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【第4回】てんかんを抱える愛犬と暮らす|獣医師との関係作り
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てんかんが発症する時期(年齢)はさまざまです。そこで今回は、シニア期のパートナー(愛犬)のてんかん発作と他の病気による発作の見分け方のほか、獣医さんとの付き合い方についてお話します。
※この記事はアドバンス・ホリスティックケア・カウンセラーの佐藤 奈緒子さんが執筆した記事をGREEN DOG & CAT ライフナビ編集部が編集しお届けしています。
愛犬への誕生日プレゼント
先日、ダンディも13歳の誕生日を迎えることができました。
我が家では7歳の時から毎年必ず健康診断を受診していて、今年で7回目の受診となります。「うっかり忘れてしまった...」ということがないように、必ず誕生日当日に行うことにしています。
誕生日のプレゼントといっても彼らが喜ぶ気の利いた品物も思い浮かびませんので、プレゼントの代わりと言ってはおおげさですが、精一杯の愛情の証として毎年欠かさず行っています。
普段から健康管理には気を配ってはいるものの、やはり寄る年波に勝てないといった部分も否めず、若い頃に比べて数値が正常値をほんの少し上回っているものもいくつかありました。幸いにもそれらは緊急度の高いものではなく、また、今回も他に大きな病気も見つからなかったので、ひとまず胸を撫で下ろしています。
抗てんかん薬のリスクとは
ダンディは1歳を過ぎた頃から抗てんかん薬を服用し続けているので、長期にわたる薬の服用による肝臓へのリスクが気になります。
毎年この数値の結果を聞く時、私は合格発表の掲示板を見る受験生さながらのドキドキした気分で臨みます。ダンディと一緒に頑張ってきた一年間の評価が数字となって表れるわけですから「良い結果でありますように」と、ただひたすら祈る気持ちです。
今回は、そんな祈りも虚しい結果となりました。肝臓にまつわるいくつかの項目で昨年よりも高い数値が出てしまったのです。
実は過去(9歳頃)にも同様の結果があり、その時は薬剤性肝障害(薬の副作用による肝障害)の可能性が高いという獣医さんの判断で半年ほど強肝剤を服用したところ、数値は正常値まで下がりました。
その後も食事などに気を配りながら毎年結果を見ていましたが、特に大きな問題もなく肝臓の数値は安定していました。私もすっかり安心していただけに、今回の結果は「まさか!?」という焦る気持ちでいっぱいです。
獣医さん曰く「肝臓自体が著しく損傷しているわけではない」とのことだったので、今回も強肝剤を処方され、数ヶ月様子を見ることになりました。
シニア犬のてんかん発作について
持病の有る無しにかかわらず、シニア期になると筋力の衰えによって身体が小刻みに震えたり、肢が痙攣したりすることがあります。また犬の年齢に関係なく、眠っている時などに口や肢がピクピクと動くこともあります。
これらの行動を見たことのない飼い主さんは、何ごとかと一瞬驚くかもしれませんが、シニア犬にはよく見られる変化です。持病がなくこのような症状がある場合には、自宅でケアをしてあげましょう。
てんかんを抱えているシニア犬の場合、そのような症状の原因は必ずしも持病によるものとは限らず、他の病気による可能性も高くなってきます。
とはいえ、どのような原因で震えや痙攣などの症状が起こっているのか見極めることは、専門知識のない私たちには難しいことです。そこで、日頃から愛犬をよく観察し、症状を引き起こす病気についての正しい知識や情報を予め知っておくことで、いざという時にも冷静に処置をすることができるかと思います。
てんかん発作の見極め方
てんかん以外で発作を引き起こす病気としてよく知られているものに、心臓病、脳腫瘍などがあります。例として、我が家の愛犬ブルーが患っている心臓病による発作とダンディのてんかんによる発作を見分ける違いやポイントをまとめました。あくまでも我が家の愛犬、ダンディとブルーの日常を観察したものなので、すべての犬にあてはまるわけではありません。
心臓病による発作の特徴
- てんかんの発作に見られるような前触れ(前兆のような行動)がない
- 散歩や激しい運動をした後、吠えるなどの興奮した後に起こりやすい
- 時間は長くても1~2分程度で終わり、比較的短め
- 発作が治まったあとの回復が早い
てんかんによる発作の特徴
-
何かしらの前兆がある
部屋をうろうろする、不安そうな鳴き声を出す、涎が出る、など※ -
完全に治まるまで5~10分ほど続くことが多く、時間が長め
5分以内で治まることもあります。その時の体調や病状、個体差により異なります - 発作の最中や後に排泄(失禁)をしてしまう※
- 発作が治まっても、体力が完全に回復するまで時間を要する
ダンディの場合は初めて発症してから約13年もの間、発作のときに見られる行動や症状は一貫しており、また、その特徴からも明らかにてんかんによるものだとわかります。けれど同じてんかん発作でも症状の度合いによって、まったく異なることもあるようです。あくまでもご参考までにしてください。
ただどの犬でもシニア犬の場合、発作が起こるとかなりの体力を消耗してしまいます。発作が治まったあとはケージやキャリーハウスに寝かせるなど、愛犬が安心できる環境をつくり、心身ともに安静を保つよう心がけるようにしています。
