【ドッグトレーナー監修】子犬が鳴く・吠える理由とシーン別解説|先輩飼い主の体験談付き
犬が鳴いたり吠えたりするのは自然なことではありますが、ヒトと社会生活を営む以上、静かにしていてほしい場面で大きな音を出されると困ってしまいますよね。この記事では、子犬が鳴く・吠える理由をシーン別に、それぞれの原因や対処法を解説しています。また、子犬の飼育経験のあるGREEN DOG & CATスタッフに、困った「鳴く」「吠え」についての体験談や便利グッズも聞いてみました。
この記事が、子犬の気持ちを理解し、快適な生活を送れる手助けとなれば幸いです。
この記事は専門家が執筆・監修しています
<執筆>GREEN DOG & CATコンテンツ制作チーム
犬に関するさまざまな専門知識をわかりやすく発信する制作チーム。子犬からシニア犬まで、あらゆるパートナー(愛犬)と楽しく暮らすお手伝いをします。
<監修>遠藤 和義(えんどう かずよし)
GREEN DOG & CAT専属ドッグトレーナー、ホリスティックケア・カウンセラー
犬業界でのキャリアは四半世紀以上。 国内外の著名なドッグトレーニングの専門家から知識や技術を学ぶ。同時に、多数の保護犬・保護猫の日常ケアにもたずさわる。 各地のしつけ方教室の運営や動物系専門学校の教員などを経験後、縁あって GREEN DOG & CATへ。GREEN DOG & CAT実店舗やしつけ方教室の運営なども手掛ける。
子犬が鳴く・吠えることについて
子犬はなぜ吠えるのでしょうか
吠えるという行為は、犬の気持ちや欲求を表現するための一つの方法です。子犬にとって吠えることは自然な行動であり、その背景にはさまざまな意味が含まれています。
夜泣き(夜鳴き)をするときの原因とその対処法
夜泣きをする子犬に対処するためには、その原因を知ることが大切です。子犬が訴えていることを上手に読み取って、その子が安心できるように対処してあげましょう。
精神状態に原因がある場合
原因
「さみしい」「ここはどこ?」「一人で不安」「誰かに甘えたい」...。
今までずっと一緒にいた母犬や兄弟犬から離されて、新しい環境に連れて来られた子犬。初日の夜にひとりぼっちにされることは、子犬にとってどれほど心細いことか想像に難くありませんね。
さみしくて鳴くのは当たり前のこと。群れで暮らす動物である犬は、基本的にはひとりぼっちが苦手な生き物。その習性をよく理解してあげましょう。
対策
新しいおうちの環境に慣れるまで、可能なかぎり子犬をひとりぼっちにしないほうが良いでしょう。夜も同じ空間で過ごしてあげます。まずは家族でのルールを決めておいて、初日の晩からそのルールを習慣化するのが理想的です。
- 1ヒトのベッドに寝ていいのなら、初日から一緒にベッドで寝てあげる。
- 2ヒトのベッドに寝かさないと決めた場合、犬用ベッドやクレートをヒトのベッドの下に置いてそばで一緒に寝てあげる。
- 3ヒトの寝室には入れずリビングなどで寝かせる場合、子犬が新居に慣れるまでは飼い主が一緒にリビングで子犬と寝て、安心させてあげる。
生理的・身体的な原因がある場合
原因
「排泄がしたい」「喉が渇いた」「おなかがすいた」「おなかが痛い」などのような生理的な欲求や体調不良を訴えるものや運動不足や刺激不足で体力が有り余っている場合の身体的な欲求はすべて、犬が生きている中でごく当たり前に生まれる欲求です。
この犬の欲求をできる限り満たしてあげられるように努力することは、飼い主の大事な責任となります。
このような欲求が満たされない場合に、子犬は鳴くことがあります。子犬は子犬なりの、夜泣きをする正当な理由があるのです。
対策
1生理的な欲求を満たしてあげる
生理的な欲求は生きる上での基本ともいえるもの。犬にとって必要な訴えなので、満たしてあげましょう。もちろん身体トラブルの場合は早急に動物病院に連れて行きます。
2日中たっぷり遊ばせて適度に疲れさせる
