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犬の拾い食いをやめさせるコツやしつけ方法とは
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犬の匂いに対する好奇心は満たしてあげたいけれど、拾い食いは犬を命の危険にさらすこともあります。今回は、危険な犬の拾い食いを防止するコツやしつけの方法について説明します。
なぜ犬は拾い食いをするの?
まず、人間と違って、犬には地面に落ちているものが汚いとか病気が感染するかもしれないという感覚はありません。食べることは、生きるうえで基本の行動ですから、自然な行動といえます。たとえば、かつて保護犬などで放浪の経験をしたことがある犬にとっては、生きるために今まで普通にやってきた行動であり、実際にそうやって生きながらえた犬もいます。保護犬でなかったとしても、今まで過ごしていた環境によって栄養バランスが満たされていなかった場合も同じかもしれません。でも子犬のときからじゅうぶんにおなかを満たす生活をしていたとしても、拾い食いは悪いことという意識はなく、犬にとっては普通のことです。まずそこを理解してあげましょう。
また、狩猟本能を刺激されて拾い食いをするという場合もあります。葉っぱがハラリと舞ったら、もうほとんど無意識に、本能的にパクリとしたくなります。ネズミが目の前を走ったら反射的にパクリとする犬もいます。目の前に動くモノにパッと反応してしまうのです。とくに好奇心の強い子犬や、テリア、猟犬などはそういう行動をとることが多いようです。こちらも狩猟本能ゆえの自然な行動です。
犬の拾い食いはやめさせよう!
犬の気持ちからしてみると自然な本能的な行動なので、いきなり叱られたら理解できないでしょう。しかしここは愛犬(パートナー)の生命と健康を守るために、人間社会でのルールを教える必要があります。
なぜ拾い食いの悪癖をやめさせないといけないのでしょうか。主な理由は次の3つです。
命の危険
犬にとって毒性のあるもの、腐敗が進んでいるもの、串や鳥の骨など刺さると危険なものなどが落ちていることがあります。農地などでは、害獣駆除のために駆除薬を用いている地域もあります。また近年では、農薬入りウィンナーを路上に置くといった、虐待目的なのか愉快犯なのかわかりませんが、動物が犠牲となる許しがたい犯行も増加しています。自宅の近くであっても、旅先でも、油断はできません。
内部寄生虫などの人畜共通感染症の恐れ
回虫、鉤虫(こうちゅう)、条虫、コクシジウムなど、ほかの動物の便などから経口感染する恐れもあります。拾い食いしたあとに、急に下痢などの症状がでたときは、病院で検便すると内部寄生虫やその卵が見つかることがあります。とくに衛生状態が確認できない不特定多数の犬が集まる場所(ドッグランや野良犬が多いエリアなど)や、犬以外の動物でも共通の内部寄生虫は多いので、野生動物のいるところでも注意が必要です。また内部寄生虫の多くのは、人とも共通のものが多いですから、犬の排泄物の掃除やおしりのまわりを拭いてあげるときなどはじゅうぶんに気をつけましょう(詳しい対処法は、病気がわかったときに獣医さんに確認してください)。
下痢や嘔吐などの体調不良
命まで危険がおよぶものや内部寄生虫やウィルス感染のような感染症ではなくても、口にしたものが食べ慣れていないものだったり、個々の体質に合っていないものだったりすることで、下痢をしたり嘔吐をしたりすることもあります。
ココをチェック!
