シニア犬(老犬)の生活 ~シニア犬を病気から守る、「オゾン療法」~

犬の死因トップ3に入る病気は「腫瘍」「心臓病」「腎臓病」。これらは生活習慣や遺伝的要因の影響が大きいといわれています。

大切なパートナー(愛 犬)をこれらの病気から守ってあげたいと思う一方で、具体的な予防策がわからなかったり家庭でできる範囲には限界を感じていたりという話をよく耳にします。 そのような場合に、選択肢のひとつとして提案できるのが「オゾン療法」です。

オゾン療法コンテンツ

オゾン療法って何?

オゾン療法とは

オゾン療法とは、オゾンガスを用いたさまざまな治療法の総称です。血液クレンジングやアンチエイジング、歯周病や皮膚の治療などに利用されています。従来の考えでは手術が適応でないパートナー、もしくは今までの治療プランでは効果が得られにくかった難治性疾患(腫瘍やアトピーなど)のパートナーにも用いることが可能です。

オゾン療法は日本では馴染みの薄いものですが、ドイツやイギリスでは30~40年の歴史があります。幼犬や甲状腺機能亢進症の子を除いて、副作用はなく安全なものです。人はもちろん犬における治癒効果は、世界中の多数の事例から確認されています。

日笠 克枝

シニア犬にオゾン療法を推奨する理由

GREEN DOGスタッフ 日笠

生き生きしているパートナーを見るたびにオゾン療法の効果を実感しています。

加齢に伴って細胞や臓器は少しずつ衰え、身体の機能は変化していきます。これが老化です。若いときであれば食生活、運動機能、メンタル状態など、生活習慣の中で多少不適切な要素があっても、若さでカバーできていました。しかしシニア期になるとだんだんそれも難しくなり、症状や病気という形で表面に現れてくるようになります。

このようなことから、シニア期に入ることをきっかけに日常生活の一つひとつを見直すことは非常に重要です。しかし急にすべてを完璧な状態に切り替えることは難しかったり、変えたとしてもそれが体質改善につながるには時間がかかったりするケースがよくあります。

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例えば運動は、体力や筋力をつけたり血行やリンパのめぐりを良くしたり、心のリフレッシュになったりとシニア犬にとっても大切な健康管理の手段です。意識されている方は少ないようですが、このような日々の健康管理が免疫力の強化にもつながっていきます。では、今まで散歩が習慣化していないパートナーの場合はどうでしょう。運動が健康管理に大切ということがわかっても、急に毎日散歩に連れて行くことはパートナーにとってもオーナー様にとっても負担が大きかったり、肢腰を痛めたりする原因になったりすることが考えられます。また、病気の発症により運動が制限され、運動させたくてもできないパートナーもいます。

このように 生活習慣の見直しを行いたくてもできないケースや、今までの習慣を変えるためには時間が必要な場合にぜひおすすめしたいのが、オゾン療法です。オゾン療法は、従来の西洋医学が得意とする症状に対する対処療法とは異なり、身体機能の根本に働きかけることで全身の機能向上、改善に取り組むことができます。

私たちはどうしても目に見える症状に気をとらわれがちです。私もかつてはそんなオーナーでした。しかし症状や病気の根底にあるのは、肉眼では確認できない血液や細胞の状態、精神の状態に左右されていることがしばしばあります。特に血液には、酸素や栄養素を全身に運ぶ大切な役割があります。つまり、 血液が健康でないとどんなに適切な食事や運動を行っていても栄養素や酸素が身体の隅々までいき渡らず、このことでさまざまな病気を引き起こすリスクが高くなります。

私はこのことに気がつくまで、とても時間がかかりました。そして出会ったのがオゾン療法です。私のパートナーもシニア世代ですが、オゾン療法を始めてから身体に少しずつ変化が現れだしました。最近では、生き生きしているパートナーを見るたびにオゾン療法の効果を実感しています。

パートナーの命の終盤をどう迎えるか、それはシニア犬のオーナー様であれば必ず考えることだと思います。「できることなら苦しまずに幸せな最期を迎えてほしい。そのためには何をすればいいのか。何を選択することがパートナーのためになるのか。」このことはオーナー様と同様に、私たち獣医師も考えることです。そしてパートナーとオーナー様に、より長い時間を過ごしてもらいたいと切に願います。

オゾン療法に期待できること

オゾンの働きとその効果

具体的にシニア犬にとってオゾン療法が有効な理由を、体内反応の観点からお話しします。主に期待できることは以下の3点です。

オゾンの働きとその効果

オゾン(O3)は酸素原子3個でできた気体のことです。オゾンは不安定なため酸素(O2)に変わろうとひとつの酸素原子(O)を放出します。いわゆる酸化反応です。「酸化」=「悪いこと」という印象を持ちがちですが、実は 酸化によって生まれた活性酸素も、少量であれば良い働きをすることがわかっています。良い働きがあるのでしょうか?

