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愛犬の手作りごはん~カルシウムの量にご注意!
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愛犬に手作りごはんを作ってあげたい、でも難しいのではと考える飼い主さんは多いようです。大きな理由は犬にとって必要な栄養素が不足するのではという不安です。
特に質問が多いのはカルシウム。犬の手作りごはんの書籍でも明確に教えてくれるものはなかなか見つかりません。
そこで今回は、手作りごはんを作る際のカルシウムの量や意外な注意点について解説します。
犬に必要なカルシウムの考え方
カルシウムは体の中で作ることが出来ない栄養素なので、食べ物から摂取しなければなりません。筋肉を動かしたり、神経の伝達をしたり、重要な働きのために必要なのです。
そのためドッグフードには必要量が制定されています。
長期保存が可能になるための加工や毎日同じ栄養を摂るためのドッグフードは完全栄養が求められます。新鮮な食材を使い栄養バランスもその都度変化のある家庭のごはんは、一日で栄養が整わなくても、長いスパン(1週間ほど)に過不足が調整されれば良いのです。
とはいえ、私たちヒトと犬では必要な栄養素の量が違います。手作りごはんを常食とするなら犬の最新の栄養学をある程度は参考にしたほうが良いでしょう。
ある程度を強調する理由は、数字よりも愛犬に合っているかどうかの視点が重要だからです。まずはきちんと消化吸収できる与え方や量を探りましょう。
カルシウムの推奨量
<一日に必要とされるカルシウム量>
例:
成犬 (去勢・避妊済、体重5kg)...467mg/日
(AAFCO2016年度版:成犬・維持期=1250mg/1000kcal MEより算出)
ちなみにヒトの場合、成人女性の指標は体重53kgに対して662mg/日が必要とされています。これと比較すると犬は体重が1/10ほどなのにカルシウムは多めですね。
カルシウムはリンとバランスを摂る必要もあります。犬にとって理想の比率はカルシウム:リン=1:1~2:1です。リンは骨や筋肉を作るために必要で犬の食事の主となる肉に含まれています。犬はヒトよりも肉(動物性タンパク質)を多く必要とするため、カルシウムやリンもそれに比例して多くなります。
<カルシウム400㎎~500㎎相当の食材>
干しエビ...7g(大さじ1杯)
わかさぎ(小魚)...100g
マイワシ...640g
小松菜...1束(250gほど)
青梗菜...5株(450gほど)
体重5kgの犬に上記の量を与えるのは現実的ではありません。お腹を壊したり、特定の栄養素を過剰に摂ってしまたりする可能性もあります。ドッグフードの栄養基準はあくまで同じ加工品(ドッグフード)だけを毎日食べ続けるケースを想定した計算と認識します。そのため手作り食にそのまま当てはめるには無理が生じます。
カルシウムが必要なことは間違いないため、愛犬が無理なく食べられる素材や量を使うことや、小松菜や小魚などカルシウム豊富な材料をまったく使用しない場合にはサプリメントで補うなど臨機応変に考えましょう。
またカルシウムの吸収にはビタミンD(手作り食では鮭、きのこ類)も必要ですし、カルシウム源によっても吸収率が変わります。
サプリメントはメーカーの給与量を参考にして使うといいでしょう。
手作り食に便利なカルシウム
卵の殻やサンゴという自然由来のカルシウムサプリメントをご紹介します。どちらも消化しやすい細かい粉末状です。手作り食にパラッとプラスしやすいのが魅力です。これらはカルシウム以外にもリン、マグネシウム、カリウム、鉄、亜鉛といった動物に必要なミネラルも含まれます。(カルシウムの割合は全体の3~4割でその他が多種のミネラル)
手作り食で必要な場合に利用するといいでしょう。
参考商品
ピヨカル
Kitchen Dog!添加物を一切使用しない、安全な卵殻のカルシウムパウダー。
ナチュラルカルシウム
Animal Essentialsサンゴ藻が原料のカルシウムパウダー。カルシウム以外にも哺乳類に必要なミネラルが豊富。
手作り食のレシピでカルシウム量をイメージしてみる
<レシピ例>体重4から5kgの成犬の場合
鶏胸肉...100g
鶏レバー...5g
白米...30g
キャベツ...20g
オクラ...3本
※レシピ中のリン量はおよそ260㎎ カルシウムはおよそ40mg
プラスしたいカルシウムは220mg~最大440㎎までとなります。(あくまでAAFCOを参考にした場合)
先述で紹介したピヨカルやナチュラルカルシウムをプラスするなら、小さじ1/9から1/4(およそ0.5g~1g)が目安です。だいたいのイメージではひとつまみ分くらいでもいいでしょう。
手作り食を作るには、あるていどの臨機応変さが必要ですが、適当な食事を続けると愛犬の不調を招く可能性もあります。
犬とヒトでは栄養バランスが違う事、肉だけでなくカルシウム源をはじめ他にも必要な栄養素があることは知っておきましょう。不安な場合は、体のしくみから栄養のことまで基礎を学べる講座でじっくり学習することをおすすめします。
カルシウムの注意点
カルシウムは食べる量に過不足があっても、体の中では一定のバランスを保とうとする機能(ホメオスタシス=恒常性)が働きます。
成犬であれば、カルシウムの不足時は吸収を促進し、過剰時には余分を排泄しようとします。
ただし、この機能は子犬期には未熟ですし、カルシウムの過剰分が骨の成長に異常をきたす場合があるので注意が必要です。
総合栄養食のフードを与えていれば必要なカルシウムはしっかり摂れます。そこへさらにカルシウム剤を足すと過剰摂取になります。ホメオスタシスが働いていない子犬にカルシウムの過剰は危険だと認識しておいてください。
子犬だけでなく、成犬以降も過剰摂取は注意しましょう。体質によっては結石が出来やすくなる場合があります。
まとめ
カルシウムは大きな不足や過剰が続かないように注意することが大事です。(どちらかといえば過剰の方に注意が必要)
犬の栄養学を参考にしながら愛犬に合うよう調整していきましょう。
手作りごはんの良いところは、新鮮な食材でみずみずしい食事であること。手作りごはんで健康レベルがあがったという犬たちが多い理由ではないでしょうか。
私たちも経験的に良い食事を摂ると心も体も元気になることを知っています。その感覚を大事にしましょう。
ぜひ、愛犬のために心配ではなく愛情を入れて作ってくださいね。