子犬のための簡単手作りおやつレシピ:手作りのメリットと注意点
子犬のためにおやつを選ぶのはとても楽しいことですね。手作りだとさらに食べてくれたときの喜びは大きくなります。手作りごはんは栄養バランスのことをしっかり考える必要がありますので、少々ハードルが高いですが、おやつなら比較的気軽にチャレンジできます。
そこで今回は、ペットフーディストの山本が簡単に作れるレシピのほか、手作りおやつのメリットと注意点を説明します。
この記事は専門家が執筆しています
<執筆>GREEN DOG & CATコンテンツ制作チーム
犬に関するさまざまな専門知識をわかりやすく発信する制作チーム。子犬からシニア犬まで、あらゆるパートナー(愛犬)と楽しく暮らすお手伝いをします。
手作りおやつのメリット
手作りおやつは、市販のものにはない多くのメリットがあります。
手作りおやつの安心感
自分で材料を選び、調理することで、不安に感じていた添加物や保存料を避けることができ、自分自身が安心と感じる健康的な食べものを与えることができます。
愛犬への特別なご褒美
子犬のことをあれこれ考えて、想いながら作る時間はとても愛しいひとときです。だから、例え素朴なものに仕上がっても、手作りおやつは私たちと子犬との間では特別なご褒美なのです。
食材選びの可能性
手作りおやつでは、愛犬に与えたい食材を選ぶことができます。また、アレルギーを持っている場合でも、愛犬にとって大丈夫な食材を選んで作ればいいので、おやつのパッケージの材料欄を確認しては残念な気持ちになるということから解放されます。
手作りおやつの注意点
手作りおやつにもメリットだけでなく、いくつかの注意点があります。
栄養バランスの考慮
おやつも主食もしっかり食べると、摂取カロリー過剰で太ってしまう心配があります。おやつを与えるなら、その分主食を減らすべきです。
また、肉たっぷりの主食を与えていて、さらに肉製品のおやつをプラスで与え続けることも避けたいこと。タンパク質、脂質の摂り過ぎや消化器疾患を招く危険が多いからです。
目安として、主食を減らすのは2割まで。2割分のフードのカロリー相当のおやつを与えるなら心配ないでしょう。 ただし、子犬の状態(運動量や代謝量)によっても、必要な量は変化します。いちいち計算するのは難しいですし、計算通りにもいかないこともあるので、定期的に体重や体型をチェックし、過不足が生じていないか確認しましょう。
食材の適切な保存方法
食材は私たちと同じ衛生レベルを求めますが必要以上に神経質にならなくても大丈夫です。特別なものとしては粉類です。
おやつでも使う頻度の高い小麦粉、米粉といった粉類、またはかつお節などは、アレルギーの原因となるコナダニ(肉眼では見えにくいサイズ)が繁殖しやすいことがわかっています。繁殖を防ぐためには、開封した後は密閉容器に入れて冷蔵庫での保存が理想です。
以下にはそのほかの一般的な食材の保存方法のいくつかをご紹介します。市販のフードの生食タイプやウェットフードの開封後の保存も同じように行ってください。
・冷蔵庫
肉や魚といった生鮮食品は、他の食材に触れないようにするべきです。密閉容器やラップで包み、特別な場所を決めておくといいでしょう。
・冷凍庫
愛犬用には少量ずつ使うことが多いため、あらかじめ小分けしてラップで包んだうえで密閉できる袋に入れて保存します。解凍は前日に使う分だけを冷蔵庫に入れて自然解凍します。
その際、ドリップといって食品内部から出てくる水分には雑菌が繁殖しやすいうえ、栄養素の流出も多いので、解凍後はできるだけ早めに使うようにします。
・常温保存の野菜類
冷蔵庫では冷えて早く傷んでしまうような野菜類は直射日光があたらない風通しの良い(高温多湿にならない)場所での保存が理想です。
適量の与え方
おやつはあくまでご褒美であり、主食ではありません。1日の摂取カロリーに占めるおやつの割合は10%程度に抑えることが推奨されています。特に子犬は成長のために必要なアミノ酸や脂質はたっぷり必要な時期。おやつばかり食べてしまうようなグルメ化は避けるべきです。
主食を食べないような様子が見られるなら、おやつはしばらく与えないようにしましょう。
咀嚼や消化に注意する点
子犬はまだ歯が丈夫ではないため、硬すぎるおやつは避けるべきです。また、消化器系も未発達なため、消化しやすい食材を選ぶことが重要です。
手作りおやつの作り方のコツ おやつ作りは、愛犬の健康を考える上で大切な一部です。手作りおやつのコツは、シンプルなレシピから始め、徐々にバリエーションを増やすことです。
手軽に作れる子犬向けおやつレシピ
手作りおやつ:初級編
ささみジャーキー(乾燥肉)
シンプルに乾燥させただけですが、市販品にも数多く見かけるように愛犬たちに大人気のおやつです。嗜好性が高いので特別なご褒美にもなりますが、タンパク質豊富なので与えすぎないよう少量ずつ与えてください。作る量も少量ずつがいいでしょう。
