃捻転症候群は、胃が多量のガスで膨れ上がり(胃拡張)、胃がねじれること(胃捻転)によって発症する病気です。単純に胃拡張だけ起こしてねじれを生じないケースもありますが、圧倒的にねじれを起こすほうが多いです。
その明らかな原因は解明されていませんが、水や食べ物を摂取した直後の胃の異常運動、胃内容物流出の障害、大量の空気嚥下などが考えられています。発症のリスクは次のような条件が言われています。
≪犬種、年齢や状態に関係するリスク≫
- 胸腔の深い大型・超大型犬種 グレート・デーン、ワイマラナー、セントバーナード、ジャーマン・シェパード・ドッグ、 アイリッシュ・セター、ドーベルマン、秋田県、チャウチャウなど
- 加齢(子犬で発生することもある)
- ストレス
≪食事に関係するリスク≫
- 水や食べ物を摂取した直後の運動
- 1日1回の大量の食事
- 早食い
- 運動前後の水のガブ飲み
- 高い台の上の食事 以前は、高い台で食べさせたほうが予防になるといわれていましたが、最近の研究では逆にリスクが高まることが示されています。(個体によっては空気が入りやすくなるケースがある)
- 30mm以下の大きさの食事の摂取 小粒フードや缶詰、フードプロセッサーで細かくした食事を与えた犬のほうのリスクが高かった、という報告があります。
- ドライドッグフードの成分 ある食事の成分に焦点を当てた研究においては、穀類、大豆、動物性タンパク質のいずれも胃拡張のリスクは増加せず、油脂が多く含まれるドライフードは胃からの排出が遅れリスクが高まる、ということが報告されました。
その他、親が胃拡張・胃捻転症候群を発症した子での発生率は高い傾向にあります。性別における発生率については、未避妊の雌犬で多かったというものがあれば、性差はない、という研究もあり、明確にはなっていないようです。
どんな症状を示すの?予兆はある?
一般的には、食後数時間以内に発症します。
≪典型的な初期症状≫
- お腹が膨れる(ただし、筋肉がしっかりついている大型犬ではみられないことがある)
- 元気がなくなる
- 不安げで落ち着きがない
- 気持ち悪そうによだれを垂らす
- 頻繁なげっぷ
- 嘔吐、もしくは嘔吐物を伴わない吐き気
- 腹痛、背中を丸めた姿勢(腹痛)
- 苦しそうな呼吸
最初は自力で歩いて、次第に立てなくなります。そして急激に症状が悪化し、ショック状態に陥り意識が混濁します。
胃拡張・胃捻転症候群の病態を説明すると、まず、何らかの理由により急速に胃の中でガスが多量に発生して胃拡張が生じます。胃が大きく風船のように膨らむと、くるんと回転して強いねじれが生じ、食道への道が塞がれ、胃からの排出も障害され、さらに拡張が進みます。
拡張した胃の圧迫により周囲の臓器や胃壁に壊死が起こり、門脈や後大静脈の血流障害が生じ循環不全に陥ります。そして、消化管から吸収された毒素や低血圧による重度のショックが生じ、多臓器不全により死に至ります。
予防のための食事や方法
胃拡張・胃捻転症候群の原因は明確になっていないため、完全に予防することは難しいのですが、発生防止の助けになると考えられます。
- 発酵しやすい食材や高脂肪食は避ける
- 大きめなフード粒を選択し、食材は小さくなりすぎないようにする。
- 食事の直前・直後に運動はさせない(食後4~5時間はあける)
- 一度に大量の食物を与えない
- 食事の量を1日2~3回に分ける
- 早食いをさせないよう工夫がされた食器を使用する
- 飲み込めない大きさの障害物(ボールなど)を食器に入れて、早食いができないようする
- 運動前後に水をガブ飲みさせない
- 高い台の上で食事はさせない
- 食事中や食後はリラックスした状態を保つ
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