※1:認知症の症状でも同じような行動を取る場合があります。
獣医師との良好な関係づくり
日頃の健康管理だけでなく、最期を看取ってもらうまでお世話になる獣医さんですが、「ホームドクターが決まらない」といった、関係づくりに苦労をされている飼い主さんのお話をよく耳にします。
我が家のホームドクターは、先代の愛犬の頃から長年お世話になっている動物病院です。きっかけは20年ほど前までさかのぼります。
当時のホームドクターはまだ獣医師になったばかりの新米先生で経験が浅く、往診には来たものの状態を見て何も手がつけられずに帰ってしまったのです。
一刻も争う状況の中で何件もの病院に電話をしてやっと連絡が取れたのは、今もお世話になっている獣医さんです。駆けつけるや否や、愛犬に「よしよし、治してあげるからね。頑張ろうね。」と小声でやさしく話しかけ、手際よく速やかに処置をしてくださったあの光景は今も色褪せずに覚えています。
質問上手な飼い主になりましょう
私がこちらの病院をホームドクターにしようと思ったのは、このエピソードも決め手のひとつにはなっていますが、もちろんそれだけではありません。
私は、以下の理由で決めました。
- 住まいの近くにある
- 夜間診療や救急診療、往診に対応している
- 病院内にトリミングサロン(ペットホテル)を併設している
- 治療の方針や処方した薬についてわかりやすく説明をしてくれる
- 飼い主の話しに対し、親身になって耳を傾けてくれる
何か緊急事態が発生したときに、自分ですぐに連れて行ける距離であることは非常に重要です。逆に、夜間など往診に来てくださる場合もあまり遠方ではない方が、待機している時間も短く済みますので安心です。
それから、ダンディのように持病がある愛犬は動物病院の敷地内にあるサロンを利用する方が良いと思います。万が一トリミング中に発作が起きた場合は、速やかに適切な処置をしていただけるので非常に安心です。
治療の方針をきちんと説明してくれるか否か、ここがいちばんの要だと思います。また次に大切なのは、獣医さんの診断をそのまま聞くだけではなく、わからないことはこちらから質問を投げかけ、先生から答えを導きだすことも飼い主として必要なスキルです。質問上手な飼い主は、愛犬の健康寿命を延ばすことに一役買っているといっても過言ではないと思います。
薬が処方された時には、「これは身体のどの部分に、どのように効くお薬なのでしょうか?」と私は必ず質問をするようにしています。
薬は、飲めば症状が回復(完治)するものばかりではなく、病気の進行を少しでも遅らせてこれ以上悪くならないようにするために飲むもの、即効性のあるもの、緩やかに効くものなど、その目的や利き方は実にさまざまです。
薬の作用や副作用について詳しく聞くのはもちろん、飲むことによって症状がどのように緩和されるのかなどをきちんと理解しておくことは、愛犬のためにとても大切なこと。専門的な言葉が出てきて内容を理解しにくい時でも、遠慮をせずに質問をするようにしています。
獣医師さんは忙しい方も多いので、じゅうぶんに理解できるように説明をもらえないこともあるかもしれません。例えば10日分の処方をされた場合、飲み終えればおしまいなのか、あるいは長期にわたって飲み続けるものなのかどうかを質問するのもいいですね。あらかじめ知っておくことで、病気と向き合う心の準備ができるだけでなく、医療費についての具体的な見通しを立てることもできるので安心です。
また、病院の休診日や主治医の先生が不在の時に緊急事態が発生した場合に備え、かかりつけの病院以外にもう一軒、セカンドホームドクターを探しておくと安心です。その際は、ホームドクターに紹介していただく方がよいでしょう。
まとめ
ひとくちに"獣医さんとの関係づくり"と言っても、一朝一夕に出来上がるものではありません。「獣医なのだから病気を診て治すのは当たり前」といった相手に任せきりの態度ではなく、飼い主自身が一緒に治療に取り組む姿勢を示すことが何より大切なことだと思います。
我が家の歴代の愛犬は皆、長生きをした末に、最期は今のかかりつけの先生に看取っていただきました。そして、ダンディとブルーも先代の愛犬たちから健康長寿のバトンを受け継ぎ、現在に至っています。オーナーの私たち次第で愛犬の健康寿命は延びると思います。そのためには、愛犬を日々観察して、何か気づいたときには日頃から信頼を寄せる獣医師さんに診ていただく、それから、シニア犬は健康診断をすることで正常な状態の履歴をつくっておくこと。そうすると何か変化があったときに数値を比べて異変を特定しやすくなります。ぜひ愛する愛犬の健康長寿を目指しましょう!
今回お話しした内容は、あくまでも我が家の愛犬のケースです。てんかんを始め、病気の症状や発作の状態などには個体差がありますので、必ず獣医さんに相談の上、適切な処置を行うようにしてください。
<てんかんシリーズ(全5回)>
【第1回】てんかんを抱える愛犬と暮らす
【第2回】てんかんを抱える愛犬と暮らす|脳に良い食事とは
【第3回】てんかんを抱える愛犬と暮らす|同居犬のケア
【第4回】てんかんを抱える愛犬と暮らす|獣医師との関係作り
【最終回】てんかんを抱える愛犬と暮らす|飼い主にできること
※この記事はアドバンス・ホリスティックケア・カウンセラーの佐藤 奈緒子さんが執筆した記事をGREEN DOG & CAT ライフナビ編集部が編集しお届けしています。