子犬が寝る時間に、まだひとりで運動会をするように走り回っていたら、それはエネルギーが有り余っている証拠。 運動不足が原因かもしれません。この場合、とにかく日中たっぷり遊ばせて適度に疲れさせること。 引っ張りっこをするおもちゃなどを使って遊べば、子犬の体力を使い、コミュニケーションもとれますね。子犬がくたびれておとなしくなったら消灯し、ベッドやクレート、サークルなどに入るようそっと促しましょう。
ただし子犬に必要な運動量は、犬種、性別、月齢、体格など個体差があります。下痢をするなど身体に異変が起きるほどの運動量は多すぎます。子犬の体力の限界をよく観察し、無理のない程度にとどめてくださいね。
環境的な原因がある場合
原因
「暑い」「寒い」「広すぎて落ち着かない」「狭すぎて窮屈」「明るい」「うるさい」「初めて聞く音や光が怖い」などのような、子犬が寝るに寝られない環境条件がある場合です。ケージなどの場所が子犬にとって最適かどうかをしっかり考えてあげましょう。
対策
1安眠できるような環境を整える
子犬が安眠できるような環境を整えてあげることが不可欠です。静かで落ち着けるスペースや薄暗く四方を囲まれた巣穴の代わりになるような適度な広さのクレートなどを用意してあげるとよいでしょう。またトイレの位置が近すぎてストレスを感じる犬もいます。サークルの中に入れるときには、トイレとベッドの距離が近すぎないかを確認して設置してあげましょう。
子犬に鳴かれてから改善するのではなく、最初から環境や条件を整えてあげるのが理想です。鳴かれてから改善すると、鳴けば飼い主がかまってくれると学習することになります。生理的な欲求や環境的な要因は、飼い主の方が先に気がついて早めに対処し、子犬が鳴く原因を作らないようにすることが重要です。
それでも夜泣き(夜鳴き)をする場合は?
どの原因を取り除いてもなお子犬が夜泣きしてしまった場合には、可哀想に感じるかもしれませんが、そのときの夜泣きに対しては基本的には無視をします。鳴いたことに反応すると、子犬は「鳴けば飼い主がかまってくれる」と学習してしまうからです。愛犬を迎えた日から家族のルールや家族のライフスタイルを教えることはとても大切で、その習慣づけは初日の夜から始めることがポイントです。
監修者コメント
とはいえ、夜泣きに対する無視も子犬の様子次第です。もし過剰なストレスがかかっている場合は、むしろ積極的にその環境に介入して子犬を助けてあげましょう。そして、以降は何らかの別の対策をまた講じて改善し続けてあげてください。原因の分析に何かしら見落としがあると思われます。
そもそも家族のルールも、犬の福祉に反したルールであってはなりません。家族ルールよりも、動物の基本的欲求・ニーズ(最低限守られるべき「5つの自由*」)をできる限り優先するよう心がけましょう。
*5つの自由とは、(飢えと渇きからの自由(解放)、肉体的苦痛と不快からの自由(解放)、外傷や疾病からの自由(解放)、恐怖や不安からの自由(解放)、正常な行動を表現する自由。イギリスで生まれた、動物の福祉を考える指標でアニマル・ウェルウェアの国際的な概念として認知されています。
留守番中に吠えるときの原因と対処法
子犬が留守番中に吠えてしまう原因は、留守番環境が子犬にとって大きなストレスになっていたり、留守番の為のトレーニング不足だったりする可能性があります。
1じゅうぶんな練習が出来ていない
子犬はいきなり留守番できるものではありません。短時間からはじめて飼い主がいない時間を過ごせる練習をしましょう。飼い主がいないことに大きな不安を感じて上記のような行動をとることはむしろ当然の反応です。不安やストレスを少しでも軽減できるよう、子犬のペースに合わせながら留守番の練習をしてあげましょう。
2留守番の時間が長すぎる
適切な環境を作っていても、子犬にとって長時間の留守番は大きなストレスになるでしょう。
個体差はありますが、子犬の単独での留守番は最長6時間までと考えてください。
3ケージやサークルの広さが足りない
のびのびと体を伸ばしたり、立って方向転換できるじゅうぶんなスペースを確保してください。同じ姿勢のまま長時間過ごすことは体にも悪いため注意してくださいね。
4留守番している場所から外が見える
外を通る人や車などに反応して、そのたびに吠えてしまうケースがあります。
