- GREEN DOG & CAT
- ペットフード・ペット用品通販
- 犬との生活・特集一覧
- 犬の特集
- 食事
- 犬の後肢(後ろ足)に老化現象!犬の老化防止に役立つ食事ケア~関節編
犬の後肢(後ろ足)に老化現象!犬の老化防止に役立つ食事ケア~関節編
- フードの与え方
- 専門家監修
健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間のことを健康寿命といいます。パートナー(愛犬)にも、寝たきりではなく、質の高い犬生を送らせてあげたいですね。今回は愛犬が健脚な老犬ライフを送るための食事のケアについてご紹介します。
犬の関節の老化現象とは
人間と同じく、犬も、若いときは当たり前にできていたことが、加齢に伴って少しずつできなくなってきます。老犬では約80%が後肢(後ろ足)から弱ってくると言われています。骨、筋肉、関節などから成り立っている運動器が衰えてくると、痛みや違和感から少しずつ動かしたくなくなるもの。しかし動かさないと徐々に機能が低下し、立ったり、歩いたりする動きが減ってきます。さらに進行すると介護が必要になるリスクが高くなります。
逆にいうと運動器を長持ちさせ、健康寿命を延ばしていくことは愛犬にとっても、飼い主にとってもメリットが大きいといえます。寝たきりの介護、排泄の介助、歩行補助などは、やはり手間や腕力、経費や時間がかかります。また愛犬にとっても、自分の思い通りに身体を動かせなかったり、動かすたびに痛みを感じたり、今までできていたことができなくなったりすることはストレスを感じやすくなります。将来的な覚悟も必要ではありますが、できることならいつまでも愛犬には笑顔で元気に動けるようにあってほしいと願うのが親心ではないでしょうか。
とはいうものの、犬の身体は、年齢を重ねるにしたがい、少しずつ変化していきます。歩くスピードが遅くなった、長い距離の散歩を嫌がるようになった、階段の上り下りが辛そうになったなどは、シニア犬のオーナーさんが気づきやすい愛犬の変化です。
運動器は骨、筋肉、関節から成り立っていますが、加齢にともなって軟骨がすり減り、関節に炎症が起こったり、痛みが出たりする老齢性の変形性関節症は、犬の関節症の中で一番多い病気と言われています。また関節以外にも、神経痛や椎間板ヘルニアなどの病気から、動きが不調になることもあります。
歩き方や座り方が今までと違ったり、四肢に触られるのを嫌がるようになったり。そうした愛犬のサインにいち早く気づいて対策を練ることは、健康寿命を延ばすことにもつながります。少しでも愛犬の様子に違和感があれば、動物病院を受診するようにしましょう。
愛犬は大丈夫?動き方をチェック
単なる老化現象ではなく、病気やケガのせいで、歩き方、動き方に異変が起きることもあります。「もう年だから」と自己判断するのではなく、獣医さんに判断してもらうことが大切です。チェックが1つ以上の場合には、まずは動物病院を受診しましょう。
ココをチェック
- 足を引きずるようになった
- ふらつくようになった
- 前かがみで歩く
- 片足をあげたまま立つようになった
- つまづくことが多くなった
犬の足をサポートする4つのポイント
それでは毎日の生活の中で、飼い主ができる、シニア・愛犬のための関節のためのケアについて紹介します。
骨や関節に必要な栄養素をしっかり摂る
軟骨保護成分であるグルコサミンとコンドロイチンやヒアルロン酸、骨や軟骨の形成に欠かせないコラーゲンは、もとは体内で合成されるものですが、加齢とともに産生が減ってきます。またビタミンCはコラーゲンの合成を助けるだけでなく、抗酸化栄養素の1つなので、老化予防の観点からもおすすめ。また魚油に多く含まれるオメガ3脂肪酸は炎症を抑える働きがあるので、関節炎の場合にも積極的に摂りたい栄養素の1つです。よって、グルコサミン、コンドロイチン、ヒアルロン酸、コラーゲン、ビタミンC、オメガ3脂肪酸を、食事やサプリメントで補給するよう意識してみましょう。
普段の運動で筋力をつける
老犬になっても運動は必要。なぜかと言うと、歩いたり立ったりすることは関節だけでは成り立たず、筋肉が非常に重要だからです。でも、残念ながら年をとってから筋力を鍛えるのは難しいものです。若いうちから適度に運動して筋肉を育てておくことは、年をとって運動量が減ってきても筋肉が落ちるスピードは遅く、元気に長く歩くことにつながります。愛犬のペースで取り組めるよう、個体差や体調をみながら散歩コースや時間を考えてみましょう。
関節に負担がかからないように体重管理をする
