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愛犬のごはん~がん(癌)になったら糖質制限?
- フードの与え方
- 専門家監修
愛犬ががん(癌)になったときの食事管理として「糖質」を控えることが知られていますが、 体質や状況によっては理想的な食事が与えられない場合があります。今回は愛犬ががんになったときの食事の選び方について説明します。
がん細胞の特徴
私たちや愛犬の体は一つ一つの細胞が集まってできています。細胞同士はお互いに情報交換をしていて、秩序正しく生まれ死んでいきます。その細胞の遺伝子に異変が生じ無秩序な状態になって増え続けるものががん細胞(腫瘍)です。腫瘍には良性と悪性がありますが、私たちががん(癌)と呼ぶのは悪性腫瘍のことです。
毎日、がん細胞はできるのですが、健康であれば免疫細胞がみつけ次第退治してくれています。退治するスピードが追いつかなくなるのが、病気や高齢で免疫力が落ちている、ストレスが多い、などのようなときです。
がん細胞はその代謝も正常な細胞とは異なります。これまでの研究でわかっているのは、正常な細胞の何倍もの糖質をエネルギーとして使うこと。正常細胞よりも活発に増殖するためです。
糖質のなかでもブドウ糖や果糖といった単糖類(グルコースなど)をエネルギーに変わりやすいものを特に好みます。ブドウ糖は点滴やアスリート用のドリンク剤などでも利用されています。果物や蜂蜜、砂糖などが単糖類を多く含む代表的な食品です。
愛犬のがんにおける食事管理
糖質制限
がん細胞が単糖類を積極的に使って正常細胞より活発に増殖するため、できるだけ糖質を避けたいと考えがあります。しかしながら、がんと闘う場合は食欲低下に陥りやすいため、愛犬が食欲維持できてバランスの良い食事を優先します。そのため、単糖類は避けても、じゃがいもや米など糖質が豊富なものが使用されているフードや手作り食は状況に応じて与えます。糖質制限よりも予後が悪い悪液質(体が栄養を摂りこめず、痩せていく)と呼ばれる状況を防ぐためにも食欲維持が重要と考えられています。食欲旺盛な場合のみ、できるだけ糖質を避けるといいでしょう。
高タンパク質、高脂質
がんの食事管理では糖質を控える代わりにタンパク質、脂質で体を維持します。フードの特徴としては高タンパク質、高脂肪であり炭水化物の量はその分少なめです。動物病院で処方される療法食以外では、グレインフリーフードは比較的に肉をたっぷり使った高カロリーレシピが多いです。
ここでも注意が必要なのは、高カロリーフードを食べ慣れていない場合は、体質的にタンパク質や脂質が多いものが合わないケースもあることです。少しずつ与えて問題なく食べられるかどうかを観察しましょう。消化器官に不調が出ると体力を失うため注意が必要です。
高タンパク、高脂質タイプのドッグフード
オリジン オリジナル
オリジン「高タンパク質」「低炭水化物」「穀物ゼロ」のコンセプトで作られた全年齢犬用ドライフードです。
エアドライ・ドッグフード NZフリーレンジチキン
ZIWI肉類が96%含まれている薄型ジャーキータイプのフードです。少量で効率よくエネルギーが摂れます。
アブソルート エアドライドッグトリーツ レッドミート(ビーフ&ベニソン)
アブソルート原材料の93%が肉原料でできたお肉感たっぷりのやわらか肉厚ジャーキーです。硬いフードが苦手な愛犬にもおすすめ。
N&D オーシャン タラ・パンプキン(オレンジ入り)成犬用
N&D皮膚被毛の健康をサポートするオメガ3脂肪酸もたっぷり含む高脂肪タイプのフード。
愛犬の状況に合った食事選び
飼い主さんが頭を抱えるのは、がんと闘うための食事を愛犬に与えられない場合です。
例えば、とても若い年齢でがんが見つかった場合、胃腸も丈夫でなんでも食べられるようなタイプなら問題ないでしょう。ですが、高齢では高タンパク質、高脂肪の食事は内臓への負担が大きいのです。
無理に与えることで下痢や嘔吐をしたり、肝臓や膵臓に炎症が起きたり、腎臓疾患があるためにそもそも高タンパク質な食事は与えられないということもあります。
胃腸機能の低下や皮膚疾患の場合
高齢でお腹が弱くなっている場合は胃腸ケア用の食事(低脂肪、高消化性)を優先して選びます。皮膚もアレルギー症状など炎症がひどい場合は、皮膚の健康を維持するための皮膚ケア用の食事がいいでしょう。日々の生活にストレスを減らすこともがんと闘うために必要だからです。
腎臓疾患
慢性腎臓病(腎不全)の場合は、タンパク質の制限が必要なため、腎臓ケア用療法食を優先することになります。
(慢性腎臓病では獣医師の診断により療法食を与えるタイミングを指導されます)
※上記はあくまで一般的な例です。治療方法によっても食事管理の内容が変わる場合がありますので、必ず獣医師の指示に従ってください。
モチベーション
がん以外の症状や病気の食事を優先することが心配な飼い主さんは多いことでしょう。たとえば糖質を制限することだけに注力してしまいがちです。
体の免疫システムが、がんと闘ってくれるためにはまずはしっかり食事を摂ることです。お腹を壊して栄養が摂れない状態や皮膚の痒みがひどくて常にイライラしているようなストレス状態では、免疫力が低下してしまいます。
また、がん細胞が糖質を積極的に使うことは試験管の中での実験結果です。このことは事実ですが、実際の体の中は正常な細胞の方が圧倒的に多いということも意識してみましょう。
まずは体を維持できる食事が、がんと闘うためにも優先されることなのです。唯一お粥なら食べられるという状態なら食べさせるべきです。愛犬の食事が選べれば、飼い主さんの心配も減りますね。飼い主さんの元気な気持ちこそ、愛犬への大きなサポートになります。
闘病時の心の健康維持
食事を喜びに
がんと闘うためには心の健康がとても大事ですね。体が動けなくて寝たきりになってしまっても、話しかけたり景色を変えてあげたり、気分転換になることをしてあげると元気な表情になったというのはよく聞くことです。
そして愛犬にとって食べる楽しみは生きる気力そのものではないでしょうか。可能な範囲で風味や食感を変えて、食べる楽しみを増やしてあげられるといいですね。主食は変えられなくても、ほんの少しの ふりかけやソースタイプのトッピングなどで変化をつけてあげるのはいかがでしょう。風味が変わることで毎日しっかり主食を食べ続けられるタイプもいますので、いろいろ試してみてください。
まとめ
がん(癌)のときの食事選びも何が正解なのかは愛犬の状態によって違ってきます。獣医師と相談しながら、愛犬の食事の楽しみが維持できるものを見つけてください。どれだけがんばっても、がんばり足りないと思って疲弊されている飼い主さんも少なくありません。
愛犬を大事に思う気持ちが心の支えになっていると思いますが、がんばり過ぎてご自身を追い詰めてしまわないように、どうか心身を労わる時間も作ってください。
愛犬への一番の応援は、飼い主さんの笑顔と健康ですから。