愛犬の薬膳入門~冬におすすめの食材とレシピ

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愛犬の薬膳入門~冬におすすめの食材とレシピ

スタッフコラム82話目

雪原で雪遊びをする犬

愛犬(パートナー)の薬膳というと、体に良い漢方が入っているイメージが強いようです。でも、単に漢方を使えばいいというものではありません。
体の不調がある場合は、その原因となっているバランスの崩れを正すための食材や漢方を選ぶこと、また不調が出る前から体質に合った食事を意識することで健康維持に役立つものです。

ではバランスが崩れとはどういう事で起こるのでしょう。特に寒い季節は体調を崩しやすいものです。お腹の調子がおかしい、咳が出やすい、膀胱炎になりやすい、などもそうですね。シニア期であれば注意してあげたいものです。

今回は薬膳の入門編としてペットフーディストの山本が簡単に手に入る食材で作る薬膳をご紹介します。わかりやすいパートナーの体質の見分け方もご紹介しますので、ぜひ参考になさってください。

食材イメージ

薬膳入門

薬膳は、食材が持つ栄養素や特性に注目し、その組み合わせによって体調を整えるごはんという意味です。体の不調は何かしらのバランスの崩れが始まりです。体が冷えやすいなら温める、ほてりやすいなら冷やす、など、調整していくことが大事です。

五行学説は中国古来の自然哲学の一部とされる考えであり、薬膳もこれを参考にして考えます。「中国古来」と聞くと私たちや愛犬に役立つのだろうかと疑問が湧くかもしれません。ですが数多くの経験から考えられた知識には、現代の西洋医学や科学に通じる情報が多くみられるうえ、特に季節と臓器(体の部位まで含む)との関係性はヒトにも犬にも大いに役立つ情報といえます。

五行学説「冬」

五行の五は「木」「火」「土」「金」「水」を表し、体のすべて、季節、性質や影響(配慮が必要)する臓器などもこの五つに分けられています。タイプ別にまとめた表ともいえますが、ここには摂るべき食材や体のバランスを調整するためのヒントが読み取れます。

五行学説による冬は「水」であり、腎、膀胱、骨、黒、鹹味(しおからい)、恐(怖がる)などで表されます。
これらを薬膳に落とし込むと、冬は体を潤して腎臓や膀胱をいたわりつつ、体を温めるごはんということになります。以下は五行学説のそれぞれの言葉の意味を解説しています。

・「水」

冬は「水」であらわされます。液体が上から下に流れる、潤す、寒い性質、などが関連します。水分と深く関わる臓器は腎臓や膀胱です。

・「腎」

東洋医学での腎(主に腎臓のこと)の役割を「蔵精」といいます。エネルギーを貯めておくという意味で生命力と関係が深いです。ほかには水分調節や成長、生殖機能と関わるため、腎が弱ると発育不全、精力減退、老化、腰痛などの不調がみられると考えられています。
実際、腎臓は冬の寒い時期に老化が進むため、シニア期には腹巻をするなど冷え対策を行うことがおすすめです。

・「膀胱」

膀胱は水分を貯めて、出す役割があります。冷えによってうまく働かないとおしっこが出にくくなり、膀胱炎や結石になる心配が増えます。
私たちと同様、犬も寒いと活動量が減り、また喉の渇きに鈍感になることから積極的に水分を摂らない傾向があります。そうすると尿が濃縮されて結石ができやすい、菌繁殖しやすい環境になり結石症、膀胱炎が増える原因になるのです。

寒い時は体をいたわってゆっくり過ごした方がいいといっても、年齢に応じた適度な運動を行い、水分の補給、排泄が滞らない状態を意識したほうがいいでしょう。

・「骨」

腎の役割である成長と関係し、腎が弱ると骨も弱ると考えられています。腎臓は骨を強くするビタミンD、骨髄に働きかけて赤血球数を調整するエリスロポエチン、といったホルモンを作るため、西洋医学からみても腎臓と骨の健康は関係性が深いことがわかります。

・「黒」

黒色の食べ物は腎を補うとされ、体を温め、生命力の維持に役立つと考えられています。
たとえば、黒ゴマ、黒豆といった黒い色にはアントシアニンという抗酸化成分が豊富。抗酸化成分は若々しさを維持する(細胞のいきいき)に役立つものです。

・「恐(怖がる)」

大きな恐怖を感じると腎(生命力)を傷つけると考えられています。直接感情が攻撃するということではありません。恐怖を感じることは交感神経にスイッチを入れ、心拍数を増やす、血管を収縮させるなど、高血圧を招くことが腎臓を傷つけることにつながります。
性格的に怖がりの愛犬の場合は、普段からストレスケアを意識できるといいでしょう。

クコの実

クコの実

冬は冷え対策、腎臓や膀胱の健康に配慮した薬膳の入門編として食材選びには次の3つのポイントを意識するといいでしょう。

  • 体を温める(五行学説の五性を参考にする)
  • 腎臓をいたわる(抗酸化成分が豊富)
  • 体を潤す(水分のほか食材の性質として)