留守番時の居場所は外が見えないよう窓際から離れた場所の方が、気温の影響も受けにくい(暑さ寒さ対策)というメリットもあります。
詳しい留守番のトレーニング方法や、留守番を成功させるための環境づくりについてはこちらの記事で紹介しています。
インターホンの音に吠えるときの原因と対処法
警戒心の強い犬は自分のテリトリーに外部からの侵入者や見慣れないもの・音があれば吠えるのが自然です。よくあるのが、インターホンの音に反応する例ではないでしょうか。
このような場合、一方的に吠えるのをやめさせるのではなく、犬がどうして吠えるのか理由を理解し、今は吠える必要がないこと・吠えずにどうしたらいいかを教えてあげましょう。
対処・対策法
1音の種類や音量を変える
すでに今のインターホンの音に反応してしまう場合は、インターホンの音の種類や音量を変えてみると改善することがあります。
2音に慣らす
子犬が反応してしまう音をスマホなどに録音します。音が鳴ったらおやつを与え、音=美味しいものが食べられるというポジティブな関連付けを行います。この時、小さな音量から練習をはじめ、じょじょに音量を上げていくと良いでしょう。 動画でも具体的な方法を説明しています。
子犬の無駄吠えの対処法
3子犬が落ち着く場所に誘導する
インターホンの音が鳴ったら、ベッドやクレート・ケージなどの子犬が落ち着ける場所に行くよう誘導します。吠えているときは興奮状態のため、子犬が落ち着ける場所に行くことでクールダウンし、安心させるのが目的です。
クレートやケージに入った後に目隠しの布をかけてあげるのも落ち着かせることに有効です。
監修者コメント
子犬が抱える不安の払しょく、あるいは軽減ができたら、\買ってよかった/GREEN DOG & CATスタッフ愛用の無駄吠え対策グッズを活用して「吠える以外の行動」に取り組んでもらうようにすると良いでしょう。
外の人や物音に吠えるときの原因と対処法
インターホンの音に吠える例と同様、犬のテリトリーに外部からの侵入者や見慣れないもの・音があれば吠えるのは自然なことです。警戒や威嚇だけでなく、飼い主に怪しい存在を知らせる気持ちや不安な気持ちから吠えることも。居住環境によってはむしろこの吠えをポジティブなもの受け止めることもあるかと思いますが、そうでない場合は以下の対策を考えてみてください。
対処・対策法
1環境を変える
子犬のスペースから外の様子が見える場合、ついたて等を使い外の様子を見えなくしてみましょう。窓にフィルムを貼ったり遮音性の高いカーテンを付けたりする方法もあります。また、部屋の広さに余裕があれば、窓際から離れたところに子犬のスペースを移すのもひとつです。
2音に慣らす
子犬が反応してしまう音をスマホなどに録音します。音が鳴ったらおやつを与え、音=美味しいものが食べられるというポジティブな関連付けを行います。この時、小さな音量から練習をはじめ、徐々に音量を上げていくと良いでしょう。
動画でも具体的な方法を説明しています。
子犬の無駄吠えの対処法
3子犬が落ち着く場所に誘導する
子犬が反応してしまう刺激(物音や人)が起こったら、ベッドやクレート・ケージなどの子犬が落ち着ける場所に行くよう誘導します。吠えているときは興奮状態のため、子犬が落ち着ける場所に行くことでクールダウンし、安心させるのが目的です。 クレートやケージに入った後に目隠しの布をかけてあげるのも落ち着かせることに有効です。
監修者コメント
こちらのケースでも、子犬が抱える不安の払しょく、あるいは軽減ができたら、\買ってよかった/GREEN DOG & CATスタッフ愛用の無駄吠え対策グッズを活用して「吠える以外の行動」に取り組んでもらうようにすると良いでしょう。
【体験談】先輩飼い主に聞きました。
子犬の無駄吠えに関するあれこれ
子犬が吠えるのは当たり前のことですが、人と暮らしていくうえでは好ましくない場面で吠えること(=無駄吠え)をなるべく減らしていきたいですよね。先輩飼い主たちは実際どうだったのか、GREEN DOG & CATの子犬飼育経験のあるスタッフに体験談を聞いてみました。
先輩飼い主の体験談 子犬のころ無駄吠えに困ったことはありましたか?