拾い食い危険物リスト
よくある拾い食い、誤食、誤飲しやすいものを屋外、屋内ともに紹介します。
屋外の危険物
焼き鳥の串や楊枝 落ちているお弁当の残り容器に入っていたり、お花見やバーベキュー広場などで落ちていたりするので要注意。クンクンと下を向かせないようにしましょう。
動物の糞・死骸 感染症の恐れがあります。
農薬、毒物 道路になぜかわざと落ちているウィンナーなどの美味しそうなものや、畑のそばに置いてある毒団子などは絶対に注意が必要です。
有毒植物 梅の実、スズランなど、致死率の高いものは庭には植えない、花壇には近寄らせないように配慮します。
屋内の危険物
食材 ネギ類、チョコレート、キシリトールガムなど、人間には大丈夫でも、犬にとっては危険な食材があります。
薬品、犬用駆虫剤、化粧品、洗剤 ヒト用の薬品はもちろん、とくに犬用の駆虫剤のチュアブルタイプなどはジャーキーなどのいい香りがついているので、必ず片付けておくこと。また除光液、洗剤、漂白剤なども危ないです。
観葉植物や野菜類 ポインセチアやクリスマスローズ、モンステラなどの観葉植物は毒性があるので、犬がかじれない高さか、違う部屋に置きましょう。ナス科、バラ科、ツツジ科のものも犬にとっては危険です。またジャガイモの芽の部分には毒があるのでキッチンでは注意が必要です。
屋外・屋内両方にある危険物
タバコの吸い殻 タバコに含まれるニコチンは水溶性で水に溶け出しやすいので、雨のあとで濡れた吸い殻には特に注意が必要です。
殺鼠剤 屋外、屋内や倉庫などに設置してある殺鼠剤は、食べ物のよいニオイがついているものもあります。死に至るので大変危険。
拾い食いをやめさせるコツ
まずは室内環境を整え、片付けるという準備が必要です。
・タバコ、薬品類、化粧品、観葉植物など、犬の鼻先が届かないところに片付けて、事故を未然に防ぎましょう。
・キッチンに野菜や生ゴミ、昨夜の食べ残しの鍋などを置いているなら、キッチンに犬は自由に出入りできないように柵をつけるなどして、入室禁止にした方が無難です。
・洗面所やランドリーなどにある化粧品や洗剤はすべて棚の中に片付けるか、あるいは入室禁止にします。
・車庫ではラジエーター水が有毒ですからきちんと管理してください。また農薬、殺鼠剤などに関しては厳重にしまっておきます。
拾い食いをやめさせるしつけ方法5つ
1.基本的なしつけを行う
・合図をしたら「ちゃんとオーナーに注目してね」というアテンション・ゲット(アイ・コンタクト)ができるように普段から練習をしておきます。
・リードをグイグイ引っ張らず、たるんだ状態で歩く散歩ができるようになっていることも大事。犬がグイグイと先に進んだら、オーナーは犬の鼻先に落ちているものを見つけにくいからです。
2.オーナーの存在を意識させながら歩く
時々、合図を出してアテンションをオーナーに向けさせる練習をランダムにすることをおすすめします。
3.行動をストップさせる指示に従えるトレーニングを行う
マテ、ストップ、ヤメナサイ、などは拾い食いをする前に防止できるコマンドです。
4.許可なく、勝手にモノを口に入れさせない
口に入れる前(食べる前)にオーナーに「お伺いをたてる」ことをトレーニングで教えることも可能です。
5.パクッと口に入れてしまった場合の合図を教える
ダセ、チョウダイ、などのキュー(合図)を教え、オーナーが口の中に手を入れることを許すトレーニングをします。このトレーニングをしていないと、無理やり口をこじ開けることで噛まれる可能性もあります。普段から、口の中を触る練習や歯磨きなどで口の周りや口の中に手を入れることを受け入れるよう慣らしておくことが必要です。そのほか、もっと犬にとって魅力があるもの(オモチャやボール、おやつ)などと交換条件で取り替えっこする方法もあります。
まとめ
拾い食いは、たしかに多くの犬がやりがちな問題行動で、悩んでいるオーナー様はたくさんいますから、自分の犬だけが特別できない悪い子だとは思わないようにしましょう。食べること、パクリと口に入れることは犬の本能なのです。しかし、自分の犬の命を守ることは、オーナー様の責任です。「犬を守る、管理する」。これが大切です。
犬のいる環境(リビングなどの室内)や路面の状況に注意を払って、観察し、危険なもの、怪しいものがないかを、犬より早く察知し、避けて通る、リードを短く持ち直すなどして、拾い食いをするようなものに犬を近づけないようにしましょう。それが確実に拾い食いをさせない方法です。
そして日々のトレーニングを一緒に頑張って、マテ、ダセなどができるパートナーに育てていけると良いですね。