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【獣医師監修】犬の慢性腎臓病(慢性腎不全)とは?メカニズムや食事管理のポイントとケア方法
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腎臓の役割と犬の腎臓病について
腎臓の役割
腎臓は、尿を作るという働きだけではなく、体の中の様々な調整を行っています。
1.尿をつくる
犬の腎臓には約80万個のネフロンという組織があり、ここで尿がつくられます。ネフロンは、糸球体(毛細血管のかたまり)とそれを包むボーマン嚢、尿細管からできています。糸球体でろ過された血液(原尿)が尿細管を経て尿となり、血液中の老廃物や毒素などの不要物が余分な水分とともに体外へ排泄されます。
2.体内環境を一定のバランスに保つ
ナトリウム、カリウム、カルシウム、リン、重炭酸イオンなどを調整してイオンバランスを一定にし、血液を弱アルカリ性に保っています。
3.血圧を調整する
腎臓でろ過機能が正常に働くためには血圧が一定に保たれていることが必要です。血圧が低くなると、腎臓からレニンという酵素が産生されます。レニンは血液中のアンギオテンシン-アルドステロン系*1に働きかけ、血圧を上げます。
*1:腎臓から分泌されるレニンからの一連の血圧上昇のメカニズムを、レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系と呼びます。腎臓からレニンが分泌されると、血液中のアンジオテンシノーゲンがアンジオテンシンIという物質に変わります。そして、アンジオテンシンIはアンジオテンシン変換酵素(ACE)によりアンジオテンシンIIになります。アンジオテンシンIIは全身の動脈を強く収縮させ、また副腎皮質からアルドステロンを分泌させます。 アルドステロンはナトリウムを体内に溜める働きがあり、これにより循環血液量が増加して心拍出量と末梢血管圧が増加します。血圧の上昇後にはレニンの分泌は抑制されます。
4.造血ホルモンを分泌する
造血ホルモンであるエリスロポエチンを分泌し、骨髄で赤血球を作るように働きかけます。
5.活性ビタミンDをつくる
肝臓で蓄積されたビタミンDは、腎臓で活性化されます。活性型ビタミンDは、小腸からのカルシウムの吸収を促進して、カルシウムの利用を高める働きがあります。
腎臓はいくつも重要な働きを担っているのです。そのため、腎臓の機能が低下すると、老廃物が体内に留まることによる吐き気や皮膚の痒み、水分調整の異常による多尿、さらには貧血や骨が弱くなるといった、さまざまな症状がみられるようになります。腎臓が機能を失うと、生命の維持もできなくなります。
シニア期に増加!犬の腎臓の異常は何歳からが多い?
腎臓が気になるのは、7歳から。健康診断が早期発見のカギ
GREEN DOG & CATに寄せられるご相談内容を調べると、愛犬の腎臓に関するご相談はシニア期に一気に増えることがわかります。特にプレシニア(シニア期の入り口)の時期である6、7歳から増えてきており、ハイシニア期である13歳以上はとても多くなります。
内容を確認すると、プレシニアの段階では健康診断にて血液検査の数値の異常を指摘され、まだ療法食を与える指導は出ていないが、症状が悪化しないか観察しないといけないというケースが多いです。 つまり6歳あたりから健康診断にて腎臓機能の衰えを指摘され始めるということです。この時期のご相談内容はどんなフードにしたら良いか、何かサプリメントはないかというご質問がほとんどです。
さらに年齢を重ねたハイシニア期では、慢性腎臓病と診断された、療法食を食べてくれない、代わりになるフードはないか、というご相談が多くなります。
ペットの保険会社のデータでも10歳から腎不全の請求が増えてくるそう。経過観察のために定期的に検査を受けるなど通院頻度が増えてくる時期ということも推察できます。
加齢による腎機能の低下
GREEN DOG & CATに寄せられた相談内容からも慢性腎臓病は老化に伴っていることがわかります。もちろん天命を全うするまで腎臓に問題が出ないケースも多いです。その場合は、もって生まれた体がとても健康体であったといことではないでしょうか。
