シニア期になると、見た目では若い頃と変わらなくても体の内側から少しずつ変化が生じてきます。 パートナーが元気で幸せなシニア期を迎えられるよう私たちができることはいろいろありますが、その中でも大切なのは「パートナーの年齢に合った食事」です。
このページでは、シニア期を迎えたパートナーに気をつけてあげたい栄養素についてお話しします。 今回は次の5つに焦点をあてました。
シニア犬には低カロリーのフードがおすすめと言われてきましたが、カロリー以外にも考慮すべきポイントがあります。 これらをバランス良く取り入れ、1頭1頭のパートナーに合った食事管理を行ってあげましょう。
では、それぞれの栄養素についてお話していきます。
①高品質の動物性タンパク質
犬も人間と同じで年齢を重ねるにしたがい、引き締まった筋肉が徐々に失われていく傾向があります。 筋肉を作るにはアミノ酸が必要なので(タンパク質はアミノ酸の集合体)、できるだけ高品質のタンパク質を摂取する必要性がますます高まることになります。 犬猫は本来は肉食動物ですから、肉や魚などの動物性タンパク質をしっかり摂ることがとても重要です。
一方で、シニア期のパートナーには病気を予防する必要もあるので、タンパク質は過剰になり過ぎず、高品質なものを適量摂ることが必要と言えるでしょう。
②低脂肪と脂肪の種類
シニアになると活動量が減り、また基礎代謝も落ちてくるので必要カロリーも少なくなります。 若いころと同じカロリーを与え続けていると肥満につながり、病気のリスクも高まってしまいます。 とはいえ低カロリーを気にするあまり脂肪分をカットしすぎてしまうと、皮膚がカサカサ、被毛がパサパサになることも。 低カロリーの食事を心がけることは大切ですが、全く脂肪分がいらないというわけではありません。脂肪も必須栄養素のひとつです。
同じシニア用でも、フードによってタンパク質や脂肪が含まれる量は異なります。①と②の内容を踏まえた上で、パートナーの体質や体型に合わせてフードを選びましょう。
おすすめフード
yum yum yum!(ヤムヤムヤム)
yum yum yum!シニア&ライト チキン ドライタイプ
良質でシニア向けのタンパク質量、低脂肪のフード。
保障分析値(粗蛋白質)23.3%以上
保障分析値(粗脂肪)5.0%以上
NOW FRESH(ナウフレッシュ)
ナウフレッシュ グレインフリー スモールブリード シニア&ウェイトマネジメント
穀物不使用、比較的脂質を抑えたフード。
保障分析値(粗蛋白質)24%以上
保障分析値(粗脂肪)12%以上
さらに、健康に役立つEPA、DHAが得られるオイルを補うのも良いでしょう。
EPAとDHA
オメガ-3脂肪酸には、α-リノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)があります。体内でα-リノレン酸からEPAとDHAの順に変換されていきます。
犬猫は植物性のα-リノレン酸をEPAとDHAに変換するのを苦手とする個体もいるため、直接EPAとDHAを与えるのがよいとも言われています。それぞれ、次のオイルに豊富に含まれます。
魚油、サーモンオイル、クリルオイル
Animal Essentials
オメガ3系の中でも、特にEPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)が豊富に含まれています。いつものごはんにトッピングしてください。
③抗酸化栄養素
パートナーも人と同様、年を重ねるにしたがって抗酸化栄養素の要求が高まってきます。 抗酸化栄養素の代表的なものとして、ビタミン、フラボノイド、カロテノイド、コエンザイムQ10、セレンなどがあります。 抗酸化栄養素の多くは果物・野菜・ハーブなどに豊富に含まれていていますので、食事から果物・野菜・ハーブを摂ると自然に抗酸化栄養素を摂り入れていることになり、 健康につながると考えられます。
シニア期になったら、主食やトッピング食材、おやつなどからも積極的に抗酸化栄養素を摂りいれ、健康をサポートしましょう。
抗酸化栄養素が多く含まれる野菜や果物
かぼちゃ、ほうれん草、にんじん、ブロッコリー、小松菜、ブルーベリー、りんご
抗酸化栄養素を含んだオススメのサプリメント
④プロバイオティクスとプレバイオティクス
シニア期になるとおなかの中で善玉菌が減り、悪玉菌が増えやすくなります。それに伴っておなかの調子が悪くなり、下痢や便秘が起こることがあります。 そこで、プロバイオティクス(善玉菌)やプレバイオティクス(善玉菌の餌)を与えて、おなかの健康をサポートしてあげましょう。
プロバイオティクスとプレバイオティクスが一緒に摂れる食事
プロバイオティクスとプレバイオティクスが一緒に摂れる食事といえば、バナナ入りのヨーグルトがあまりにも有名です。 パートナーがヨーグルトを苦手でなければ、与えてみてはいかがでしょうか。
プロバイオティクスが手軽に摂れるサプリメント
⑤グルコサミンとコンドロイチン
関節を作っている骨の先端は、柔らかい軟骨におおわれていています。それを関節軟骨と呼びます。関節軟骨は骨が受ける衝撃を吸収するクッションの働きと、関節を曲げ伸ばしするときに起こる骨と骨との摩擦を防ぐ働きを持っています。パートナーが飛んだり跳ねたり走ったり、膝や肘が滑らかに動かせるのも、関節軟骨のおかげなのです。
しかし長年にわたって関節に負担がかかっていると、少しずつ関節軟骨がすり減ってきます。軟骨で守られているはずの骨があらわになり、ふしぶしに痛みを感じ、運動を嫌がったり、立ち上がりに時間がかかったり、肢をかばうような歩き方をしたりすることがあります。
コンドロイチンは軟骨の主要な成分で、水分を保ち弾力性を高める大切な働きをもっています。グルコサミンは、コンドロイチンをはじめ他の軟骨成分の生成をうながす働きがあります。グルコサミンとコンドロイチンは通常は体内で作られますが、年齢を重ねると共に産生が減ってきます。
シニアの初期に入ったら、関節の健康を保つために継続的にグルコサミン&コンドロイチンを補給してあげましょう。
まだ軽い運動が出来るシニア犬には筋肉維持に配慮したサプリメントがおすすめです。 特に太り気味のパートナーは意識してみてはいかがでしょう。
グルコサミン・コンドロイチンが手軽に摂れるサプリメント
ふしぶしだけでなく筋肉維持を意識したサプリメント
この記事を書いた人
伊東 希(いとう のぞみ)
獣医師、ホリスティックケア・カウンセラー
1998年、日本獣医畜産大学(現在、日本獣医生命科学大学)獣医学科を卒業。大学では獣医病理学の研究室に所属し、病気の原因や腫瘍、心臓疾患の研究を行う。卒業後、臨床獣医師として動物病院に勤務していたが、犬と猫の病気時における食事の大切さを痛感し、某フードメーカーへ転職。そこで栄養学を学び、たくさんのオーナー様やスペシャリストへの相談を行う中、食事や栄養に対してより柔軟な考えも必要であることに気づき、縁あってGREEN DOG & CATへ。