(スタッフN フレンチブルドッグ 10kg)
家に来た数日、夜中に鳴いていたので、パートナー(愛犬)がいる部屋にはいかないようにしました。しばらくすると鳴き止んだので、それからは一緒に過ごしました。
(スタッフY シェットランドシープドッグ 21kg)
吠える直前や、吠えるのを止めてから歯磨きガムをかませていました。
(スタッフT ホワイトシェパード 35kg)
他犬に対して吠えるので、ひも付きボールを出し、ボールに興味を向ける→ボールを噛む(吠えられない)→ボールへの執着を無くさないために、途中ヒモをひっぱったり、震わせたり、ひもを引っ張って対象を視界の外に持って行くトレーニングをしました。また、香りの強いおやつも使いました。すぐに与えずグーにした手の小指におやつ挟む→ほかの指は軽く開き、少し時間をかけて与えていました。
ドッグトレーナー遠藤からのアドバイス
吠えたり鳴いたりするのは犬にとって大切なコミュニケーションの手段。何らかの理由や目的があってメッセージを発しているわけなので、人間側の都合で一方的にその機会を奪うわけにはいきません。
まず私たちがすべきことは、吠え声や鳴き声を発するのを禁じることではなく、その理由や目的への理解に努めること。
そして、吠えたり鳴いたりする必要がなくなるように、犬が置かれている環境を改善してあげたり、犬と人双方にとって不都合のないような代替の行動を教えてあげること。それらができれば理想的だと思いませんか。
吠えたり鳴いたりする理由や目的は個々のケースによって多種多様なので、この場では詳細は避けますが、まずは犬のニーズ=欲求階層について理解を深めてみてはどうでしょうか。
買ってよかった GREEN DOG & CATスタッフ愛用の無駄吠え対策グッズ
子犬が鳴く・吠えるについてのよくある質問(Q&A)
無駄吠え防止グッズは効果がありますか?
無駄吠え防止グッズとして犬が吠えると音・振動・電気が流れる首輪などが市販されていますね。これらは犬が不快な刺激に慣れるまでは効果があるかもしれませんが、永遠に続くものではなく、慣れてしまえばまた吠えてしまうと考えられます。また、不快な刺激を与え続けることで別のリスク(飼い主との信頼関係が崩れる、心身に不調をきたす等)も生じかねませんのでおすすめしません。
大きい音を出したり、モノを投げたりスプレーをかけて驚かすといったような天罰方式は有効ですか?
天罰方式は問題行動の根本的な解決にならないのでおすすめしません。 また、負の情動反応(不安、恐怖など)を招くような方法は、犬に理不尽で不必要なストレスを与えることになり、さらにはそのときの環境や状況にそういった負の情動を関連付けてしまうといった副作用のリスクがあります。
おわりに
大昔から共に暮らしてきたヒトと犬。少し時代が違えば犬の「吠える」という行為にヒトはずいぶん助けられて生きてきたはずです。
時代が移り変わり、犬の吠え声に頼らなくても安心して生活できるようになりましたが、お互いが心地よく暮らせるよう工夫していきたいものですね。
パートナーのしつけやトレーニングに関するご相談は、犬の行動学に詳しい専門家に直接パートナーを見てもらう方法を推奨しております。
おやつの種類や量などについては、お迷いの際はGREEN DOG & CATのごはんの窓口をお気軽にご利用ください。
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