老化は自然なことですが、近年多く見られる過剰な栄養摂取(食べ過ぎ)などで腎臓の衰えを早めてしまうことのないようにしたいものですね。
腎臓病の種類と診断方法
糸球体腎炎、腎性貧血、腎盂腎炎ほか腎臓病にはいくつかの種類があり、なかには先天異常で腎臓そのものが小さい、発育が悪くて機能しないというケースも含まれます。
症状が急速に進行する病気とゆっくり進行する病気があります。
急性と慢性の違い
「急性腎臓病」(急性腎不全と呼ばれていた疾患)とは、数時間~数日間の短期間に腎臓の機能が低下し症状が出た状態のこと。
犬にとって毒性のある食べ物を食べてしまった、事故で腎臓を損傷した、腎臓では正常におしっこを作れているが尿石症により排泄できなかった、大量出血により腎臓機能が失われた、など、腎臓の機能を急激に失わせる何かが起きたときです。腎臓そのものにダメージがなければ機能を回復することができます。
「慢性腎臓病」(慢性腎不全と呼ばれていた疾患)とは、数年かけて少しずつ進行する腎臓病すべてをいいます。腎臓の機能には余裕があり、進行している間はほとんど症状が表に出てきません。 できるだけ早く気づけるよう、定期健診を年に1回、シニア期になったら半年に1回は受けることが大事です。機能低下が限度を超えると進行が早くなりQOL(生活の質)をかなり低下させますし、ダメージを受けた腎臓は回復しません。慢性腎臓病は犬においてもよく見られる病気です。早期発見のためにも注意が必要です。
腎臓病と腎不全の違い
腎臓病は腎不全を招く腎臓疾患すべてのことを呼びます。腎不全は腎臓が機能を失った状態のこと。 病気が進行した状態です。腎不全と呼ぶのか、腎臓病と呼ぶのかについてわかりづらいところですが、慢性のものに対しては、2002年に米国腎臓財団が「慢性腎臓病」と呼ぶと定義しました。
こんな症状には注意しましょう!
- 多飲多尿
- 尿が薄くなった(または、尿量の変化)
- 元気がない
- 毛ヅヤが悪くなった
- 食欲不振・痩せる(体重減少)
- 下痢・嘔吐
- 体温低下
- 貧血
体調の急激な変化の場合はできるだけ早く動物病院に連れて行く必要があります。シニア期はちょっとした変化でも念のために診てもらうようにしましょう。
腎臓病の主な検査方法
主に血液検査や尿検査です。尿中に排出されるべき物質が腎臓でろ過されず血液の中に残っている量や腎機能としての尿濃縮力を確認できます。飼い主同士で話題によくあがる血液検査項目はクレアチニンとビーユーエヌ(BUN)ですね。最近ではエスディエムエー(SDMA)も聞くようになりました。
実際に腎臓病が疑わしい場合はそれ以外にもカルシウムやリン、電解質の数値やエコーで状態を確認するなどいろんな角度から診断されます。そのため通常の血液検査の数値だけで一喜一憂できませんが、指標としての役割は大きいです。
血液検査
① CREA(血清クレアチニン)、BUN(血清尿素窒素):上昇↑は要チェック
従来から行われている検査項目ですが、CREAは筋肉量、BUNは食事内容の影響を受けます。
② SDMA(対称性ジメチルアルギニン):上昇↑は要チェック
5年ほど前に日本にも導入された新しい検査項目で、筋肉量の影響を受けず、より早期に腎機能の低下に気づくことができるものです。
従来の検査では腎機能が75%低下してからでないと評価できませんでしたが、SDMAは40%低下から評価が可能です。
ただし、診断には必ず①のCREAやBUNとあわせて評価することが求められます。
尿検査
・尿比重:低下↓は要チェック
・尿タンパク:増加↑は要チェック
犬の慢性腎臓病の病気分類(ステージ)
ステージ1では、尿の比重が低下しますが、臨床症状はみられず元気に過ごしています。そのため、腎不全の存在に飼い主はほとんど気がつきません。
【参考商品】
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ステージ2になると、初期症状の多飲多尿が現れてきます。腎機能が低下すると尿を濃縮できなくなり、薄い尿を大量に排泄します。その結果、水分不足を防ぐために(喉の渇きを覚えて)水をたくさん飲むようになります。この段階ではまだ食欲や元気があるため、異常に気づかないことがあります。しかし、この時点で、腎臓の機能は1/4しか残っていません。食欲不振や体重減少、嘔吐など明らかな症状がでてくるのは、ステージ3以降のことが多いようです。なるべく早く腎臓病に気づき、内科療法の中心となる食事療法を開始することが大切です。