体重が重く、関節に負担をかけると、関節部の痛みや違和感を感じるようになります。さらにそれらの不快感から運動量・行動量が減少すると、さらなる体重増加につながるといった悪循環な流れができてしまいます。愛犬の体重管理、つまり食事管理と運動管理ができるのは、犬本人ではなく、飼い主だけ。ついおやつをあげたくなっても、心を鬼にすることも必要です。
環境を整える
滑りにくい床にする
フローリングの室内飼いが増えたことも関節疾患が多くなった原因のひとつです。滑り止めマットを使ったり、 コーティングの施工など屋内の状況に合わせて活用しましょう。
ごはんの器の髙さを調整
体をかがめて食事し続けることは、シニア犬のふしぶしには負担が大きいです。 食器台(フードスタンド)を利用してみましょう。
老犬の足・関節をサポートする食事ケア
上記で骨や関節に必要な栄養素を摂ることの大切さについて述べましたが、近年では便利に利用できる高機能な愛犬用の商品がいろいろ市販されています。参考までにいくつか例をあげてみます。ただ、このほかにもいろいろなものがあります。愛犬の好みや体調に合わせて、よりベストなものを探してみてくださいね。
関節の健康を意識したものを足すことばかりではなく、体重管理も大事。肥満にならないようバランスの良い食事を摂ることが大事です。特にタンパク質量は多すぎないようにすることが臓器の機能維持に大切です。また筋肉や免疫力の維持ができるように良質なタンパク源を適量摂れるものを選びましょう。成犬用や全年齢用のフードよりシニア犬用フードがより条件にあったものと言えます。
【参考記事】
・専門家が解説 おすすめドッグフード6選 シニア編
関節ケアに役立つ栄養を含む素材
緑イ貝(グリーンマッスル)
関節の健康を促進すると考えられているグルコサミノグリカンが豊富で、長期間食べ続けても副作用が出にくい緑イ貝(グリーンマッスル)です。 緑イ貝をパウダー状にした商品もあるので利用してみましょう。炎症や痛みの軽減に役立つことがわかっていることから動物病院でもこの素材が含まれるサプリメントの利用が増えてきました。
サメ軟骨
サメ軟骨には関節まわりの成分であるコンドロイチンやコラーゲンが豊富に含まれています。 サメ軟骨をパウダー状にした商品も与えやすいです。
コラーゲン
手羽中や 手羽先、鶏ガラ、豚骨、牛骨などにはコラーゲンが豊富に含まれています。コラーゲンは熱を加えると溶ける性質を持っているため、骨付き肉を煮込む場合は煮汁のスープも一緒に与えましょう。骨や軟骨を作る成分が消化に負担が少ないスープで摂れるのはとても魅力です。老犬用にフードにはコラーゲンをプラスしているものもあります。
老犬にうれしいコラーゲンを含むフード、スープ
長寿一番
プライムケイズ鶏、鹿、馬の3種類から選べるドライフードです。歯で砕きやすい細長い綿状。ぬるま湯で浸すとふやけやすいタイプです。グルコサミン、コラーゲン等シニア期に摂りたい成分を配合しています。
ボーンブロス
その他厳選国産・無添加。骨を煮込んで作った出汁(ブロス)です。六甲和牛、平飼いダチョウ、グラスフェッド牛、循環農法合鴨、うまか赤鶏と種類も豊富。うまみたっぷりなのでフードをふやかすためはもちろん、こまめな水分補給用にもおすすめです。
サプリメントを上手に活用
愛犬の状態によっては、フードに含まれるグルコサミンやコンドロイチンなどの栄養素だけでは足りない場合もあります。その場合は、関節ケアに特化したサプリメントを活用します。前章で紹介した栄養素の他、一般的なグルコサミンより体内利用率が3倍のN-アセチルグルコサミンや抗炎症作用があることで有名なハーブ(ボスウェリアやユッカなど)を含んだものなど、一般では手に入りにくいものが含まれているサプリメントもあります。
老犬に与えやすい関節ケア用サプリメント参考商品
ハッピースキッププラス
ノラ オリジナルグルコサミンよりも3倍もの吸収率を誇るN-アセチルグルコサミンを使用しています。老犬に与えやすい粉末状のサプリメント。
アミノ18
その他厳選皮膚や軟骨の構成成分であるコラーゲン(アミノ酸)を魚の鱗(ふえ鯛)から抽出しました。かなり細かなパウダー状で消化吸収のしやすさにも配慮しています。
まとめ
シニア犬に多い関節疾患ですが、日頃の食事と適度な運動で、適切な栄養管理と体重管理をすることで、予防したり進行を遅らせたりすることは可能です。だから「もう年だから仕方がない」と諦めないでください。歩き方や座る動作などで気になる変化がみられたら、まずは獣医師の診察を受け、そして早めに家庭でできるケアから始めていきましょう。良く愛犬を観察してあげてください。
また関節がらみの病気は進行性の病気が多いです。定期的に獣医師の診察を受けるように心がけましょう。
※この記事はドッグジャーナリストの白石 花絵(しらいし かえ)さんが取材・ライティングした原稿を元にGREEN DOG & CAT ライフナビ編集部が編集しお届けしています。