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【第4回】ペットロスと向き合う|子どものペットロス、親は何ができる?
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愛犬を見送った後にやって来るペットロスは大人だけのものではありません。子どもたちも大人と同じようにペットロスを経験します。子どものペットロスとどのように向き合うかは、子どもの心の健康や将来の人生の土台にも影響する問題です。心理学者や小児科医が挙げている「子どものペットロスへの注意点」をご紹介します。
※この記事はオウンドメディア「犬のココカラ」に掲載されたガニング亜紀さんの原稿を元に、GREEN DOG & CAT ライフナビ編集部が編集してお届けしています。
子どもを混乱させない伝え方とは

かつてアメリカやイギリスでは飼っていた動物を見送った時、家庭の子どもに「ポチは年をとったから農園で暮らすことになったんだよ」と説明して、本当のことは言わない方が良いとされていたのだそうです。
しかし子どもたちはそれでは納得がいかないし、当然ながら「ポチに会いに行きたい」ということになります。現在ではペットと農園の優しいウソは好ましくないとして過去のものになっています。
子どもの発達と幼児教育を専門とする心理学者は、ペットの死について親は子どもに対し、敬意と優しさを持って正確で簡潔に伝えることを勧めています。
伝え方のポイントは、愛犬は亡くなった、もう戻ってこない、それは誰のせいでもないと子どもの年齢に応じた言葉で説明することです。
「天国に行って空から見ているのよ」といった言葉は子どもを混乱させるので大人から言うことは避けます。反対に子どもの方から「天国に行ったの?」と聞かれた時には「そうだね」と共感を表すことが大切です。
大切な愛犬がいなくなってとても悲しいけれど、悲しい気持ちはいつまでも続かないこと、いっしょに過ごした楽しい思い出は心にずっと残っていることを伝えて、子どもを安心させてあげてください。
子どもに説明している時に大人が泣いてしまっても構いません。親にも悲しい感情があると見せることで、悲しい時に泣いたり落ち込んだりするのはごく当たり前の健康的な反応だと示すことができます。
ペットの死は多くの子どもにとって初めての大きな喪失です。ここで過剰に事実を隠したりぼやかしたりせずに親がいっしょに喪失の痛みを乗り越えていく経験が、子どもの将来の人生で喪失に直面する時の対処法の基礎になります。
ペットロスが子どものメンタル面に及ぼす影響

近年ペットロスに関する心理学や精神医学の研究が増えていますが、それらは全て大人を対象にしたものでした。しかし2020年にペットロスが子どものメンタルヘルスに及ぼす影響に関する初めてのリサーチ結果が発表されました。
米国ボストンの医師チームによるリサーチは、イギリスの8歳の子供6,260人の保護者に定期的なアンケートを取ることで実施されました。子どもたちのデータは0〜7歳の間の経験や環境によって分類されました。例えばその期間中にペットを飼っていた(87%)、期間中にペットの死を経験した(53%)などです。
データを分析した結果、ペットの死を経験した子どもは長期間のうつ状態などメンタルヘルスの低下を示す傾向が経験のない子どもよりも高くなっていました。またこの傾向は女の子よりも男の子の方が高かったということです。
男の子の方が高い理由は精査されていませんが、女の子に比べて泣いたり悲しんだりすることを抑え込む環境や傾向のせいかもしれないと推測されています。
医師チームは、保護者はペットロスを経験した子どもの悲しみを真剣に受け止め、メンタル面での変化などを注意深く観察して欲しいと発表しています。
悲しみや落ち込みが強過ぎて日常生活に支障を来たすような状態が2週間以上続く場合には、小児科医に相談して専門家の紹介を求めるなどの行動を勧めています。
愛犬を悼んで子どもと一緒にできること

専門家に相談するほどではないけれど、愛犬を失くして気持ちが沈んでいる子どもに家庭でできることは何があるでしょうか。
子どもの年齢や性格に合わせて、親子で愛犬の思い出を共有できる作業をすることを多くの心理学者が勧めています。
- 愛犬の絵を描いて、こんな風だったねとか、あの時おもしろかったねと話をする
- 絵よりも文章が得意な子なら、愛犬への手紙を書く
- 奥行きのある額縁を用意して、愛犬のカラーやネームタグ、写真をレイアウトしたメモリーフレームを作る
- 愛犬の写真を使ってスクラップブックやデジタルアルバムを作る
- かつて犬といっしょに散歩したコースを親子で思い出話をしながら散歩する
安心して痛みや悲しみを共有できる人の存在は癒しにつながります。子どもの場合は親がその存在になりサポートしていく必要があります。
まとめ

子どものペットロスについて気をつけたい点をご紹介しました。生まれた時から、または物心ついた時からずっといっしょに暮らしてきた犬を喪って子どもが受けるショックは、大人よりもずっと大きい場合も少なくありません。
子ども特有の回復力で克服できる場合もありますが、何れにしても親御さんの注意深い観察が大切です。
ペットロスを通じて家族の絆が強くなるとしたら、それは愛犬からの素敵なプレゼントだと言えますね。
【参考記事】
・The mental health effects of pet death during childhood: is it better to have loved and lost than never to have loved at all?
・Mass. General study finds that the loss of a pet can potentially trigger mental health issues in children
<ペットロスと向き合う(全5回)>
・【第1回】ペットロスと向き合う|最愛の犬を見送ることと飼い主の心のケア
・【第2回】ペットロスと向き合う|いつかさよならする時のために今からできる心の準備
・【第3回】ペットロスと向き合う|愛犬を見送った後の自分の心のためにできること
・【第4回】ペットロスと向き合う|子どものペットロス、親は何ができる?
・【最終回】ペットロスと向き合う|仲間を喪った時、残された犬は何を感じる?