慢性腎臓病の食事管理(リン・タンパク質制限など)
できるだけ健康維持のためには栄養素の過不足が生じない食事が良いですが、慢性腎臓病用食事療法食が必要なステージでは療法食を優先して与えます。慢性腎臓病用食事療法食を与えることで寿命が延ばせることがわかっているからです。
ただし、適切な制限はステージによって異なります。特にタンパク質の制限を早すぎる段階で行うのは、かえって体力を低下させ逆効果になるため、必ず獣医師の指導のもと食事療法を開始しましょう。
慢性腎臓病の食事管理の三大ポイント
- 腎臓に負担をかける栄養素を制限する
- しっかりエネルギー補給する
- 水分を十分に摂る
制限の優先度が高い栄養素(全ステージで配慮)
リン
腎機能が低下すると腎臓からのリン排泄が滞り、血液中に増えます。高リン血症は血管や骨、腎臓へのダメージにつながり、病気の進行を早めます。慢性腎臓病においては、リンの制限が生存期間を延ばす最も重要な要因の一つであることが証明されています。そのため、ステージ1といった初期段階から積極的に制限することが推奨されています。
リンが多い食品は、レバー、卵黄、魚類(小魚、エビ)、乳製品です。
肉類で考えるとリンの含有量はタンパク質と相関していますが、リン単独で制限することが腎臓の機能維持に良いとされており、初期段階用の療法食でもAAFCO基準より低めに制限している傾向があります。
ステージに応じて制限を検討する栄養素
タンパク質
タンパク質が体内で利用された後に生じる老廃物(尿素窒素など)は、腎臓に負担をかけます。進行したステージ(ステージ3以降)で老廃物の排泄が追いつかなくなると、尿毒症の症状(吐き気や食欲不振など)を招くため、獣医師の指導のもと、体に必要な最低限の量を確保しつつ制限を開始します。しかし、タンパク質は生命維持に不可欠な栄養素であり、病気の初期段階で制限しすぎると体重減少や体力低下につながるため注意が必要です。
ナトリウム
腎機能が低下すると、ナトリウムの排泄がうまくできなくなり、体内に水分がたまってむくみや高血圧を招く危険性があります。ナトリウムの制限は、主に高血圧が認められる場合や、進行したステージで検討されます。
(注意)結石ケア用フードはナトリウムが多めに含まれていることがあるので、獣医師に確認してください。また、腎機能低下時は血中のpHバランスの維持が難しいため、特にストルバイト溶解用療法食は与えられない場合があります。
カリウム
腎機能が大きく低下すると、カリウムの排泄も滞り、高カリウム血症を招くことがあります。高カリウム血症は不整脈など心臓に影響を及ぼす危険な状態です。カリウムの制限は、血中のカリウム値が高い(高カリウム血症)と診断された進行ステージの犬に限り行われます。一方で、腎臓病の犬の中にはカリウムが不足するケースもあり、その場合は補充が必要です。いずれにしても、獣医師の診断に基づいて調整します。
積極的に摂りたい栄養素
十分な血流量があることが腎臓の健康維持には大切です。水分不足にならないことはもちろん、血行に役立つ栄養素を取り入れましょう。またタンパク質を制限する代わりにエネルギーを補えるものが必要です。
オメガ3脂肪酸
オメガ3脂肪酸は体の中では作れないため、食べ物から摂るべき栄養素です。腎臓ケアではエネルギー補給が大切ですが、血流の維持も同時に配慮したいため動物性脂肪よりもオメガ3脂肪酸が豊富なオイルが役立ちます。
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オメガ3脂肪酸の含有量が高いオイルです。愛犬に与えやすいものをお選びください。
食物繊維
腎臓病のケアでは、食事変更や他の病気の影響などで便通や腸内環境の改善が必要になることがあります。その際に食物繊維が重要になります。
・与え方の例: カリウムが少なく繊維が豊富な糸こんにゃく(しらたき)、ブロッコリー、オクラなどは比較的与えやすい食材です。茹でて細かく刻み、食事に混ぜて与えましょう。
・注意点: 食欲がない時に無理に与えると、さらに食欲を悪化させる可能性があるので、嫌がる場合は与えないでください。
水
