犬にキャベツを与えても大丈夫？

昔から胃腸にやさしい野菜として有名なキャベツ。アブラナ科アブラナ属の野菜です。おもに早春～初夏に収穫される春キャベツ、夏～秋に収穫される夏秋キャベツ、秋～冬に収穫される冬キャベツがあります。四季ごとに旬がある野菜なのですね。どの季節のものでも、問題なく犬に与えることができます。年中手に入りやすいことから、ドッグフードにトッピングしたり、手作り食の食材のひとつとしても人気が高い野菜です。

キャベツの選び方

キャベツを選ぶときは、どんなことをチェックすればいいのでしょうか。愛犬のためだけでなくご自身が選ぶときにももちろん役立つポイントをご紹介します。

良いキャベツの見分け方

• 葉がぎっしりと詰まり、重いもの
• 葉の色が鮮やかで、ハリとツヤがあるもの（新鮮な証し）
• 芯がみずみずしい白色で、ひび割れていないもの

キャベツの芯の高さがあるものが美味しいとされますが、高ければ高いほど良いわけではありません。芯が直径の3分の2以上あるものは苦みがでてくるので避けた方がよさそうです。

キャベツの栄養素とは？

キャベツの葉には、ビタミンUやビタミンC、カロテンが豊富に含まれています。特にビタミンU（別名：キャベジン）は、胃腸の粘膜の新陳代謝を活発にするものとして有名です。キャベツは胃腸にやさしい野菜。キャベツの優れた栄養素の働きをご紹介します。

ビタミンＣ

抗酸化作用があることが知られています。皮膚など細胞のイキイキや、身体のバリア機能や免疫力維持のサポートが期待でき、健康を保つ上で欠かせない栄養素のひとつです。

ビタミンＵ

胃腸の粘膜のすこやかな新陳代謝に役立ちます。健康的な胃を維持する働きが有名であり、消化吸収が心配なときに意識したい栄養素です。

ビタミンK

血液の止血や丈夫な骨の形成に必要な栄養素。ただ犬での欠乏症はまれです。本来は大腸内で生成する栄養素なので、なんとなく匂いの強いオナラが出ているときや便秘、軟便など腸の不調が続いたあとなどには食品から摂ることを意識するといいでしょう。

カルシウム

骨、心臓、筋肉、神経の健康に欠かせないカルシウムもキャベツには含まれています。含有量は小松菜の四分の一ほどですが、キャベツは比較的犬には食べやすい野菜なので、結果的に野菜の中ではカルシウム摂取の補助として役立つと考えます。

鉄分

血中酸素の運搬に欠かせない鉄分はほんの微量含んでいます。どちらかというと私たちヒトや犬にとって吸収しやすい動物性の鉄分（ヘム鉄）の吸収を助けるビタミンCが豊富なことが鉄分摂取には貢献します。

フィトケミカルほか

イソチオシアネート、ゼアキサンチン、フラボノイドなどフィトケミカルが含まれています。これらは植物が自らを守るために作り出す成分で、私たちや愛犬たちの健やかな毎日をサポートする成分として注目されています。

食物繊維

キャベツにも含まれています。同じ重さで比べるとレタスより多く、にんじんやブロッコリーより少ないです。食べやすいキャベツから食物繊維を適量摂ることがすこやかな排便に役立つことが期待できます。

キャベツの与え方

愛犬にキャベツを与えるときには、生でも加熱しても与えることができます。生のまま与える場合も加熱する場合も、みじん切りかフードプロセッサーで細かく刻むことがおすすめ。大きいままだと犬によっては未消化のままウンチにでてしまうことがあるからです。

芯の部分もビタミンCが豊富。細かく刻めば芯の部分も基本的には与えることができます。しかし与えすぎに注意しましょう。芯には硫酸イオンという中毒症状を起こす物質が含まれるともいわれています。敏感な体質や体力や免疫力が弱っている犬には避けた方が安心かもしれません。

それぞれの調理法にはメリットとデメリットがあります。犬の体質には個体差もあるので、愛犬の消化能力や組み合わせる他の食材によって使い分けるとよいでしょう。

生キャベツのメリット

• 食事のかさ増しをしたい場合にボリュームを出すことができる（ダイエット中の犬に有効）。
• 水溶性ビタミンであるビタミンC、ビタミンUを効率よく摂取できる。（水溶性ビタミンを摂りたい場合は、長時間、水にさらさないようにしましょう）