この活性酸素は 細胞を活性化させることによって、抗酸化力を高めます。さらに赤血球・白血球・血小板にも働きかけ、体内の酸素化と免疫力の向上、血の巡りの改善をさせます。これらの働きが、病気や症状の改善・再発防止やアンチエイジングに効果を発揮します。

シニア期になると体内で産生される酸化物や老廃物は蓄積され、肝臓や腎臓といった機能の低下を招きます。その結果、免疫力の低下につながり、各細胞に負担がかかっていきます。オゾン療法は今問題が起こっている部分だけに働きかけるものではなく、全身に働きかけることができます。身体全体の巡りを改善し蓄積されたものを自分の力で排泄できる身体に変えることができるので、病気を再発しにくい身体づくりにも大きな役割を果たす療法です。

こんな場合におすすめ

病気改善・代替療法

加齢に伴い、病気のリスクが高くなるのは周知のことです。高齢になればなるほど麻酔や手術に対するリスクが高まり、薬の副作用についても充分に注意を払う必要がでてきます。そんな繊細なシニア犬の治療の選択肢として、オゾン療法はおすすめです。

健康維持・増進・アンチエイジング・病気予防

最近なんとなく元気がない、寝てばかりいるといったパートナーにも、年だからと諦めず、ぜひオゾン療法を受けてみてください。今は何の症状も現れていない健康なパートナーでも、オゾン療法を受けることができます。全身を巡る血液をきれいにしたり細胞を活性化させたりすることは、若さを保つことにつながります。

オゾン療法に期待できること

どうやってオゾンを体内に投与するか

オゾン療法にはさまざまなオゾンの投与方法がありますが、病院で行う治療の主なものは次の3つです。

注腸法

カテーテルを直腸に挿入する

自家血液
療法

採血した血液にオゾンを入れ、再び血管に戻す

皮下注射法

患部にオゾンの気体を注射する

処置後に大きく体力を消耗したり、身体に負荷がかかったりすることはありません。オゾンは体内に入るとすぐに酸素に戻るので残留性はなく、とても安全性が高いことも証明されています。

オゾンガス

注腸法... 肛門から直腸の中にオゾンガスを注入する

注腸法... 肛門から直腸の中にオゾンガスを注入する

①体重を測る。

②肛門に細い筒を3cm程度注入する。

③オゾンガスを注射器に入れ、細い筒から肛門に注入する。
(処置時間:1~2分)

自家血液療法... 採取した血液にオゾンガスを混和し、腕の血管から体内に戻す

自家血液療法... 採取した血液にオゾンガスを混和し、腕の血管から体内に戻す

①腕の血管を確保する
(留置針を設置する)。

②血液を採取する。
(中~大型犬は腕から、小型犬は首から)

③採取した血液にオゾンガスを混和し、腕の血管から体内に戻す。
(所要時間:20~30分。犬の性格により個体差あり。)

皮下注射... 疼痛がある部位の皮膚の下に、直接オゾンガスを注射する

皮下注射...疼痛がある部位の皮膚の下に、直接オゾンガスを注射する

①体重を測る。

②オゾンガスを注射器に入れ、皮下注射する。
(処置時間:1~2分)

写真提供:東広島市 かも動物病院

オゾン水

オゾンシャワー... オゾンガスを反応させた水を体にかける

オゾンシャワー... オゾンガスを反応させた水を体にかける

①皮膚や毛、耳の余分な汚れをシャンプーやイヤークリーナーで落とす。

②皮膚や耳の赤いところ、炎症や感染が起きている部位にオゾンシャワーをかける。

③涙やけの場合も、汚れを落としてから最後にオゾンシャワーを目の周囲にかける。

オゾンクリーム

オゾン化クリーム... オリーブオイルにオゾンガスを溶かした外用クリーム

オゾン化クリーム... オリーブオイルにオゾンガスを溶かした外用クリーム

①皮膚の赤いところ、炎症や感染が起きている部位に塗りこむ。

②目の赤みを抑え、角膜の再生を促す。点眼薬として使用する。

③抗生物質が効かない外耳炎(難治性外耳炎)に対して、点耳薬として使用する。

オゾン療法に期待できること

佐藤ミリオン・ジュニアちゃん(18歳 イタリアン・グレーハウンド)

佐藤ミリオン・ジュニアちゃん(18歳 イタリアン・グレーハウンド)

きっかけ 治療内容 結果
白内障に伴う重度の角膜潰瘍を発症。眼内出血あり痛みを伴う状態。 注腸法週1回とオゾン化クリームの点眼を併用。 食欲が改善し、角膜潰瘍が消失、出血や炎症も改善した。

オーナー様の感想

角膜潰瘍になり、痛みのせいか食事ができない状態が3日間続きました。本来ならば外科手術(眼球摘出)が適応になる状態でしたが、年齢的にも体力的にも外科手術はリスクが高かったことと一般的な内科療法では治療不可能だったため、オゾン療法による治療をすることにしました。
驚いたのはオゾンオイルを1回点眼しただけで痛みが取れたのか、翌日から食欲が出て食事を食べ始めたことです。そして治療を続けるにつれて左眼のジュクジュクしていた症状が元に戻っていき、反対の眼の赤みも落ち着いていきました。
今は、オゾンオイルの点眼がなくても良い状態を維持できています。今ではパートナーと一緒に暮らしているお友だちにも、オゾン療法を薦めています。

注意点 注意点

以下の状態のパートナーは、オゾン療法を受けられません。

  • ・甲状腺機能亢進症
  • ・妊娠犬
  • ・子犬

この記事を書いた人

日笠 克枝(ひがさ かつえ)

日笠 克枝(ひがさ かつえ)

アドバンス・ホリスティックケア・カウンセラー、ペットマッサージセラピスト、ドッグライフカウンセラー

動物関連専門学校を卒業後、福祉関係の仕事を経てGREEN DOGへ。チーフカウンセラーとしてこれまで1,000件以上の犬の健康・食事・しつけの相談を行う。

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