小型・中型犬では8歳前後、大型犬では5歳前後を「プレシニア期」といい、快適にシニア期を過ごすために大切な期間です。 「シニア期を迎えた時にどんなことが起こるか?」、「プレシニア期にできることは?」などオーナー様の疑問を獣医師と一緒に考えていきましょう。
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獣医師が解説!パートナー(愛 犬)の消化器のケアについて|ずっといっしょ。快適なシニア期のために今からできること
ずっといっしょ。快適なシニア期のために今からできること
シニア期の準備期間「プレシニア期」
パートナー(愛 犬)の消化器のケアについて
今年も暑い夏が終わり、徐々に過ごしやすい気温になってきました。とはいえまだまだ寒暖の差がある季節の変わり目、人も動物も体調には気を付けたい季節です。
動物保険会社のアニコムのデータによると、5歳から8歳、9歳から12歳と年齢が上がるにつれて、消化器疾患でかかる診療費は徐々に高くなります。
消化器疾患の内容の詳細まではわかりませんが、下痢や嘔吐という症状はわんちゃんとともに過ごしていたら一度は心配した症状ではないでしょうか
。
消化器疾患もまた、高齢に差し掛かるにつれて気をつけておかなければいけない病気の一つと言えます。
今日は、近年人でも話題の腸内細菌のお話しをさせていただきます。
1.プロバイオティクス、プレバイオティクスって何?
ご存じの方も多いと思いますが、プロバイオティクス・プレバイオティクスという言葉を確認しておきます。
プロバイオティクスとはお腹に良いとされる菌を含む食事を摂取することをいい、プレバイオティクスとはお腹の中の菌の栄養となる成分を食事から摂取することをいいます。
そして、それら2つを同時に摂取することをシンバイオティクスと言います。
人でもそうですが、このような方法で増やしたお腹の中の菌は摂取し続けないとすぐに数が減ってしまうということが分かっています。
つまり、お腹の中の菌の良い状態を維持するためには、食事やサプリで継続的にサポートしてあげる必要があります。
2.善玉菌代表―乳酸菌、ビフィズス菌
善玉菌、悪玉菌というのはあまり学術的な言葉ではありません。
というのも、腸内細菌の働きは複雑で、一概に善い・悪いと語れるものではないからです。
とはいえ、善玉菌と聞けば、乳酸菌やビフィズス菌を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
乳酸菌は特定の菌を指しているのではなく、乳酸を作る菌を総称して乳酸菌と呼んでいます。
乳酸菌の仲間には、ラクトバチルス属(Lactobacillus属)、エンテロコッカス属 (Enterococcus属)などがいます。
ビフィズス菌はビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium属)という種類で、乳酸菌とはまた違った仲間になります。このビフィズス菌に関しては、加齢とともに減ってくるということが最近の報告で分かってきています。
犬においてのこれらの菌の効能は人ほど研究が進んでいませんが、ビフィズス菌(ビフィドバクテリウムシュードロンガムB. pseudolongum)を2週間投与した犬において、下痢や便秘が改善したという研究や、 ラクトバチルス属(ラクトバチルスアシドフィラスL. acidophilus)を下痢の症状の犬に投与した結果、症状改善に効果があったという研究があります。
3.実際に効果があるのか?
プレバイオティクスはオリゴ糖(フルクトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖など)や可溶性食物繊維を菌の栄養として食事やサプリで取ることですが、それにより便の中の一部の病原性をもつ菌が減るなど、腸内細菌のバランスを整えることが分かってきています。
先程のプロバイオティクスと同様に腸内環境にプラスの影響を与えることが期待されます。
しかし、犬の腸内細菌とそれが健康に与える影響に関してはまだまだ分かっていないことが多く、現状いえるのは、ラクトバチルス属やビフィズス菌などの一部の菌が人と同様に犬のお腹の健康に有用そうであるということと、逆に有害であるという報告が(私の知る限り)ないということ、そして獣医師が実感としてプロバイオティクスやプレバイオティクスが治療に効果を実感した経験があるということです。
一番大事なことは、プロバイオティクスやプレバイオティクスを試した際にその子の便の状態や健康状態にしっかりと向き合い、その子に合うのかどうか継続しながら確かめることです。
参考資料:
アニコム家庭どうぶつ白書 2017,2019
イヌ・ネコにおけるプロバイオティクスについて,ペット栄養学会誌,21(3):158-162,2018
Microbiota and probiotics in canine and feline welfare, Lukasz Grześkowiak, Akihito Endo, Shea Beasley, Seppo Salminen,2015
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・紹介の商品を与えることで、症状の治癒、改善を確証するものではありません。
・異変を感じられた際、まずは獣医師に診てもらってください。