生キャベツのデメリット

• カットが大きいと消化しにくい。
• みじん切りやフードプロセッサーでドロドロにするなどできるだけ細かくする手間がかかる。

加熱キャベツのメリット

• 加熱して細胞壁を壊すと、栄養素を吸収しやすくなる。
• ボリュームを減らせるので、小食な愛犬にも食べる量を増やせる。
• 油で炒めるとカロテンなどの脂溶性ビタミンを効率よく摂取することができる。
• 茹でると、キャベツに含まれるシュウ酸を減らすことができる（シュウ酸の摂取量を減らしたい場合、ゆで汁は与えないこと）

加熱キャベツのデメリット

• 加熱したキャベツを大量に食べると、ガス発生（おなら）の原因になるので注意が必要。
• 茹でると水溶性のビタミン（ビタミンC、ビタミンU）が茹で汁に出てしまう（それらを有効に摂取したいときはスープもそのまま飲ませるとよい）。

魅力的な栄養素が豊富なキャベツですが、犬にとって主食にはなりません。たとえばキャベツと鶏ささみの組み合わせはドライフードへのトッピングとしても、手作り食のレシピとしても人気の組み合わせですが、キャベツと鶏ささみを与えるだけでは栄養バランスが偏ってしまいます。キャベツ以外の野菜や肉などの食材にも、魅力的な栄養素が含まれているものはたくさんありますので、あくまでひとつの食材として上手に使いましょう。

犬にキャベツを与えるときに注意すること

甲状腺に持病がある犬は注意

キャベツには、ヨウ素の吸収を阻害するゴイトロゲンという、甲状腺腫誘発物質が入っていることから、甲状腺に持病がある犬には与えないほうがよいと言われています。これはキャベツに限らず、ブロッコリーや小松菜、大根、白菜などのアブラナ科の野菜にも共通していえることです。甲状腺に持病がある犬は、アブラナ科の野菜は避けた方が安心ですが私たちがいちばんよく利用する野菜でもありますのでまったく無くしてしまうのは難しい問題です。
複数を大量に摂るのではなく、一日に一種類にするなど量も意識して制限するといいでしょう。

与える際には、ヨウ素の豊富な食材（わかめやひじきなどの海藻類）を同時に摂取することがおすすめです。

甲状腺の病気のリスク以外にも、食べ過ぎると下痢、嘔吐、便秘の原因になったり、シュウ酸カルシウム結石（結晶）のリスクもあるといわれているので、健康な犬に与える量は、全体の食事量の数％以内に抑えましょう。

※すでに甲状腺疾患と診断されている場合は、獣医師の指導に従って判断してください。

キャベツはメイン食材にはならない

毎日キャベツばかり与え続けないようにしよう

栄養豊富なキャベツですが、あくまで副菜として、他の食材と組み合わせて適量使うことを心がけましょう。ドッグフードにトッピングする場合も、手作り食のレシピに取り入れる場合も、毎日キャベツばかり与え続けないように気をつけましょう。野菜を与えたいときにキャベツをメインにすることに問題はありませんが、他の栄養素も必要だということを忘れないでください。

他のアブラナ科の野菜（ブロッコリー、大根、カブなど）も、犬の手作り食やトッピングに活用されやすいものです。ただ同じ種類（分類）の野菜は栄養素が似ていることも多いもの。同じ種類が偏りすぎないように組み合わせを選んだり、量や与える頻度を調節したりするよう工夫しましょう。適切な調理方法かつ適量のキャベツは、胃腸にやさしく、すこやかな排便にも役立つ野菜です。

キャベツを使った簡単レシピ

混ぜて焼くだけ　キャベツメンチカツ

材料

・馬肉パラパラミンチ　30g
・うずら卵　1個（もしくは鶏卵10g）
・キャベツ　10g
・健康一番　小さじ1
・オリーブオイル　小さじ1
※上記材料は2kgのチワワの1/2日分の目安量です。
適量を与えてください。

作り方

1 【準備】
健康一番にお湯小さじ2をかけてふやかす
キャベツはみじん切にする

2 【混ぜる】
1と馬肉、卵、キャベツ、をよく混ぜ合わせる

3 【焼く】
フライパンにオイルを熱し両面を焼く

馬肉が苦手な場合には、鶏肉や豚肉、牛肉など愛犬が食べられるミンチ肉で作ってみてくださいね。

まとめ

ビタミン豊富で、胃にやさしく、手に入りやすいキャベツ。そのためつい与える量が多かったり、長期的に与え続けてしまったりと、知らず知らずのうちに過剰摂取していることがあります。犬は雑食動物とはいっても、肉食動物に近い消化器官のつくりをしていますから、野菜であるキャベツを主食にすることはできません。持病がある場合はとくに与える量や調理法に注意し、健康な愛犬であっても食べすぎないように気をつけてくださいね。