小型・中型犬では8歳前後、大型犬では5歳前後を「プレシニア期」といい、快適にシニア期を過ごすために大切な期間です。 「シニア期を迎えた時にどんなことが起こるか?」、「プレシニア期にできることは?」などオーナー様の疑問を獣医師と一緒に考えていきましょう。
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獣医師が解説!愛犬の肝臓にいい食事とは|ずっといっしょ。快適なシニア期のために今からできること
ずっといっしょ。快適なシニア期のために今からできること
シニア期の準備期間「プレシニア期」
パートナー(愛 犬)の肝臓と食事について
わんちゃん達は人間よりも歳をとるのが早く、プレシニアになれば半年に一度は健康診断をしておきたい、というのが獣医師の想いです。
しかし、体調が悪くなければ、春の予防シーズンにしかなかなか病院を訪れてくれないという方も多く、少しでも多くのわんちゃんの病気を早期発見・治療したいということで秋に健康診断をする病院が多いのだと思います。
そんな動物病院の健康診断では、それまで特に症状がなかった子でも肝臓の数値が上がっていることがあります。もちろん、獣医師さんが「様子を見て大丈夫」とおっしゃっているのであれば、そのまま経過観察で構わないのですが、飼主様にとっては高齢になると心配な要素の一つだと思います。
今日はそんな肝臓と食事についてお話しさせていただきます。
1.肝臓用のお食事は何を選ぶ?
肝臓のお食事と聞いて低タンパク食や低脂肪食と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
これは間違いではありませんが、正しいとは言えません。
というのも、肝臓にいいお食事というのは、肝臓の状態によって一律には決められないからです。
低タンパク食が選択されるのは、肝臓の機能が落ちているときです。
肝臓はタンパク質を消化する際にできたアンモニアを解毒しますが、
肝臓の機能が落ちるとこのアンモニアを解毒しきれず血液中に残ってしまい(高アンモニア血症といいます)様々な悪さをします。
そのため、このようなときには、タンパク質を制限する必要があるのです。
反対に、そのような高アンモニア血症になっていないのであれば、タンパク質はむしろ十分な量を摂取する必要があります。
低脂肪食が選択されるのは、過剰な脂質が肝臓の悪化に影響を与えていることが疑われているときです。体内に吸収された脂質はすぐにエネルギーとして使用しないものは一旦肝臓に蓄えます。エネルギーが必要な時にこの蓄えを使用してバランスをとっているのですが、普段から脂質を取りすぎてしまうと、このバランスが崩れてしまい肝臓に影響を与えることがあります。
2.ビタミンと肝臓の関係
このように、肝臓の状態によっては適切な食事制限をする必要があります。
とはいえ、まだ健康な肝臓にはタンパク質も脂質もバランスの良く摂取することが大切で、過剰な制限は必要ありません。
これらタンパク質などの栄養だけでなく、肝臓にとってはビタミン類も重要な栄養です。
例えば、ビタミンB群には肝臓の代謝を助ける補酵素としてはたらくものがあり、肝疾患のときには普段の量の2倍を推奨されています
(ただし、ヒトの肝臓病での推奨量に基づいている)。
ビタミンEは抗酸化作用があるビタミンであり、酸化ストレスによる肝障害から肝臓を守る効果が期待されています。
これらビタミンを摂取することで予防的にも効果があるかはまだ研究段階ですが、これらビタミン類は余程過剰摂取しなければ体に害のあるものではないので、日常のお食事から摂取する分には問題ありません。
3.実は腸内細菌が!?
直接ビタミンを摂取する以外にも、前回ご紹介したプロバイオティクスやプレバイオティクスが肝臓の健康にも関与する可能性があります。
プロバイオティクス(乳酸菌など)を食事に添加したわんちゃんの血液中から、通常よりも高い濃度のビタミンEが検出されたという研究があります。これはプロバイオティクスが腸内環境を変化させたことでビタミンEの吸収率を上げていると考えられています。
食物繊維には可溶性の食物繊維と不溶性の食物繊維がありますが、可溶性繊維はプレバイオティクスとして腸内環境を整えることで、不溶性繊維はアンモニアの材料である窒素化合物を除去することで、肝疾患時に肝臓に負荷を与えるアンモニアの生成を抑えることがわかっています。
参考資料:
Nutritional Considerations for Dogs and Cats with Liver Disease, Rebecca D. Norton, DVM*, Catherine E. Lenox, DVM, DACVN, Paul Manino, DVM, DACVIM, James C. Vulgamott, DVM, DACVIM, J Am Anim Hosp Assoc 2016
Encyclopedia of Canine Clinical Nutrition -犬の栄養学-, Pascal Pibot, Vincent Biourge, Denise Elliott
プロバイオティクスの継続給与が高齢犬に与える影響について, 稲富太樹夫,橋本充広,ペット栄養学会誌,2013
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・紹介の商品を与えることで、症状の治癒、改善を確証するものではありません。
・異変を感じられた際には、まずは獣医師に診てもらってください。