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犬も夢を見る?寝言を言うの?寝ている犬たちの不思議な行動
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- 専門家監修
寝ている時の愛犬の不思議な行動を見たことはありませんか?犬も人間と同じように夢を見るのかは科学的に立証されていないものの、ある研究では良い夢を見させてあげるためにできることもあるとされています。そのためには私たちとの関係性や環境も影響します。ぜひ最後までお読みください。
犬も夢を見るの?
そもそも犬は夢を見るのでしょうか?
残念ながら、今の科学では犬が夢を見ているかどうかはわからないというのが答えです。科学的に調べる研究などが行われたり、立証がされたりはしていません。
人間は、寝ているのに脳の中で映像を見た、つまり「夢を見た」と話すことができますが、犬がヒトと同じように夢を見ているかどうかについては、犬に聞いてみないとわからないので、正確なところわからないというのが現実です。科学的に立証できないのは仕方がないことかもしれません。
人間の場合は、夢を見ているときにMRI(磁気共鳴画像装置)で被験者の脳のどの部分が活発に活動しているかを正確に計測し、人が無意識下で見ている夢の内容を読み取ることに成功したと、米科学誌「サイエンス(Science)」が伝えています(2013年4月、AFPより抜粋)。
しかし、犬のMRIは犬に全身麻酔をかけますから、脳の働きは普通に寝ているときと異なってしまいます。犬は、人間と違って検査しにくいのですね。
いつか、寝ている犬の頭の中で視覚に関する部分の脳が働いているかどうか、寝ているときに犬が見ている映像を映し出せるような新しい発明が登場するかもしれません。そうすれば「犬も夢を見る」と科学的に証明できる日が来るかもしれません。愛犬がどんな夢を見ているのか、ぜひとも知りたいところです。
レム睡眠、ノンレム睡眠は犬にもある?
ヒトの睡眠でしばしば目にする言葉、レム睡眠、ノンレム睡眠。どんな睡眠のことでしょうか。
- レム睡眠は、体は寝ているが、脳は起きている状態のことを言う。このときに人間は夢を見ます。
- ノンレム睡眠は、脳も体も寝ている状態のことを言う。このとき人間は夢を見ず、ぐっすり深く寝入っています。
人間は、レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返す ことがわかっています。これは睡眠中に脳波を測ることによりわかります。しかし犬の場合は、まだそのような本格的な研究がなされていないようです。ごく少数の犬の脳波をとったという論文はあり、犬にも人間と同じようにレム睡眠とノンレム睡眠があるようだと書いてあるものは存在するようです。一般的に、人間の場合、レム睡眠とノンレム睡眠は90分のサイクルで繰り返されていると言われます。しかし犬の眠りサイクルはまだはっきりとわかっていない部分が多いのです。
では、犬は、1日どのくらいの時間寝ているものなのでしょうか。犬の場合は、人間のように夜間に連続的に長時間寝るのではなく、ちょこちょこと睡眠をとり、その時間を合計すると1日12時間〜18時間くらいの時間になるそうです。思った以上に寝ていますね。
犬はこまめな睡眠=レム睡眠で脳は起きている状態のことが多く、本格的にぐっすり寝込む=ノンレム睡眠で脳も寝ている時間は短いのではないかという印象を藤井先生自身もお持ちのようです。
番犬(ドーベルマンなど)や護羊犬(ピレネー・マウンテン・ドッグなど)、家畜追い犬(コーギーなど)のような仕事をしていた犬種は、泥棒やオオカミなどの外敵が近づいてきたら敏感にキャッチして吠えて知らせたり、追い立てたりします。そんな風に家財や家畜を守らなければなりませんから、犬種によって、ぐっすり寝込むノンレム睡眠の時間は短いのかもしれません。
犬種に関係なく犬は、人間よりも野生の本能が濃く残っていると考えられています。子犬ならば、ぐっすり寝ていて呼んでも起きないことが多いですが、成犬の場合、寝ていても呼べばパッと起きて寄ってきたり、薄目を開けてしっぽを振ったりすることも。犬は「寝たふり」をしているわけではなく、ちょこちょこと寝ているだけで、ぐっすり完全に寝落ちするような時間は短いのだと推察されます。野生動物だったら、人間のように無防備に寝てしまうと天敵に襲われることもありますから、犬にもその名残がありそうです。
