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犬に洋服は必要?不要?飼い主なら知っておきたい犬と洋服のはなし
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もしもパートナー(愛犬)が「防寒用の洋服を着たことがない」「マズルカバーを装着したことがない」という場合、これらを快適に身につけられるようにトレーニングすることは、愛犬のための立派な目標になります。どうして洋服やマズルカバーのためのトレーニングをしておく必要があるのか、ぜひご覧になってみてください。
※この記事はオウンドメディア「犬のココカラ」に掲載されたガニング亜紀さんの原稿を元に、GREEN DOG & CAT ライフナビ編集部が編集してお届けしています。
犬が洋服の恩恵を受ける、その時のために

冷え込みの厳しいこの季節ですが、犬のお散歩には欠かさず行くという方も多いでしょう。
寒くないようにと防寒用のコートや暖かいセーターを着せようとすると、当の犬は「そんなもの着たくない!」と逃げ回ったり、おとなしく着てくれたもののドンヨリ落ち込んで動かなくなってしまったり、そんな経験はないでしょうか。
実はこれは我が家の犬のことでもあります。
幸い私が住んでいる場所は冬でも温暖な気候で、短毛の犬でも洋服が必須というわけではありません。そのために犬が若い頃は「そんなに嫌なら無理することはないね」と洋服を着せるためのトレーニングなど考えてもいませんでした。
けれども年齢を重ねて関節炎や腎臓の疾患を持つようになると、たまにある気温の低い日や北風の強い日にはやはり冷えが気になります。
かかりつけの獣医さんからも、関節炎も腎疾患も背中から腰にかけて冷やさないよう注意が必要と言われていたので簡単に着脱ができるコートを買ったものの、やはり着るのを嫌がります。
犬が12歳を超えた頃になって「こんなことなら若いうちから洋服に慣らしておけば良かった」と悔やむことになってしまいました。
洋服を着ることに慣れておくと、夏の暑さ対策のクールシャツ、雷などへの恐怖対策のサンダーシャツ、手術を受けた時の術後服などにもストレスを感じないで済みます。
犬の洋服は可愛いだけではなく、身体を守る役目を果たすこともあります。その時のために日頃から洋服に慣れておくのは良いことです。
マズルカバーの犬への恩恵とは?

主に噛みつき防止の目的で使われるマズルカバー(口輪)は、多くの人にとって洋服よりもずっとハードルが高いものかもしれません。
「うちの犬が誰かを咬むなんてあり得ない」という飼い主さんは少なくないですし、通常のトリミングや診察時にはマズルカバーの必要を感じたことがないという人も多いでしょう。
けれども怪我をして痛みを感じている時の治療は通常の健康診断の時と違うことはままあります。犬が痛みや恐怖から、治療をしようとする人に攻撃的になってしまうのは珍しいことではありません。
そのような「いざという時」に無理やりマズルカバーを装着してストレスや恐怖をさらに強くしてしまうことは、犬のためにも周囲の人間のためにも良くありません。
普段から「マズルカバーを着けると良いことがある、嫌なものではない」という意識を根付かせておくと、いざという時にスムーズに対応できて人も犬も安全という大きな恩恵が得られます。
マズルカバーには口が全く開けられないタイプと、パンティングや水を飲むのに支障のないバスケットタイプがありますが、少しずつ慣れておくにはバスケットタイプの方が馴染みやすいかと思います。
口が開けられない筒型のタイプは、病院での診察など短時間の使用に限定し、長時間の着用や散歩時の使用は避けてください。
犬が洋服に慣れるためのトレーニングのコツは"ベイビーステップ"

