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【第3回】てんかんを抱える愛犬と暮らす|同居犬のケア
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私は多頭飼育をしています。持病などの疾病を抱えた愛犬がいる場合、もう一方の健康な愛犬の心を不安にさせている場合もあるかもしれません。今回は、同居している他の愛犬とのかかわり方についてお話します。
※この記事はアドバンス・ホリスティックケア・カウンセラーの佐藤 奈緒子さんが執筆した記事をGREEN DOG & CAT ライフナビ編集部が編集しお届けしています。
仲の悪い兄弟!?
我が家にはダンディの他にもう1頭、一緒に暮らしている犬がいます。同胎(同じ母犬のお腹から生まれた)の兄弟、ブルーです。その名の通り、毛の色が少しグレーがかった雄のチワワです。(写真右)
生まれた日は同じなのですが、諸事情によりダンディよりも2〜3ヶ月ほど遅く我が家にやって来ました。いわゆる社会化期と呼ばれる期間はブリーダーさんのお宅にいたので、母犬や仲間の子犬たちと一緒に過ごしたため、しつけもしやすく飼い主にとても従順でおとなしい性格の犬です。
しかし飼い主に従順なこととは裏腹に、同居しているダンディには常に敵対心をあらわにするので、いつも2頭で喧嘩ばかりしています。よく、犬たちが大きなベッドに身を寄せ合って眠る写真をSNSなどで見かけることがありますが、残念ながら我が家の愛犬たちに限ってはそのような光景などは一度も目にしたことがありません。2頭が仲睦まじく寄り添う姿などは"夢のまた夢"といったところでしょうか。
2頭の不思議な関係
普段は寄ると触ると喧嘩してばかりいる2頭ですが、ダンディが発作を起こしたときだけは、一時休戦状態になります。ダンディが発作を起こし、ブルーがその異変に気がつくと、なんとブルーは別室にいる私とダンディの間を駆け足で何往復もし、まるで赤色灯を点灯した緊急車両さながらに緊急事態発生!と、私に知らせてくれるのです。私が近くにいない時は、サイレンの如く甲高い声で吠えて異変を知らせてくれます。
特に教え込んだというわけでもありませんが、ブルーのこの行動のおかげで私もダンディの発作に対して早めの処置を施してあげることができますし、彼にはとても感謝をしています。
それぞれのメンタルケア
ダンディが発作を起こした時は、私はどうしても回復のためのケアばかりに気持ちが集中してしまうため、ブルー自身は寂しくて疎外感のようなものを感じてしまうのかもしれません。
その証拠に、ダンディが回復するまでの間は私のそばを片時も離れようとせず、身体をぴったりと寄せてじっとしています。
時には私の気を引くためなのか、ダンディと同じようなポーズをとります。もしかすると「僕も構って!」と静かに訴えているのではないかと思うと、飼い主としては少し胸が締め付けられる思いがします。
ですので、ダンディが回復した後は必ずブルーの心のケアもしてあげることにしています。身体をやさしく撫でるという行為だけでも十分なのですが、リラックス作用のある精油を用いたトリートメント(マッサージ)を行うことで、さらに良い効果が期待できます。
普段から身体を撫でてもらうことが大好きな彼にとって、これが最適な心のケアになります。撫でながら「さっきは教えてくれてありがとう。助かったよ。」と優しいトーンで声掛けをしながら、お仕事をしてくれたことをねぎらってあげます。
リラックスが期待できる精油
以下の精油には、脳の中枢神経に直接作用して鎮静効果を発揮する成分が含まれています。
ラベンダー
アロマが初心者の方でも親しみやすい香りです。興奮した状態を落ちつかせ、心の緊張を解きほぐしてくれるので、精神的なストレスがみられるときに使いたい精油です。
オレンジスイート
気分を明るく、気持ちを元気づけてくれる精油と言われています。内向的でストレスを抱え込みがちな愛犬に対してうれしい精油です。
ローマンカモミール
別名安眠を促す精油とも言われています。睡眠前にディフューザーなどを使ってお部屋に香りを拡散することで、愛犬の疲労に働きかけぐっすりと眠れるように導いてあげることができます。
アロマを用いたトリートメントを行うことで脳神経がリラックスでき、心身の状態も安定すると考えられていることから、てんかんの愛犬のケアにも役立ちます。ただし、禁忌(使ってはいけない)の精油もあるので、使用する際は注意が必要です。
てんかんの愛犬に使用してはいけない精油
以下の精油は、神経毒性のあるケトン類・ラクトン類という成分が多く含まれているため、てんかんの持病がある愛犬への使用は避けたほうが安心です。
・ ペパーミント
・ ローズマリー
・ ユーカリ
・ シダーウッド
・ カンファー
・ セージ
ダンディは撫でられることがあまり好きではないので、無理矢理触るようなことはせずにディフューザーなどを用いて芳香浴を楽しむようにしています。
要注意!