五性(体を温める、冷やす性質)

薬膳で使われる五性とは食材が持つ性質を表しており、体を温めるもの、冷ますもの、どちらでもないものに分けられます。
また、体を潤す食材は平性と寒涼性に多いです(青文字の食品)

温める働き←熱性>温性>平性<涼性<寒性→冷やす働き

温熱性(体を温める働きがある)食材

熱性)羊肉、ショウガ、シナモン
温性)鶏肉、鹿肉、鮭、かぼちゃ松の実

平性の食材

豚肉、牛肉、タラ、キャベツ、ジャガイモ、サツマイモ、小松菜、ニンジン山芋(長芋)、大豆、クコの実ヨーグルトゴマ

寒涼性(体を冷やす働きがある)食材

涼性)馬肉、鴨肉、小麦大麦、キュウリ、 ホウレン草ゴボウ大根白菜(平性より)、ナス、豆腐イチゴ
寒性)トマト、ニガウリ、キウイ、豆腐、バナナ、モヤシ

食材メモ point

いずれもスーパーの中華材料コーナーで手に入り、薬膳ではよく使われる食品です。そのままでは消化し難いため、潰して食べやすいようにして与えてください。また、使用量はほんの少量のみとします。
松の実:ビタミンEが豊富で中国では滋養強壮に食されます。フライパンで香ばしい匂いがするまで炒るとおいしいです。
クコの実:古くから中国で栽培され、体を養い副作用が無い薬と位置づけられていました。杏仁豆腐の飾りでは有名です。肝臓・腎臓の機能維持に良いと考えられています。

食材の選び方

冬だからといってすべて体を温める食材から選ぶのではありません。
愛犬の場合は、食事の主となるタンパク質源(肉や魚)から温熱性のものを選びますが、残りは平性、寒涼性の食材が多くなります。
またタンパク質源が食物アレルギーなど温熱性から選べなかった場合は、副菜(野菜や穀類、少量使う薬味など)から補います。
運動量が少ないシニア期は温めるものを多めにするといいでしょう。

温め方に注意が必要な場合

活発な若い年齢や体がほてりやすい体質であれば、温めすぎないようにするなど、愛犬の状態によって調整することも大事です。
たとえば、常に活動的に動いていている場合や、少し動いただけでもすぐにハァハァ暑そうな呼吸になるタイプのことです。個体差はありますが、フレンチ・ブルドッグのように頭が大きい短頭種は熱がこもりやすい多い傾向があります。

この場合も冷えには注意すべきですが、水分や寒涼性の食材を意識して余分な熱をとってあげることも大事です。

食事以外では腹巻をしたり、後ろ足をよく動かすような運動を増やしたり、下半身を温めることで頭側にこもった熱を流すイメージです。
※異変を感じている場合は、まずは早めに獣医師に診てもらうことをおすすめします。

薬膳はすぐに変化がわかりますか?

今回ご紹介しているような食材のみ(漢方薬は使用しない)の薬膳の場合、翌日から変化がみられるようなものではありません。その分、気軽に続けられる内容です。うんちやおしっこの量、行動や見た目の様子なども観察してささいなこともメモをとっておくと、しばらくしてから変化に気づくかもしれません。

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薬膳で使う食材はオーガニックでないとダメですか?

質の高い食材はそれだけ栄養価も多く含まれることが期待できます。ですが、続けることを優先した場合、まずはご家族が食べている食材で作りはじめることをおすすめします。薬膳を作ることが継続できてきたら少しずつ食材の質にもこだわっていくといいでしょう。

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薬膳ごはんを食べる犬

冬は冷えや乾燥に注意するのは当たり前のことですが、特に不調が見られなければ気にとめないものです。少しいつもと違うものを与えることは愛犬の様子を観察する機会を増やすためにもおすすめです。うんちやおしっこをよく観察することでも病気の早期発見にも役立ちます。 いつもと様子が違って気になる場合は、早めに動物病院で診てもらうようにしましょう。

この機会に簡単に手作り食が作れるベースフードも注目してみてくださいね。
体が温まる食事で冬も元気に過ごせますように。

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【参考資料】
・東方栄養新書
愛犬のためのホリスティック食材辞典

筆者

愛犬とペットフーディスト

ペットフーディストアドバンス・ホリスティックケア・カウンセラーペット栄養管理士犬の食事療法インストラクター上級師範

山本 由能(やまもと ゆの)

現在の愛犬との生活がきっかけで犬の食事や心のケアについて勉強を始めたことがご縁となりGREEN DOGへ。
自身も飼い主のひとりとして愛犬との生活を楽しみ介護も経験。
日々の業務では主に犬の栄養学や健康維持に関する情報を発信しています。

GREEN DOGへようこそ はじめての方へ伝えたい、わたしたちのこだわり。

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