材料
ささみ
作り方
1.ささみを半分の厚みにスライスする。
2.1の上にラップをかけ麺棒などを使ってさらに薄く延ばす。
3.160度に温めたオーブンで30分程度焼く
4.水分がなくなり、カリッと乾燥した感じになれば出来上がり。
野菜(さつまいも、レンコンなど)はスライサーを使って薄く切ったものを焼くといいでしょう。オーブンの焼き時間はご家庭の機器によって調整してください。
わんレシピ パリパリ乾燥野菜(ハロウィンVer)
レシピを見る手作りおやつ:中級編
簡単ですが手間がかかります。
かぼちゃボーロ
かぼちゃのほのかな甘みがあるので、甘味料を加える必要はありません。
油を使わないのでお腹にもやさしいおやつです。工程は簡単ですが、まるめる作業が多いので少々たいへんだと感じるかもしれません。ご家族みなさんで作れると楽ですね。
材料
茹でたかぼちゃ 60g
片栗粉 15g
水 20cc
作り方
1.茹でたかぼちゃと片栗粉をボウルに入れて混ぜる
2.1のボウルに水を少しずつ加えながらまんべんなく混ぜる
3.直径1cmから1.5cm程度の大きさに丸める
4.160度に温めたオーブンで20分程度焼いたら出来上がり
かぼちゃ以外でもさつまいもなどアレンジが可能です。パートナーの好みの味で作ってあげましょう。
手作りおやつ:上級編
家族みんなで食べられるおやつ。
バナナマフィン
バナナの甘味が感じられ、人と愛犬が一緒に楽しめるマフィンです。カロリーは多いため子犬には小さく切って少量ずつ与えてください。我が家では野菜嫌いな愛犬のために野菜の粉末を入れて食べさせました。
材料
米粉 70g
ヨーグルト 80g
ココナッツオイルまたは太白ゴマ油 大さじ3
ベーキングパウダー 2g
バナナ 1本
作り方
1.ボウルに米粉とベーキングパウダーを入れて良く混ぜておく。
2.別のボウルにヨーグルト、ココナッツオイル、細かく切ったバナナを入れ、バナナをつぶすようによく混ぜる。
3.2のボウルに1の粉類を入れてさっくりと混ぜる。
4.180℃に温めたオーブンで20分焼いたら出来上がり(直径4センチ程度のマフィン型の場合)
手作りおやつの作り方のコツ
- シンプルなレシピ
- 消化に負担をかけない(焼き過ぎない、硬過ぎない)
- 少量ずつ作る(与えすぎ防止、劣化防止)
せっかく手作りするので、自然素材のみの素朴なおやつが望ましいです。そして気づかないうちに酸化や腐敗したものを与えてしまって健康を損なわないよう、早めに消費できる分だけ作るようにしましょう。
材料の選び方のポイント
手作りの良さは、材料を選べることです。品質はもちろん栄養価も調整できます。私たちが食べている肉や野菜、小麦粉や米粉類、などスーパーで手に入る材料で作れます。
他、おやつで使用する材料としては以下のような選び方、代用をおすすめします。
- ベイキングパウダー⇒アルミ不使用(アルミフリー)を選びましょう。
- 甘味料⇒砂糖はオリゴ糖、メープルシロップで代用しましょう。
※はちみつは成犬以降から使えます。 - 油脂類⇒太白ゴマ油、ピュアオリーブオイル、ココナツオイル、サラダ油、塩分不使用バターの中から選びましょう。
※バージンオリーブオイルは高温加熱調理では酸化するため使用しません。
使ってはいけないもの
材料では添加物の多いハムやソーセージ類、犬に与えてはいけないチョコレートはもちろん避けてくださいね。
犬に与えてはいけない(注意が必要な)食材についてはコチラを参考になさってください。
調理方法の注意点
子犬用の手作りのおやつでは特に以下の点に気をつけてください。子犬だけでなく成犬以降にももちろん注意は必要ですが、体が未成熟な子犬のほうがより重篤な症状になると考えましょう。
- 生肉を使用する場合は、生の状態で長く常温放置をしないこと。
- 生肉を使った調理器具は使用後すぐに洗う。
- 焦げたものは与えない。
- 繊維質(野菜の皮部分)、動物の骨など硬いものは避ける。
保存の工夫
市販品には賞味期限の表記のほか、多くの場合、開封後の使用の目安や保存方法が表記されています。
手作りの場合、保存期間を延ばすための添加物や特殊な容器を使用しないため、一般的には賞味期限並びに消費期限は短いものです。焼き菓子などは常温で保管するのが一般的です。(常温とは直射日光や高温多湿の心配がない場所での保管のこと)工夫によっては保存期間を延ばすことができます。
一度は実際にご自身で作ったものを残して、どれくらいの期間でどう変化するのか確かめることをおすすめします。見た目(カビや色の変化)、匂いなどを出来立てからずっと観察することが必要です。季節や原料や作る際の条件によっても変わります。