水は動物の栄養素の中で最も大切です。腎機能が低下すると、体から水分を排出する量が増え(多飲多尿)、水分補給がより重要になります。
・多飲多尿: 腎機能の低下により、おしっことして水分がたくさん出てしまい、水をたくさん飲みたがる「多飲多尿」という症状が出ます。
・水分補給: 常に水分補給ができる環境を整え、食事からも水分を摂れるように工夫しましょう。
・水分と食欲: 点滴で食欲が向上することがあるように、体内に水分が行きわたること(水和状態が良いこと)は内臓の機能維持につながります。
・水分を摂らせる工夫: 鶏肉を茹でた煮汁は嗜好性が高いです。愛犬用スープを利用するのもおすすめです。味を気に入るようであれば、薄めてこまめに与えると良いでしょう。
トッピング(副食)
獣医師から処方された療法食を食べさせたいが、ときどき食べ渋り、食べ飽きの様子があって困るというお悩みは多いです。腎臓のためにも体全体の維持のためにも栄養やエネルギーをしっかり摂ることは大事です。食べさせたいフードに違う味のものを混ぜて与えると食欲を刺激するケースもあります。特にドライフードが主食の場合は、より水分が摂れるようにウェットフードを混ぜるのはおすすめです。
やさしいごはん 腎臓ケア
Natural Harvest
「療法食はなかなか食べてくれない...」「トッピングでも腎臓ケアを意識したい」というお悩みにおすすめのレトルトタイプの腎臓ケア用療法食です。
※総合栄養食ではありません。
yum yum yum! ジュレ仕立て はじめてセット
yum yum yum!チキン・馬肉・かつおの3種セットです。寒天とこんにゃく粉で少し粘度のあるジュレ仕立てでドライフートに絡めやすく、食べきりサイズなので手軽さが便利です。
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SILKFULL シルクフル 犬用
その他厳選液体タイプの愛犬用腎臓ケアサプリメント。特許技術で液体化したシルク成分「高分子量シルクフィブロイン水溶液」が体内の老廃物を吸着し、体外へ排出する力をサポートします。無味無臭なのでごはんに混ぜても気づきにくいです。
SILKFULL 犬用フード ビーフ
その他厳選特許製法の液体シルクを配合した、腎臓ケアサプリ入りのレトルトごはん(栄養補助食)。牛肉と野菜ベースで、主食にトッピングしておいしくケアできます。
SILKFULL 犬用フード チキン
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おやつ
腎臓への配慮が必要でも、食欲旺盛なパートナーには、ボーロやビスケット類のほか、ふっくら軽い食感のおやつ(ささみ入りでも含有量が少ない)が、満足感を得やすいです。もちろん、食べすぎには注意してくださいね。
※獣医師より食事内容の指導があった場合は、必ずそれに従ってください。
腎臓のためのホリスティックケア
背中を温める
湯たんぽや温タオルなどで背中を優しく温めましょう。血行を促進して腎臓の働きを助けます。
ツボマッサージ(腎愈:じんゆ)
腎臓の機能を整えるための重要なツボである腎兪(じんゆ)は、犬の第2腰椎の背骨に沿った両側にあります。愛犬のウエスト周辺の背骨両側を、指先で10秒ほど軽く押したり、さするなどのマッサージをすると良いでしょう。腎臓への血流維持にも役立ちます。正しいツボの位置はプロでないとわかりにくいものです。だいたいウエスト前後をいたわるイメージで行い、強く押しすぎないようにしましょう。
まとめ
愛犬の腎臓病もヒトと同じように腎不全が起きることをいいます。急性・慢性が経過により分類され愛犬のシニア期には多くの飼い主が食事の心配を抱えがち。元気なときから腎臓に負担がかかる食材(主に肉類)を制限することは逆に健康維持の妨げになります。
心掛けたいのは、愛犬にとって適量の食事と水分補給です。食いしん坊でたくさん食べるなら、それに応じた運動量であることも意識しましょう。体が使いきれないほどの栄養を摂ることは腎臓だけでなく健康そのものを害することにつながると覚えてくださいね。
愛犬の食事のお悩みが少しでも解決しますように。
【参考資料】
• アニコム家庭どうぶつ白書2018 / 3-3-5 犬における腎不全の請求割合の年齢推移
• IDEXX Japan 公式サイト







