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「犬の1年は人間の7年」はもう古い?犬の年齢を人間に換算する新しい研究結果を見て思うこと
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「犬の年齢を人間に換算すると◯◯歳くらい」の目安として、以前は「犬の1年は人間の7年」というザックリした計算方法が知られていました。その後、犬のサイズ別に細かく調整した早見表などが普及して、犬の人間換算年齢は7年説の頃よりも少し若返りました。そしてさらにアメリカの研究チームが、犬の年齢を人間に換算する方法についての研究を発表しました。
我が家の2匹の犬たちは14歳の中型犬と13歳の小型犬です。どちらもシニア犬(老犬)ですので、それぞれに年相応の健康上の悩みも抱えています。
犬の年齢を人間に換算した早見表などで見ると、中型犬の14歳は70代後半、小型犬の13歳は60代後半になるので、加齢に伴うあれこれが出るのも無理のないことだと考えています。
けれど一方で「人間なら80歳近い人がこんなに元気に走るなんて、ちょっと考えられなくない?」などと感じる場面もたくさんあって、本当のところはどのくらいの意識でいればいいのだろう?と、犬の年齢について思いを巡らすことの多い日々です。
そんなところに、犬の年齢を人間に換算する場合の新しい方式が発表されたというニュースが目に飛び込んで来ました。
※この記事はオウンドメディア「犬のココカラ」に掲載されたガニング亜紀さんの原稿を元に、GREEN DOG & CAT ライフナビ編集部が編集してお届けしています。
犬の年齢を人間に換算する決め手はDNA
2019年11月、アメリカのカリフォルニア大学サンディエゴ校の遺伝学者ティナ・ワン氏が率いる研究チームが、犬の年齢を人間に換算する方法についての研究を発表しました。
この研究では、加齢とともに犬のDNAに対して起きる変化、その中でも特に「メチル基」の存在が注目されました。
メチル基とは年月の経過に伴って生体内でDNAにくっついていく分子のひとつです。DNAにメチル基がくっつくことをDNAメチル化と言います。
人間ではDNAメチル化のレベルと生物学的年齢に強い相関性があることがわかっています。
研究チームは1ヶ月齢から16歳までの約100匹の犬の血液サンプルから、DNAメチル化レベルを含むDNA分析を行いました。犬の種類は主にラブラドールでした。
次に犬のDNAメチル化の分析結果を人間のDNAメチル化のデータと比較した結果、犬は人間とよく似た経過でメチル化が進行することがわかりました。
幼い犬のメチル化したDNAのレベルは人間の子供と似ており、シニアの犬と人間もよく似ていました。
犬の8週齢は人間の9ヶ月の赤ちゃん

比較分析の結果から、犬の8週齢は人間で言えば9ヶ月の赤ちゃんに相当することがわかりました。どちらの種においても乳歯が生え始める時期です。
ラブラドールの平均寿命である12歳は、人間の世界的な平均寿命である70歳に対応していました。
しかしこの中間である若犬の時期と成犬の時期は、犬は人間と比べて老化が早く進んでいることもわかりました。例えば2歳の犬は人間年齢では42歳になるそうです。
この換算年齢の計算式は 16×ln(犬の年齢の自然対数)+31 となります。
lnはnatural logarithmの略で自然対数を表しますが、関数電卓を使うと自動的に計算してくれます。
興味のある方はGoogleで関数電卓と入力して検索すると、オンラインで使える関数電卓が表示されるので上記の通りの計算式を入力して計算してみてください。
ただし、これはラブラドールについて算出された式なので、他の犬種では老化の率が異なると研究者は述べています。
参考程度に我が家の中型犬の年齢で計算してみると約73歳という結果が出ました。
ラブラドールよりも体の小さい犬なので、大まかですが60代後半というところかな?と思っています。
今まで70代後半かと考えていたところから一気に10歳も若返って、ちょっと得をした気分です。
犬の年齢を思う時に感じること

DNAを分析することで犬の生物学的年齢が人間で言えばどのくらいの年齢になるのかが従来よりも正確にわかるとすれば、日々の生活のイメージも掴みやすくなり便利でありがたいことだと思います。特にシニア期に入ってからはなおさらです。
個人的には2歳の犬は40代の人間より、4歳の犬は50代の人間よりも身体的にずっと若いのではないかと感じますが、犬と人は種の違う生き物ですから身体能力と細胞の老化はまた違う進行の仕方をするのかもしれませんね。
そして犬の精神面での年齢は、身体の機能や細胞レベルとはまったく違う進行をするのもみなさんがご存じの通りです。
確実に老化している内臓や筋肉、そのくせ気分さえ乗ればまだまだ私よりも早く走る身体能力、そして子犬の頃と変わらないままの甘えん坊で遊び好きな性格、年を重ねた犬はその複雑なチグハグさまで愛おしい存在です。
自分自身の方は、正確なことを知りたい気持ちと、でもうちの犬はその換算年齢よりも若々しいんじゃないか?という受け入れたくない気持ちも同時に感じます。
犬の年齢のことを思う時はいつもこんな風に、頭で冷静に考えようとする部分と、甘くてほろ苦い感情の部分がせめぎ合って、犬だけでなく自分もまたチグハグで矛盾した部分を抱えてしまいます。
犬の年齢換算表
ここでは、2種類の犬の年齢表をGREEN DOG & CAT ライフナビ編集部が説明します。
①新しい考え方で求めた犬の年齢換算表
ガニング亜紀さんが紹介しているカリフォルニア大学サンディエゴ校研究チームが導き出した計算式「16×ln(犬の年齢の)+31」で求めたものです。

多くはラブラドール・レトリーバーで実験して導き出した計算式なので、特に小型犬の場合は調整が必要だと考えます。
大型犬の年齢だとしても、1歳で31歳になっているなんて驚くほどの早さだと思いますし、7歳くらいまでは年齢が高すぎると感じてしまいます。ですが、従来の計算方法よりも高齢期は若い年齢になります。
②人間の年齢に換算した犬・猫の年齢の目安
従来の7歳ずつ年を取る説を元に環境省が出している犬の年齢表です。

*品種や飼育環境等によって違ってきます
参照元:環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」
・大型犬は、生後2歳で19歳になり、それ以降は1年に7歳ずつ年を取る。
・小・中型犬・猫は、生後2歳で24歳になり、それ以降は1年に4歳ずつ年を取る。
愛犬の年齢が若いうちは②を参考に、8歳以降は①を参考にするとしっくりくるのではないでしょうか。健康状態や見た目の活発度によっても年齢のイメージは変わりますので、あくまで目安の参考にして、愛犬の健康サポートへの意識づけにしてみてはいかがでしょう。
まとめ

犬の年齢が人間で言えばどのくらいに相当するのかを算出する新しい研究と方式が発表されたという話題をご紹介しました。
研究チームは今後他の犬種についてもDNA分析をしていく必要があると述べていますので、ラブラドール以外の計算式も発表されるかもしれません。
愛犬が今どのくらいのライフステージにいるのかを、人間の年齢に換算することでより具体的にイメージするのは大切なことです。
そして何より、今犬が目の前にいてくれることの幸せを思い切り噛みしめていたいと思います。
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