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どのくらい与えてOK?愛犬に塩分を与えるときの注意点
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犬にとっての塩分の役割やドッグフードにはどれくらい含まれているのか、必要量や過剰摂取についてご存じですか?「犬に塩分を与えてはいけない」という思い込みは多いです。犬の体は私たちと同様に塩分(ナトリウム)はなくてはならないものです。本記事では犬の塩分に関する情報をお届けします。
塩分(ナトリウム)の主な役割
塩分とは一般的にナトリウムと塩素がくっついた塩化ナトリウム(食塩)のことを言いますが、ここでは体に必要なミネラルである「ナトリウム」についての説明です。
電気信号に必要
動物の体内の細胞は、互いにさまざまな情報をやり取りしています。この情報のやり取りには電気信号が発生し、送られますが、その際にナトリウムが必要です。ナトリウムは脳からの情報伝達のほか、筋肉の働きや血圧など、さまざまな機能に影響を与えます。
水分バランス
私たちの場合、大汗をかくと水分と同時にナトリウムも体の外に出てしまいます。そのとき体内のナトリウム濃度が薄まってしまい、バランスをとるためにさらに水分を体の外に出そうとする働きがあります。結果、水分が不足し熱中症の症状が起きます。
犬は大汗をかくことがありませんが、下痢や嘔吐が続いたり、川遊びなどで水を大量に飲んだりしたときなどに体内のナトリウム濃度が低くなり不調が出ます。
愛犬の塩分(ナトリウム)はヒトと同量?
ドッグフードに含まれる栄養基準は各専門の機関が制定しています。最も有名なのがAAFCO(アフコ)と呼ばれる米国飼料検査官協会です。
AAFCOの表にはナトリウムの量が書かれています。ナトリウム量の2.54倍が食塩相当量になります。
・ナトリウム(g)×2.54=食塩相当量(g)
犬が一日に摂取すべき塩分の最低限度量
例)体重5㎏成犬の場合:ナトリウム量およそ0.06g/日
⇒食塩相当量は0.15g
ちなみに日本人成人のナトリウム量およそ0.6g
⇒食塩相当量は1.5g (食塩小さじ1杯は6g)
ちょうど成人は体重5㎏の犬の塩分量の10倍になります。
成人で体重50㎏というと少し細め体型の女性を想像しますが、体重当たりに必要な塩分は犬も成人も変わりないのがわかります。あくまで最低限度量のことです。
一日に必要な塩分の最高限度量
AAFCOでは犬のナトリウム量の最高限度量は制定されていません。
理由の一つはナトリウムの過剰分は尿から排泄されるから。健康であれば体に蓄積されることはありません。
ですが、私たち日本人は塩分の摂り過ぎが問題で高血圧という症状を招いているように、過剰が続けば健康に影響が出てきます。
また、塩分の排泄は主に腎臓で作られる尿からです。その次に汗です。私たちヒトは大量に汗をかくと塩分の補給を意識するくらいですが、犬は塩分を排泄できる汗腺が肉球と鼻しかないため、汗からの排泄はあまり期待できません。私たちよりも塩分過剰に気をつけたいですね。
ドッグフードに含まれる塩分量
ドッグフードの成分値を参考に塩分がどれくらい含まれているか比較してみました。条件としては成犬5㎏でメーカーの給与量通りにフードを与えた場合としています。
参考商品のブランド名は成分値を公開しているナチュラルハーベストです。
(フードは2024年9月時点で公開されている成分値を参考にしています)
・シュープリーム
(成犬・シニア犬用)...食塩相当量は0.96g(ナトリウムとして0.38g)
・マイリトルダーリン
(小型犬全年齢用)...食塩相当量は1.2g(ナトリウムとして0.48g)
塩分の見た目の量の目安として塩少々(親指と人差し指でつまむ量)はおよそ約0.3~0.6gです。竹輪1本には1gの塩分が含まれています。昔はおやつ代わりに1本丸ごと与えられる様子をみかけることがありました。愛犬(パートナー)たちにとってどれほど塩分過剰になるかを考えると危険です。
成犬・シニア犬用よりも小型犬全年齢用のほうが多く含まれています。小さな体型(体積が小さい)ほど体重あたりに必要なエネルギー量が多くなりますが、ナトリウム量もそれと同様に多くなります。
一般的に結石ケア用フードのナトリウム量はかなり多めです。結石の予防には水分補給がとても大事なため、飲水量を増やすことを期待したレシピになっています。そのため、獣医師からナトリウムの制限を指導されている場合(例えば心臓病や腎臓病)は注意が必要です。必ず、どの症状を優先してケアをするべきか相談した上でフード選びを行いましょう。
完全手作り食の場合の塩分の考え方
ドッグフードには塩分がしっかり含まれています。完全手作り食の場合も少量の塩分を意識すべきでしょう。肉などの食材にもナトリウムは含まれていますが、それだけでは不足しがちです。たまにはほんの少量の岩塩(ナトリウムだけでなくほかのミネラルも摂れる)や味噌、最近では塩こうじを使って調理する飼い主さんも増えてきました。
体重5㎏の小型犬なら軽めにひとつまみくらいの岩塩を入れても問題のない量(1日分として)です。心配な場合は2~3日に1回は入れるなど試してみてはいかがでしょう。
愛犬の手作り食には使いやすい低塩の味噌を使ってみるのはいかがですか。
※主食以外に塩分が含まれているものを与えている場合は控えてください。
塩分(ナトリウム)の過剰摂取
前述のドッグフードに含まれる塩分量を見ればわかるとおり、愛犬たちの食事は主にドッグフードであれば、必要な塩分が充分に含まれています。そのためドッグフードをきちんと食べているのに、私たちのおかずやおやつといった味の濃いもの(塩分が多量に使われている)を与えてしまうと過剰になってしまいます。
体に過剰な塩分はおしっことして体の外に排出されますが、習慣的に過剰が続くことは内臓に負担をかけます。特に交感神経と関りが深いので血管を縮めて高血圧を招き、それが心臓や腎臓の健康を害します。特に加齢により心臓や腎臓が衰えている場合は気をつけましょう。
ちなみに厚生労働省の指針では日本人(成人)の塩分摂取量の一日分は男性7.5g未満、女性6.5g未満としています。
これはラーメンやうどんを汁ごと1杯相当量。私たちは簡単に塩分を摂り過ぎてしまいますね。
体重5㎏の小型犬なら薄切りロースハム3枚でドッグフード1日分の塩分量になってしまいます。うっかりと私たちの食卓のものを食べられないよう注意しましょう。
まとめ
愛犬の健康を考える時、私たち自身の健康も意識させられますね。ラーメンの塩分量を知ってしまうとスープを全部飲み干すことは避けたいものですが、おいしさの誘惑には負けてしまいがち。その分、どこかで調整した方がいいでしょう。
愛犬たちのためにも自分自身の健康は大事です。みなさんも一度食生活を見直してみませんか。
【参考資料】
・ペットフーディスト養成講座Vol.1
・NATURAL Harvest新パッケージ成分値(2024年9月時点)