以下にご紹介するのはあくまで一般的な経験上の目安です。
目安の保存期間
・水分を飛ばしたジャーキー類は常温で1週間以内(乾燥剤入り密閉袋使用時)
・クッキーやボーロなどは常温でおいしく食べられる期間は3日以内。
風味は落ちますが消費期限としては1週間以内。
乾燥剤入り密閉袋保管の場合、未開封で1カ月以内。
・寒天やゼリー類は密閉容器に入れ冷蔵保存にて3日から1週間以内。
※使用素材にもよる
乾燥剤は、製菓材料店でも購入できる「シート乾燥剤」がおすすめです。塩化カルシウムと紙パルプでできた小さなカード状なので、そのほかの乾燥剤のように袋が破れて中身が出てくる心配がありません。いずれにしても、子犬が誤食しないように注意してください。
友人の愛犬へプレゼントする場合などは、上記よりも短めの期限を伝えておくべきでしょう。
子犬への手作りおやつの与え方
子犬はまだ消化器系がデリケートであることを考慮する必要があります。生後半年までは特に未成熟であることを意識しておきましょう。また、成長期ですので優先して食べさせたいのは総合栄養食のフードです。おやつを与えすぎないように注意してください。
おやつのタイミング
子犬の場合、生活のルールを覚えてもらう必要があるため、おやつはそのトレーニングのご褒美のタイミングに与えるのもひとつの方法です。
たとえば、お座りやマテ、オイデ、などは基本的なことで、子犬を危険から守るためにも役立つこと、ほかには歯磨きや爪切りの練習などにもご褒美は有効なアイテムです。
お留守番の練習にもサポートグッズとおやつを組み合わせて行うことがおすすめです。
お留守番サポートグッズ
トレーニング以外では、コミュニケーションとして与えます。憩いの時間、私たちがおやつをいただくタイミングなど。いずれも私たちとの関りの時間に与え、留守番の際に硬くて簡単にかみ砕けないようなおやつを置いてでかけることは避けてください。
パピーコング
お留守番の必須アイテム
「これが無かったら留守番できなかった」という声が上がるくらい、使い方によっては無限のバリエーションが広がるアイテム。スタッフおすすめの使い方は、ウェットフードやおやつを組み合わせてコングの中に入れ、冷凍庫で凍らせる方法。いちばん奥にパートナー(愛犬)の好物を入れておくと最後まで飽きずに遊んでくれますよ。
歯にマヌカPK(Puppy&Kitty)
コングの内側に塗って使えるおいし~い歯みがきジェル
上で紹介したパピーコングの内側に塗って、ふりかけをまぶして使っていたというスタッフからのおすすめです。
歯みがきジェルなのに味はハチミツそのもので美味しく、舐めているだけでお口ケアに。
コングに塗るときは奥まで舌が届かないので1段目に塗るといいですよ。
レギュラー・ワイド厚型カーボンペットシーツ
長いお留守番の強い味方
薄型に比べてお値段少々高めですが、薄型のペットシーツとは吸収力とニオイの少なさが断然違う!特に気温と湿度の高い夏場など、帰宅してドアを開けた後のムワッとする嫌なオシッコのニオイがほとんどしません。排尿後に足で踏んでも濡れにくいところも◎。
ベイビーホーリーローラー
リピーターの多い定番ボールおもちゃ
網の目状の穴からささみや固めのビスケットなど、おやつを入れて転がすと一人で遊べる知育玩具に大変身。
丸洗いOK・耐久性◎で使い勝手もよく、古くなったら2代目を......というリピーターも多いアイテムです。
おやつの量
与える量は、できるだけ1日の摂取カロリーの10%程度を目安にしましょう。その際、主食のフードは見た目で1/10ほど減らします。さらにご褒美が必要な場合にはおやつではなく、一日の主食用フードの中から取り分けて与えることをおすすめします。
トレーニングの場合、簡単なレベルならフードをご褒美に、少しレベルアップしたものにチャレンジするときには、おいしいおやつをご褒美にするといった風にレベルに合わせて変化させるのがコツです。
おわりに
飼い主(オーナー様)の愛情が詰まった手作りおやつは、子犬にとって最高のごちそうです。たまに時間がある時、作ってみてはいかがでしょう。これまでと違った食べっぷりや表情が見られるかもしれません。おやつ作りを通して、みなさまと子犬との時間に笑顔が増えることを願っています。
子犬との生活でのお悩み(トイレトレーニング、お留守番、甘噛み、鳴く・吠える、歯磨き)は、ぜひ次の記事を参考になさってください。
パートナーのしつけやトレーニングに関するご相談は、犬の行動学に詳しい専門家に直接パートナーを見てもらう方法を推奨しております。
おやつの種類や量などについては、お迷いの際はGREEN DOG & CATのごはんの窓口をお気軽にご利用ください。
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