一方、ぐっすり寝込むノンレム睡眠も、犬にあると考えてよさそうです。
寝ているときの不思議な行動
夢を見ているのかどうかは、犬に聞いてみないことにはわからないとしても、寝ているときに犬が行っている不思議で、面白くて、不可解な行動は、どう見ればいいのでしょうか。何か意味があるのでしょうか。たとえば、みなさんのおうちの愛犬は、寝ているときに、下記のようなことをしませんか。
- 寝言(遠吠え、吠える、クーンクーンと鳴くなど)
- 尻尾を振る
- 痙攣、走るようなしぐさ(足をバタバタ、ピクピクさせる)
- 耳や目がピクピク動く
- 興奮している(呼吸数増加など)
- 夢遊病、寝ぼける
犬のこれらの行動はすべて、何の意識もなくやっているそうです。なんと無意識なのですね。
けれど、たとえば自然の中をたくさん走った日や、たくさんの犬に会った日など、刺激が強くてくたびれた夜寝ているときに、このような不思議な行動をとることが多い気がしますが、何も関係はないのでしょうか。
人間の場合では、その日にあったこと、記憶、感情などを寝ながら脳の中で整理すると言われています。人間でもまだ仮説の段階ですが、もしかすると、犬も同様に、その日の出来事を寝ながら脳の中で整理している可能性はあるかもしれないそうです。いっぱい走った日に、寝ながら足をバタバタ、ピクピク、まるで駆けるような仕草をするのなら、そのときの記憶、楽しかった感情が、そうさせているのかもしれません。本当のところはやはりわかりませんが、もしかしたら、と思うだけでも「今日は楽しかったのかな。満足したのかな」と、なんだか愛しさが増してきますね。
病気の可能性はある?
寝ているときに見せる不思議な行動は、ときに苦しそうだったり、興奮しているように見えるときもあり、このまま放っておいてよいものかと心配になる場合もありますね。
意識がなく寝ている最中に動くしぐさや自分の意志に反して動いてしまうことは、苦しい、辛いの合図や、脳腫瘍など脳の病気の可能性もあります。また脳の異常がないのに病的に身体が動くてんかんの可能性も否定できません。単発な動きや短時間のしぐさですめば、そう深刻なものではないはずです。でもやはり、愛犬のことをよく観察する目を持つことが欠かせません。
ココをチェック! 犬が寝ているときに見せる要注意なしぐさ
- 動きが激しすぎる
- 以前より動きの激しさが増してきた
- その行動が長時間に及ぶ
- 1日に何回も何回も繰り返す
このようなときは、脳の病気が疑われます。脳に病気があるかは、MRIや脳波をとることによりわかります。しかし脳波の検査器機は近所の動物病院にはなかなかない特別なものです。関東地域では、たとえば東京大学大学院農学生命科学研究科附属動物医療センターで脳波検査を行えます。必要があれば、まずはホームドクターに相談し、紹介状をもらいましょう。
愛犬が寝ているときの行動を動画など映像で録画しておき、獣医師に見せると症状の説明に役立ちます。また、日記のように記録をつけておくのも貴重な判断材料となります。「1日に何回、何分間」「発症時刻」などをメモに残し、動物病院に持参しましょう。「ただ寝ぼけているだけ」という診断になるかもしれませんが、それならそれで安心できますね。映像やその記録を獣医師に見せて報告するだけなので簡単です。
睡眠の質と心身の健康の関係
この項は、ドッグトレーナーであるケーナイン・ストレスケア・スペシャリストの清水克久さんによる記事から抜粋したものです。(他の項はガニング亜紀さんによる内容です)
犬も夢を見ている説
犬も人間同様に日々の体験などに関して夢を見ている可能性が有ると発表しているのは、ハーバード大学のメディカルスクールの臨床・進化心理学者であるデアドラ・バレット博士(Dr. Deirdre Barrett)です。彼女は、長年に渡り人間の睡眠に関して研究を続けてきている権威であり、今回は外挿法によって推測したもので、犬も人間同様に日々の体験などに関して夢を見ている可能性が有るとのことです。