洋服やマズルカバーに少しずつ慣れて最終的に無理なく快適に着用できるようにするためのトレーニングは、毎日数回の短い練習で少しずつ行います。簡単な手順は以下の通りです。
これまで洋服を嫌がって着せられなかった愛犬にもこの方法でトレーニングをやり直してみてください。
1.洋服やマズルカバーを犬から1〜2メートル離れた位置に置いて見せます。犬がチラッとそちらを見たらトリーツを与えます。トリーツは犬が大好きでめったにもらえない価値の高いものを、ごく小さくして使います。洋服やカバーを見ると喜んでトリーツを期待する様子が見られるまで繰り返します。
2.1と同じことを、少しずつ距離を縮めながら繰り返します。犬は洋服やカバーを嗅いだり触れたりする必要はなく見るだけでOKです。見る〜トリーツの流れの成功率が8割以上になれば次のステップに進みます。
3.洋服なら犬の前脚に2〜3秒そっと当ててみます。犬が嫌がらなければ褒めてトリーツを与えます。マズルなら鼻先にそっと出してみます。匂いを嗅げば褒めてトリーツです。これも成功率8割を目標に繰り返します。
4.洋服なら犬の体に当てる時間を少しずつ長く当たる部分を少しずつ大きくして、その度に褒めてトリーツを与えます。マズルならカバーの内側にトリーツを乗せて自主的に鼻先を入れるよう促します。成功すれば少しずつカバーの深いところにトリーツを置き鼻先が完全に入るまで少しずつ繰り返します。どちらも嫌がった時には、犬が快適な段階まで戻ります。
5.洋服を犬の背中に置いてみて嫌がらなければ服を外してトリーツを与えます。成功率が8割以上になれば洋服の留め具やテープを留めます。初めての洋服は頭や前脚を通す必要のない「乗せて留めるタイプ」が最適です。
6.マズルカバーに犬が鼻先を完全に入れた状態で5秒待っていられたらトリーツ、次に10秒待てたらトリーツで、カバーに鼻先を入れた状態で落ち着いていられるようになればカバーのストラップを留めます。ストラップを留めたらすぐにトリーツを与え、またすぐにストラップを外します。ストラップを外すまでの時間を少しずつ延長して行きます。
このようにかなり気長に少しずつ、赤ちゃんが歩き方を覚えるように一歩一歩進めて行きます。
これは爪切りや歯磨きのためのハズバンダリートレーニングとして知られている方法と同じです。ハズバンダリーとは「畜産の」という意味で、元々は家畜動物の診察などのために開発された方法です。
洋服もマズルカバーも必要になってから初めて使用するのではなく、先回りして準備しておくことが犬も人も不要なストレスを感じないために大切なことです。
愛犬に合うサイズを選ぶ
(GREEN DOG & CAT ライフナビ編集部追記)
せっかく購入した洋服のサイズが合わないということはよくあります。大きい場合は着せられるから問題ないと考えがちですが、実は脱げやすいと足が絡まって怪我をする場合があります。
実店舗であれば、手に取って生地が伸びやすいか、愛犬の体に合っているかだいたいの目測がつき、また試着できる場合もあります。店舗スタッフに相談して決めるのが一番良いでしょう。
むずかしいのは通販サイトでの購入です。まずは、サイズ表を見てその書かれている寸法が体のサイズのことか、洋服のサイズのことか、知る必要があります。
たとえば、【対応サイズ】であれば愛犬の体のサイズのこと、【平置き寸法】であれば洋服そのもののサイズを示します。
まずは愛犬の体のサイズを計っておく必要があります。計る場所は、ペット用アパレル商品のサイズの選び方・採寸方を参考になさってください。
体のサイズを計るにはまっすぐな物差しでは無理ですので、メジャー(巻き尺)を使います。無い場合には、紐を用意して愛犬の体に巻き付け必要な長さをチェックします。後からその紐の長さを物差しで確認するといいでしょう。
サイズ選びのポイント
洋服選びの際は、まずは胴回りを確認します。犬の胴回りとは前肢のすぐ後ろ、胸が一番厚い部分のことです。胴が入らなければ洋服は着せることができません。胴回りを基準にすると、場合によっては首周りが大きくなってしまいますが、首が入らなくて着せられないという事態を避けられます。 胴回りが大きいだけならゴムをつけて縮めるなどの方法があります。 フレンチブルドッグや、イタリアングレーハウンドなど特徴的な体型の場合は、できるだけ犬種専用の洋服を選ぶようにするといいでしょう。
まとめ

今時は楽しんでいる人がたくさんいる犬の洋服も、口輪という少しハードルの高いツールも、上辺の印象だけではない大切な意味が含まれています。犬が若いうち、元気で健康な時には思いもしなかったことで、その意味を実感することがあります。
とは言え、どちらも本来は犬にとって不自然なものなので彼らが嫌がるのも無理のないことです。普段から少しずつ慣れて犬が快適でいられるようにしておくことで、いざという時に犬との信頼関係を損なうことなく対応できます。
私も失敗してしまった一人ですが、ベイビーステップで少しずつやり直すことができました。愛犬と一緒に取り組める目標としていかがでしょうか。
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