健康な愛犬と持病がある愛犬とが同居している場合には、誤って禁忌の精油を使用しないように細心の注意を払ってください。
犬に対して植物が持つ働きや注意点に興味がおありの方は、犬と猫のためのメディカルハーブガイドを参考になさってください。
多頭飼いでは予期せぬアクシデントも
以前に一度だけ、ブルーがダンディの抗てんかん薬を誤って飲んでしまったことがありました。
ダンディがきちんと薬を飲み込んだことは、いつも確認しているのですが、その日は、実はまだ口の中に残っていたらしく、ダンディが何かの拍子にペッと吐き出したその瞬間に、そばにいたブルーがその薬を反射的に拾って飲み込んでしまったのです。時間にすればコンマ何秒という、本当にあっという間の出来事で青ざめました。
抗てんかん薬は脳の神経細胞における興奮を抑制する作用がある薬です。過剰に作用した場合には、中枢神経が抑制され、副作用の一つとして眠気やふらつきなどの症状があらわれることがあるそうです。すぐにかかりつけの獣医さんに連絡をしたところ、命にかかわるようなことはなく時間の経過とともに回復するので問題はないとの説明を受け、胸を撫で下ろしました。
普段から服用しているダンディと違い、ブルーにはほんの少量の薬でもかなりの副作用があらわれました。猛烈な眠気と戦いながら意識が遠のいていく様子を見ていると、大丈夫と聞いてはいたものの、良からぬことを考えてしまうほど私も気が動転してしまいました。
薬の保管には細心の注意を払っていますが、このときのようなハプニングは想定しておらず、むしろこれまでこのような場面に遭遇しなかったことが奇跡だったのだと思いました。そして、少量であったため難を逃れましたが、これがもしも多量だった場合は死に至ることも十分考えられ、おおいに反省しました。
多頭飼いの場合、病気と関係のない愛犬が薬を誤飲してしまう事故を防ぐためにも、日頃の保管場所や与え方などには相当に注意が必要だと学んだできごとです。
まとめ
ダンディの持病がきっかけでホリスティックケアという考え方に出会い、一緒に住むブルーにもケアを施してあげる機会になりました。我が家の場合は同じ年齢、犬種、さらには同胎ということが健康維持に一役買っています。これまでも、2頭を比べて観察することで病気の早期発見につながったケースがいくつかあります。
仲が悪いといいながらも、実はこういった目に見えないところでお互いを助け合って生きているのではないかと、飼い主目線の少々勝手な解釈かもしれませんが、2頭を見ているとそう思わずにはいられません。
ダンディとブルーは今年の春で13歳になりました。一般的にチワワの平均寿命は14歳程度と言われていますが、この数字を余裕で超えられるよう、これからも健康で、そして毎日を楽しく過ごしていけたらと思っています。
また今回お話しした内容は、あくまでも我が家の愛犬のケースです。アロマテラピーを行う際は、必ずかかりつけの獣医さん、あるいはペットアロマセラピスとなどの専門家に相談の上、正しく行うようにしてくださいね。
<てんかんシリーズ(全5回)>
【第1回】てんかんを抱える愛犬と暮らす
【第2回】てんかんを抱える愛犬と暮らす|脳に良い食事とは
【第3回】てんかんを抱える愛犬と暮らす|同居犬のケア
【第4回】てんかんを抱える愛犬と暮らす|獣医師との関係作り
【最終回】てんかんを抱える愛犬と暮らす|飼い主にできること
【参考資料】
・抗てんかん薬の副作用とは? | てんかん情報センター
※この記事はアドバンス・ホリスティックケア・カウンセラーの佐藤 奈緒子さんが執筆した記事をGREEN DOG & CAT ライフナビ編集部が編集しお届けしています。