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【第1回】てんかんを抱える愛犬と暮らす
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発症時に飼い主の気が動転してしまう犬の病気のひとつに「てんかん発作」があります。これから数回にわたり「てんかんを抱える愛犬との暮らしの工夫やケア」についてお話します。
私自身も、てんかんを抱えた愛犬と暮らして12年になります。持病を抱える愛犬との暮らしは工夫が必要。けれど工夫しだいで楽しく穏やかな日々を過ごすこともできます。
※この記事はアドバンス・ホリスティックケア・カウンセラーの佐藤 奈緒子さんが執筆した記事をGREEN DOG & CAT ライフナビ編集部が編集しお届けしています。
私をペットロスから守ってくれた救世主
我が家の愛犬・ダンディは2004年生まれ、現在12歳のチワワです。迎えた当時、私は18年連れ添った愛猫を亡くしたばかりで、ペットロスになりかけるほどの深い悲しみに暮れていました。すぐに新しい猫を迎える気持ちにはなれなかったので、次は犬を迎えようと考えていたところ、知人のブリーダーから「チワワの子犬が生まれた」と連絡がありました。見学に行くと、同じ日に生まれた兄弟犬が他に2頭いましたが、私のところへよちよちと歩いてきた元気で可愛らしい姿にすっかり心を奪われてしまい、この子にしようと決めました。
私は過去に犬と猫、それぞれ1頭ずつ飼った経験があります。先代の愛犬たちは皆、大きな病気を患うこともなくとても長生きをしてくれましたので、ダンディもとにかく健康で長生きをしてほしいと、ただそのことだけを願いました。
小型犬の子犬によく見られる低血糖症?
家に迎えて間もない、月齢3〜4ヶ月の頃でした。ある日の朝、ダンディの様子がいつもと違うことに気づきました。焦点が合わずにフラフラとおぼつかない足で私に近づいてきたのです。軽いけいれん発作が起きたようでした。初めてのことで気が動転しましたが、すぐに獣医さんへ連絡をしました。
診察の結果、極端に血糖値が下がることによって脳神経に異常をきたす低血糖症かもしれませんとのことでした。なるべく空腹の時間帯を作らないように食事の回数を多めにすること(少量頻回)、発作が起きた時の応急処置に備えて砂糖水やガムシロップなどをそばに用意しておくことなどのアドバイスをいただき、しばらく経過を見ることにしました。
低血糖症は月齢の若い小型犬に多く見られるそうで、成長とともに発作も起きなくなるということでしたが、10ヶ月を過ぎた頃になってもたびたび発作を起こすため、その後、獣医さんからはてんかんの可能性があるかもしれないと言われました。
病気と向き合う決意
てんかんはあくまで可能性に過ぎないため、何か別の病気が原因で発作を起こしているのかもしれませんでした。設備の整った動物病院できちんとした検査を受けるべきかどうか悩みましたが、獣医さんとの話し合いの結果、問診や触診、日頃の発作の状況などからてんかんである可能性は極めて高く、また体の小さなチワワには検査自体が心身の負担になってしまうこともあることを考えて、精密な検査を見送る決断をしました。
そして、1歳の誕生日を迎える頃から投薬を始めました。まだ慣れない薬のせいで足元がフラフラしているダンディを見るのはとてもつらかったのですが、発作を起こした時の苦しさを考えれば、私の選択は間違っていなかったのだと自分に言い聞かせました。
発作の時は気持ちをしっかりと
薬を飲んでいても、やはり定期的に発作が起きます。そこで、発作の頻度を把握するために専用の手帳を用意し、始まった時刻、治まるまでにかかった時間、どのような状況で起きたのかなど、細かな状況を初めはとにかく記録しました。
そうすることで、発作前後の行動に傾向が見えてくることもあり、発作の時に私自身が動揺せずにいられるようになりました。
私が発作時にチェックしていることをいくつか紹介します。
ココをチェック てんかん発作時の記録
- 発作が始まった時刻
- 発作はどのような状況でおきたのか
- 発作の始まりの様子
- それからどのようになったか
- 意識はあったか
- 治まるまでにかかった時間
- 発作の後の様子
発作が起きた時に飼い主が激しく動揺すると、不思議なことにその不安な気持ちが愛犬にも伝わります。まずは飼い主自身が冷静になって、愛犬の状況を受け止める精神力を身につけることが大切だと感じています。そして、発作の様子を記録することはご自身が冷静になることにも役立ちますし、愛犬の病気について学ぶことにもなりますのでおすすめです。今では写真のような、発作の回数と時間や発作のきっかけになるかもしれないと思う出来事(地震など)を簡単に記録に残しています。
てんかんは恐れる病気ではない
獣医師によると、てんかん自体は死に直結する病気ではなく、てんかんであるために寿命が縮まるということはないそうです。それどころか、発作時に適切な処置をしたり、食事の内容を工夫する、サプリメントを上手に取り入れるなど、日頃のケアによって発作の頻度を抑えたり減薬することに役立つことが、じゅうぶんに期待できる、と実感しています。
ダンディも12歳を迎えた現在、たまに発作を起こすこと以外は特に大きな病気も無くとても健康です。どんな病気にも同じことが言えるかもしれませんが、愛犬と一緒に病気についてきちんと向き合うことが何より大切なのだと思います。
最後に、子犬の頃の低血糖症の疑いをきっかけに、精密検査はせずに、てんかんの診断、投薬開始へと至ったプロセスは、あくまでも我が家の愛犬のケースです。てんかんに限らず愛犬の様子がおかしいことに気づいたら、できるだけ早く獣医師に相談し、ご自身の愛犬にあった適切な治療法を選ばれることをおすすめします。病気の早期発見が大切だと思います。
次回は、私自身が実践している日ごろのケアについて詳しくお伝えしたいと思います。
<てんかんシリーズ(全5回)>
【第1回】てんかんを抱える愛犬と暮らす
【第2回】てんかんを抱える愛犬と暮らす|脳に良い食事とは
【第3回】てんかんを抱える愛犬と暮らす|同居犬のケア
【第4回】てんかんを抱える愛犬と暮らす|獣医師との関係作り
【最終回】てんかんを抱える愛犬と暮らす|飼い主にできること
※この記事はアドバンス・ホリスティックケア・カウンセラーの佐藤 奈緒子さんが執筆した記事をGREEN DOG & CAT ライフナビ編集部が編集しお届けしています。