僕が「ガンバレ!老犬」の撮影で全国を旅していて感じることがある。
最期の旅立ちの前後の時間については他の人には聞けないし、知らないことが多くていざその瞬間になって慌ててしまったり、思う存分のことをしてあげられなかったり、 と後悔している家族が多いこと...。
一時期のペットブームが去って、7歳を超えるシニア犬が全飼育頭数の半分だと言うが、その家族の大半はシニア犬との暮らしは初めての経験だ。 かくいう僕も10歳のゴールデン・レトリバーのホタルと暮していて、これから先、そんなに遠くない将来やって来る「旅立ち」について向き合っている。 考えたくはないけれど、やっぱり家族として知っておかないといけない。 だから、二代目、三代目のシニア犬と暮らしているベテラン家族の方から話を聞いたり、質問したり、自分なりにホタルのために勉強し、その時に備えて準備をしている。 時には、全国の撮影時にベテランの方々から聞いた話を、新米のシニア犬家族に聞かせてあげることもある。
あるベテラン家族からこんな話を聞いた。
「最期、旅立った子の骨壷を抱いて『帰ってきたよ』と玄関のドアを開けた瞬間、初めてお家に来たかわいかった子犬の頃を思い出し、骨壷と子犬の重さが同じなんだと気がつくの。 だから、その瞬間まで家族としての責任、最後の最期まで精一杯に尽くしてあげるの。」
幸せな旅立ちのために何が必要で、何がその子らしいか?
僕は全国を旅していて、この一番触れてはいけないけど、本当はみんなが一番知りたいこと、一番デリケートなことをひとつのサイトにまとめたいと思っていた。
「こうするべき」や「こうしなさい」ではなくて、僕が全国のベテラン家族から聞いた「こんな方法もある」「こんな選択もある」という選択肢の中からどれを選択するのか、 新しい方法を考え出すのかを家族で決めてほしい。家族で決めたことが、その子にとって一番の答えだと思うから。