あくまで可能性としている理由として次のように述べています。「実際に聞くことはできませんので犬たちが本当にどんな夢を見ているかは分かりませんし、また夢を見ることすらしているかも確証はありません。しかし、ほとんどの哺乳類の睡眠サイクルにはREM睡眠の観察や筋肉の弛緩などに共通点があり、これを考慮すると、哺乳類も夢を見ているというのが最良の推測となります」
そして、対話の中で、最後にオーナーに対してこうアドバイスをしています。
「自分のペットや子ども達に良い夢を見させてあげる方法は、日中に楽しく幸せな体験を沢山することであり、安心してリラックスできる環境で十分に睡眠をとらせてあげることである!」
多くの科学者も、動物たちが夢を見ているという見解を出していますが、その反面確証がないために否定する専門家もいます。しかし、記憶の作られ方のメカニズムや睡眠サイクルを考慮すると、やはり夢を見ているというのが正しいと思います。
また、犬と一緒に生活をしていると、彼らが一生懸命走っているような行動や、何かを食べているのではと思うような口の動きをさせること。そして、起きたときに寝ぼけて目の前に有ったごはんが無くなってしまったかのような行動を見ると、やはり夢を見ているという方が腑に落ちる気がします。増して、オーナーとの楽しい時間や一日を復習しているのであれば、オーナーにとって嬉しいですね!
良い睡眠が安定した性格もつくる
そして、博士からの最も重要アドバイスをご紹介します。
「犬たちの睡眠福祉を考えると、日中に良い経験をどれだけできるか?どれだけ幸せな時間を過ごすことができるかが重要」
睡眠の質は身体と精神の健康に大きく影響を与えます。よって、快眠を促すことができれば、その犬の全体の福祉も向上させることが可能であり、より落ち着いた性格になったり、安定した行動を期待できることになります。
【良い経験=良い絆】
これらの情報を元に、普段の生活を考えると、まず幼少期の経験や記憶が性格の基本部分を構築すると仮定されることから、小さいときにどれだけ良い経験をするかもその犬の精神福祉環境の安定に繋がることになります。これは、対オーナーに関してもそうですが、母親や父親、そして同腹の兄弟・姉妹たちからの影響も大きく、犬が犬から学ぶことも非常に多い点にあります。また、勿論良い経験をすることは成長してからもとても重要で、その経験の蓄積がオーナー様との「絆」となり、より強い関係を築く大きな要因にもなります。
睡眠のサポートにおすすめの商品
睡眠時間はリラックスできることが大事。神経をリラックスに導くサポートはビタミンB群(特にB6)が役立ちます。たとえば、セロトニンやGABAといった成分名を聞いたことはないでしょうか。簡単にいうとリラックスや気分の安定に深く関わる神経伝達物質です。セロトニンは気分を安定させ、幸福感をもたらし、GABAは脳の興奮を抑えてリラックスを促します。これらの成分の生成に使われるのがビタミンB6なのです。
ビタミンB6は次の食材に豊富に含まれています。
・にんにく
・赤身肉(牛肉、豚肉、ラム肉など)
・鶏肉ではささみ
・マグロ
・カツオ
・果物ではバナナ
おやつやトッピングを与えるときに、意識してみてはいかがでしょう。
まとめ
この記事では行動学の専門家による犬が見ているかもしれない夢のことや睡眠についてご紹介しました。
犬はちょこちょこと寝るスタイルといっても、やはり人と同じように夜間に寝る時間を確保することが良いといわれていること、良い睡眠が心身の健康を育むこともわかりました。
ぜひ、愛犬にも十分な睡眠が確保できるような環境を整えてあげましょう。暗くて、静かで、落ち着ける寝床に、犬が自由に出入りできるようにするのがおすすめです。そうした平穏な環境で、寝ながら口を動かしたり、ちょっと足をパタパタとさせていたら、犬が夢を見ているかどうかは断定できないとしても、幸せに寝入っている姿であるのに間違いはなさそうです。愛犬の健やかな眠りについてもぜひ考えてみてはいかがでしょうか。
※この記事は獣医師の藤井仁美さんとケーナイン・ストレスケア・スペシャリストの清水克久さんに取材した記事をGREEN DOG & CAT ライフナビ編集部が編集しお届けしています。